東京五輪開催までに残り5カ月+。オーバーエイジ(OA)で選ばれる選手を予想するのは結構難しい。何故なら、実績・人気・補強など、選ぶ視点が異なるからだ。
私の選考視点も異なるが、皆さんはどのような視点でオーバーエイジ選手を選びますか?
私は過去6回のオリンピックで「ベスト4になったチーム及び日本のグループ・リーグ成績とOA選手」を紐解いてオーバーエイジ候補を選びました。それでは森保監督より一足早くOA候補を発表しましょう。
グループ・リーグ(GL)で最多得点と最少失点のチーム
過去6大会の分析結果のまとめ
チームの重複有(同一チームが最多得点且つ最少失点)
- 各組最多得点チームのいずれかがベスト4→14回
- 各組最少失点チームのいずれかがベスト4→14回
- 各組最少失点チームのいずれかが優勝→過去6大会で6回
- 各組最多得点チームのいずれかが優勝→過去6大会で3回
- 日本は当該GLで最少失点を2回記録したがいずれも決勝T進出
- 日本は当該GLで最多得点を3回記録したがいずれもGL敗退
攻撃重視のチームでも守備重視のチームでも良さそうだが、日本には起点を作れてもスピードとパワーを持ち合わせた突進力のあるFWはいない。DF重視の方が賢い選択。
優勝チームは各組最少失点4チームのいずれか、これはジンクスですね。
それでは大会別に見ていきましょう。
2016リオ五輪
- 1位 ブラジル
- 2位 ドイツ
- 3位 ナイジェリア
- 4位 ホンジュラス
各組最多得点チーム→3チームがベスト4
各組最小失点チーム→1チームがベスト4
なお日本は7得点7失点、B組最多得点チームだったが3位
チーム名の右の数字は得点・失点
太字はベスト4チーム、優勝チームは赤字
グループ |
最多得点チーム |
最小失点チーム |
A |
ブラジル4 |
ブラジル0 |
B |
日本7 |
コロンビア4 スゥーデン4 |
C |
ドイツ15 |
韓国3 |
D |
ポルトガル5 ホンジュラス5 |
ポルトガル2 |
2012ロンドン五輪
- 1位 メキシコ
- 2位 ブラジル
- 3位 韓国
- 4位 日本
最多得点チーム→2チームがベスト4
最小失点チーム→3チームがベスト4
なお日本は2得点0失点、D組無失点→1位通過
グループ |
最多得点 |
最小失点 |
A |
イギリス5 |
イギリス2 |
B |
メキシコ3 |
メキシコ0 |
C |
ブラジル9 |
ブラジル3 |
D |
ホンジュラス3 |
日本0 |
2008北京五輪
- 1位 アルゼンチン
- 2位 ナイジェリア
- 3位 ブラジル
- 4位 ベルギー
最多得点チーム→2チームがベスト4
最小失点チーム→3チームがベスト4
なお日本は1得点4失点、グループBで最下位
グループ |
最多得点 |
最小失点 |
A |
コートジボワール6 |
アルゼンチン0 |
B |
ナイジェリア4 USA4 |
ナイジェリア2 オランダ2 |
C |
ブラジル9 |
ブラジル0 |
D |
イタリア6 |
イタリア0 |
2004アテネ五輪
- 1位 アルゼンチン
- 2位 パラグアイ
- 3位 イタリア
- 4位 イラク
最多得点チーム→3チームがベスト4
最小失点チーム→1チームがベスト4
なお日本は6得点7失点、B組最多得点チームだったが最下位
グループ |
最多得点 |
最小失点 |
A |
韓国6 |
マリ3 メキシコ3 |
B |
パラグアイ6 日本6 |
ガーナ4 |
C |
アルゼンチン9 |
アルゼンチン0 |
D |
イラク7 |
モロッコ3 |
2000シドニー五輪
- 1位 カメルーン
- 2位 スペイン
- 3位 チリ
- 4位 USA
最多得点チーム→2チームがベスト4
最小失点チーム→4チームがベスト4
なお日本は4得点3失点だがグループD最少失点チーム→D組2位
グループ |
最多得点 |
最小失点 |
A |
ナイジェリア6 |
イタリア2 |
B |
チリ7 |
チリ3 スペイン3 韓国3 |
C |
USA6 クウェート6 |
USA4 カメルーン4 |
D |
ブラジル6 南アフリカ6 |
日本3
|
1996アトランタ五輪
- 1位 ナイジェリア
- 2位 アルゼンチン
- 3位 ブラジル
- 4位 ポルトガル
最多得点チーム→2チームがベスト4
最小失点チーム→2チームがベスト4
なお日本は4得点4失点、D組最多得点チームだったが3位
グループ |
最多得点 |
最小失点 |
A |
アルゼンチン5 |
ポルトガル2 |
B |
フランス5 スペイン5 |
フランス2 |
C |
ガーナ4 |
メキシコ1 |
D |
ブラジル4 日本4 |
ナイジェリア1 |
過去6大会のオーバーエイジ選手と最適選択基準
過去6大会の成績まとめ
- 最少得点チームに2回なったがいずれも決勝Tへ進出
- 最多得点チームに3回なったがいずれもグループリーグ敗退
よって東京五輪にはDFとボランチを選ぶべきというのが私の主張
赤字:欧州クラブ所属 、太字は決勝トーナメント進出
五輪成績 |
GK |
DF・ ボランチ |
MF・FW |
リオGL敗退 |
|
藤春廣輝 塩谷司 |
興梠慎三 |
ロンドン4位 |
|
徳永悠平 吉田麻也 |
|
北京GL敗退 |
|
|
|
アテネGL敗退 |
曽ヶ端準 |
|
小野伸二 |
シドニーBest8 |
楢崎正剛 |
森岡隆三 |
三浦淳宏 |
アトランタGL敗退 |
|
|
|
DFとボランチを選ぶなら国内勢から
その理由は、
- 欧州クラブ所属選手の招集は極めて困難(オーバーエイジに限らないが、所属チームが五輪出場を拒否するケースが目立つ)
- スウェーデンでは所属クラブがリオ五輪候補52名の招集を拒否。その典型例はヘンリク・ラーション監督が自分が指揮するクラブに所属する息子(リオ五輪スウェーデン代表FW)のヨルダン・ラーション(19)の五輪出場を土壇場でキャンセル
- ヤングボーイズは久保裕也のリオ五輪出場を直前にキャンセル
このようなことがあるため、過去6回大会で海外勢からのオーバーエイジ選手招集は10名中たった2名しか実現できていない。
吉田選手がロンドン五輪に出場できたのは
- VVVフェンローから五輪直後にサウサンプトンへ移籍したが、移籍の条件に五輪出場が入っていた?
- 移籍先が五輪開催のイギリス
などで極めてラッキーだったと考えたほうが良い。
ということで、当てにならない海外勢を望むよりも、早めに国内勢からDFを中心にオーバーエイジ候補を5~6人選んでU-23世代との融合・連携を図りチーム力アップを目指したほうがよい。
オーバーエイジ候補は誰が適任か?
国内勢でDF中心に考えた結果は、
- 三浦弦太 DF ガンバ大阪キャプテン
- 畠中槙之輔 DF 横浜F・マリノス
- 室屋 成 DF FC東京 リオ五輪経験選手
- 佐々木翔 DF サンフレッチェ広島キャプテン
- 橋本拳人 ボランチ FC東京副キャプテン
- 大島僚太 ボランチ 川崎フロンターレ副キャプテン
なお、少し可能性がある吉田麻也選手(DF サンプドリアへ移籍 ロンドン五輪4位に貢献)を加えたい。というのも、今シーズンは出場機会が激減なのでクラブとしては容認するかも?それに東京五輪前後に移籍(神戸という噂が出てきた)が考えられる?
オーバーエイジ関わる記事集
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オーバーエイジ候補選びは戦略ファースト - オーバーエイジ選びは選手名を上げる前にメダル獲得に最も適したOA戦略を立てよう。
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まとめ
視点が異なれば東京オリンピックOA候補も変わりますね。一般的には、大迫、南野、中島、吉田、本田、長友選手などを推す声が多いことは理解している。
しかし、敢えて、過去の五輪大会でベスト4になったチームのグループ・リーグ成績及び日本の成績の分析とこれまでのOA選手を調べた結果をベースにOA候補選手を選んでみた。五輪の歴史が教えてくれた結論は、
- 国内勢
- ディフェンス重視
- 三浦弦太、畠中槙之輔、室屋 成、佐々木翔、橋本拳人、大島僚太
3月のアフリカ勢とのU-23国際親善試合にOA候補を招集するらしい。3人でも的中すれば嬉しいが、何よりも早急にOA候補を選んで五輪世代候補との融合を図りチーム力向上に時間を掛けてほしい。
欧州クラブ所属のOA候補はもちろんも五輪世代の招集に苦労する外国勢は融合を図る時間が取れないので、日本がチームの成熟度を上げることができれば金メダル候補の筆頭になれる。
いかがでしたか? 少しでもOA選びの参考になれば幸いです。