はじめに
2022年J1リーグは第17節までの前半戦が終了。そこで外国籍選手を含むJリーガーのパーフォーマンスはどうだったのか? 無鉄砲ではあるが、第17節までの実績を独自の基準で査定、その結果をポジション別ランキングにして紹介。
各ポジションの上位3選手(GK1、DF4、MF3、FW3)のうち8人がベストイレブンに輝いた2021年度と同じ基準で査定(【2021年度】サッカー選手の実力度を独自の視点でランキング)。欧州からのJリーグ復帰組や市場価値2M以上選手の査定も紹介。
欧州組との比較や日本代表招集予想の参考にして頂ければ幸いです。11月10日頃、年間実績を基に最終版に改めますのでよろしくお願いします。
なお、こちらの記事もご覧いただければ嬉しい限りです。
- 【2022年度版】Jリーガー推定市場価値ランキング、最高額の選手は?
- 【2022年度版】外国籍Jリーガー一覧、新加入の注目選手は?
- 【2022年度版】外国籍Jリーガー市場価値ランキング、1位は?
査定に使う4つの尺度
リーグ点、クラブ点、出場点、ボーナス点で選手のパーフォーマンスを査定。
リーグ点
本記事はJ1選手限定。J1リーグのリーグ点は15。欧州組と比較してかなり低い。因みに、15点は世界リーグランキングで言えば16位~30位。主なクラブはオーストリア、スコットランド、スイス、ドイツ2部。
クラブ点
Jリーグクラブ間では、最上位の川崎が世界50位台、最下位の京都が1800位台でかなりの差がある。レベルの高いクラブでの出場時間減を補てんするために使用。
2022年度のJ1リーグは例年よりも実力が拮抗しているが、2022年6月7日のクラブ世界ランキングで選手にクラブポイントを付与(クラブ点)。
具体的には、
- 川崎 50点
- 横浜 45点
- 鹿島 40点
- 浦和・セ大阪 35点
- 名古屋・広島・FC東京 30点
- 神戸・鳥栖・柏・G大阪 25点
- 札幌 20点
- 磐田・福岡・清水・湘南 15点
- 京都 10点
出場点
公式戦出場実績を点数化(出場点)。
具体的には、第17節リーグ戦出場時間(分子)をリーグ戦試合時間(分母)で割った値(%)。最高点は100(リーグ戦全17試合フル出場)。但し、広島とG大阪は16試合。
リーグ戦以外の公式戦(カップ戦・ACLなど)に出場した時間は90分出場毎に1ポイント付与。従って、出場点が100を超える選手もいる。
なお、ケガ・出場停止・代表試合などでの欠場や外国籍Jリーガー来日遅れなどによるリーグ戦欠場は分かる範囲で分母の対象外としました。
ボーナス点
全ての公式戦での得点・アシスト点を対象。但し、欧州勢と比較しやすくするためボーナス点は年換算。即ち、2倍としました。
- 得点 +2点(2倍)
- アシスト +1点
- CS +2点(GKのクリーンシート)
計算例:家長昭博選手のケース
- リーグ点:15(全Jリーガー共通)
- クラブ点:50(川崎フロンターレ世界69位)
- 出場点 リーグ戦1213分÷(17試合x90分)+337分÷90=83点
- ボーナス点:得点4x2+アシスト1=9 年換算18
- 合計点:15+50+83+18=166
ポジション別ランキング
合計点(リーグ点+クラブ点+出場点+ボーナス点)をポジション別にランキング。
GK部門
- 出場時間はチョン・ソンリョン(2160分)、高丘陽平(2070)、西川周作(1862)
- クリーンシートはソンリョン13、西川10、高丘、ランゲラック、パク・イルギュ、村上昌謙が9試合
- 合計点はソンリョン(224)、高丘(202)、西川(194)。日本代表の権田修一は137で12位
- Top10のうち6名が外国籍選手(内韓国勢は4名)。GKは日本サッカー界の課題
- 因みに、欧州組(21-22フルシーズン)の1位はシュミット・ダニエルの164点
(トップ10)
選手 | クラブ | 合計 | |
1 | チョン・ソンリョン | 川崎 | 224 |
2 | 高丘陽平 | 横浜FM | 202 |
3 | 西川周作 | 浦和 | 194 |
4 | クォン・スンテ | 鹿島 | 182 |
5 | ランゲラク | 名古屋 | 180 |
6 | ヤクブ・スウォビィク | FC東京 | 178 |
7 | パク・イルギュ | 鳥栖 | 178 |
8 | キム ジンヒョン | セ大阪 | 177 |
9 | 村上昌謙 | 福岡 | 168 |
10 | 大迫敬介 | 広島 | 167 |
DF部門
-
出場時間はアレクサンダー・ショルツ(2029分)、安西幸輝(2024)、佐々木翔(1987)、山根視来(1980)、荒木隼人(1936)、岩波拓也(1934)
-
リーグ戦フル出場は山根・古賀太陽、鈴木義宜の3名のみ
-
ボーナス点は山根・明本考浩・ショルツ・田代雅也8、小池龍太7、小川諒也・杉岡大暉6
-
合計点は山根(186)、谷口彰悟(177)、ショルツ・佐々木(167)、安西(162)、小池(161)。日本代表の酒井宏樹は134点、長友佑都は110点
- 因みに、欧州組では冨安健洋(194)、菅原由勢(190)、伊藤洋輝(174)、吉田麻也(167)
(合計点130以上)
選手 | クラブ | 合計 | |
1 | 山根視来 | 川崎 | 186 |
2 | 谷口彰悟 | 川崎 | 177 |
3 | アレクサンダー・ショルツ | 浦和 | 167 |
4 | 佐々木翔 | 広島 | 167 |
5 | 安西幸輝 | 鹿島 | 162 |
6 | 小池龍太 | 横浜FM | 161 |
7 | 常本佳吾 | 鹿島 | 155 |
8 | 明本考浩 | 浦和 | 154 |
9 | 松田 陸 | セ大阪 | 153 |
10 | 岩波拓也 | 浦和 | 153 |
11 | 中谷進之介 | 名古屋 | 152 |
12 | 酒井高徳 | 神戸 | 152 |
13 | 荒木隼人 | 広島 | 151 |
14 | 森重真人 | FC東京 | 149 |
15 | 古賀太陽 | 柏 | 147 |
16 | 佐々木旭 | 川崎 | 147 |
17 | 関川郁万 | 鹿島 | 146 |
18 | 高橋祐治 | 柏 | 144 |
19 | 田代雅也 | 鳥栖 | 143 |
20 | 西尾隆矢 | セ大阪 | 142 |
21 | 田中駿汰 | 札幌 | 142 |
22 | ジエゴ | 鳥栖 | 142 |
23 | 小川諒也 | FC東京 | 141 |
24 | 三浦弦太 | G大阪 | 140 |
25 | 木本恭生 | FC東京 | 140 |
26 | 塩谷 司 | 広島 | 139 |
27 | 大南拓磨 | 柏 | 139 |
28 | 藤井陽也 | 名古屋 | 139 |
29 | 鈴木義宜 | 清水 | 138 |
30 | マテイ・ヨニッチ | セ大阪 | 137 |
31 | 酒井宏樹 | 浦和 | 134 |
32 | 大岩一貴 | 湘南 | 133 |
33 | 永戸勝也 | 横浜FM | 132 |
34 | 山中亮輔 | セ大阪 | 131 |
35 | 原 輝綺 | 清水 | 131 |
36 | 小林 友希 | 神戸 | 130 |
MF部門
- 出場時間は稲垣祥(2086分)、三竿健斗(1945)、菅大輝(1856)、山口蛍(1832)、前寛之(1829)、駒井善成(1814)
- リーグ戦フル出場は前寛之のみ
- ボーナス点は満田誠・マテウス・サヴィオ(20)、鈴木雄斗(15)、森島司・樋口雄太・江坂任(13)
- 合計点は満田(191)、森島(180)、樋口(178)、マテウス・サヴィオ(173)、奥埜博亮(165)、脇坂泰斗(163)
- 因みに、欧州組は鎌田大地(207)、遠藤航(199)、原口元気(198)、奥川雅也(195)、旗手怜央(165)、守田英正(164)
(合計点135以上)
選手 | クラブ | 合計 | |
1 | 満田 誠 | 広島 | 191 |
2 | 森島 司 | 広島 | 180 |
3 | 樋口雄太 | 鹿島 | 178 |
4 | マテウス・サヴィオ | 柏 | 173 |
5 | 奥埜博亮 | セ大阪 | 165 |
6 | 脇坂泰斗 | 川崎 | 163 |
7 | 稲垣 祥 | 名古屋 | 162 |
8 | 安部柊斗 | FC東京 | 162 |
9 | 三竿健斗 | 鹿島 | 161 |
10 | 江坂 任 | 浦和 | 161 |
11 | 岩田智輝 | 横浜FM | 158 |
12 | 橘田健人 | 川崎 | 158 |
13 | 鈴木雄斗 | 磐田 | 155 |
14 | 原川 力 | セ大阪 | 153 |
15 | 藤井智也 | 広島 | 151 |
16 | 清武弘嗣 | セ大阪 | 150 |
17 | 山口 蛍 | 神戸 | 150 |
18 | 福田晃斗 | 鳥栖 | 150 |
19 | 野津田岳人 | 広島 | 148 |
20 | 小野瀬康介 | G大阪 | 148 |
21 | 柏 好文 | 広島 | 144 |
22 | 小泉 慶 | 鳥栖 | 144 |
23 | ディエゴ・ピトゥカ | 鹿島 | 142 |
24 | レオ シルバ | 名古屋 | 141 |
25 | 三丸 拡 | 柏 | 140 |
26 | 和泉竜司 | 鹿島 | 139 |
27 | 菅 大輝 | 札幌 | 138 |
28 | 高嶺朋樹 | 札幌 | 138 |
29 | 松木玖生 | FC東京 | 137 |
30 | 飯野七聖 | 鳥栖 | 137 |
31 | 水沼宏太 | 横浜FM | 135 |
32 | 喜田拓也 | 横浜FM | 135 |
FW
- 出場時間はマテウス(1846分)、相馬勇紀(1633)、金子拓郎(1629)、ピーター・ウタカ(1618)、山岸祐也(1589)、鈴木優磨(1577)
- リーグ戦フル出場選手はいないが、トップはウタカで1516分
- ボーナス点は上田綺世(27)、マテウス・鈴木・町野修斗・アンデルソン・ロペス(20)、アルトゥール・カイキ(19)の順
- 合計点は上田(201)、鈴木(188)、マテウス(183)、ジュニオール・サントス(173)、ロペス(173)、家長昭博(166)。日本代表の大迫勇也は124点
- トップ10に外国籍選手6名。FWは日本サッカー界の課題
- 因みに、欧州組は古橋亨梧(208)、伊東純也(198)、前田大然(193)、堂安 律(191)、南野拓実(186)、浅野拓磨(172)
(合計点130以上)
選手 | クラブ | 合計 | |
1 | 上田綺世 | 鹿島 | 201 |
2 | 鈴木優磨 | 鹿島 | 188 |
3 | マテウス | 名古屋 | 183 |
4 | ジュニオール・サントス | 広島 | 173 |
5 | アンデルソン・ロペス | 横浜FM | 173 |
6 | 家長昭博 | 川崎 | 166 |
7 | ピーター・ウタカ | 京都 | 159 |
8 | 細谷真大 | 柏 | 159 |
9 | レアンドロ・ダミアン | 川崎 | 156 |
10 | ディエゴ・オリヴェイラ | FC東京 | 156 |
11 | アルトゥール・カイキ | 鹿島 | 155 |
12 | 金子拓郎 | 札幌 | 154 |
13 | マルシオ | 川崎 | 147 |
14 | 武藤嘉紀 | 神戸 | 147 |
15 | 山岸祐也 | 福岡 | 142 |
16 | パトリック | G大阪 | 141 |
17 | 鈴木唯人 | 清水 | 140 |
18 | 小林 悠 | 川崎 | 136 |
19 | 相馬勇紀 | 名古屋 | 134 |
20 | アダイウトン | FC東京 | 134 |
21 | チアゴ・サンタナ | 清水 | 133 |
22 | 町野修斗 | 湘南 | 131 |
23 | 仲川輝人 | 横浜FM | 131 |
24 | 小屋松知哉 | 柏 | 130 |
なお、21-22年度欧州組の評価ランキングはこちら!
Jリーグ復帰組
( )内は合計点
昨年夏以降にJリーグに復帰した主な選手
- 鈴木優磨(FW、188点)
- 安西幸輝(DF、162)
- 武藤嘉紀(FW、147)
- 酒井宏樹(DF、134)
- 大迫勇也(FW、124)
- 長友佑都(DF、110)
何と現日本代表3名は、ケガ等で日本代表に相応しい活躍ができていませんが、後半戦の大活躍を大いに期待したい。
なお、20-21年度欧州組の評価についてはこちらをどうぞ!
【20-21年度】欧州組サッカー選手ランキング、最も活躍した選手は?
Jリーグ高額市場価値選手(2M€~)
市場価値に見合った活躍をするのはケガやコンディッションの関係で難しいですね。
- 酒井宏樹(3.5M€、134点)
- 橋本拳人(2.5M€、66)
- 武藤嘉紀(2.5M€ 、147)
- アレクサンダー・ショルツ(2.3M€ 、167)
- ディエゴ・ピトゥカ(2.2M€、142)
- アンドレス・イニエスタ(2.0M€、124)
- ダヴィド・モーベルグ(2.0M€、113 )
- 鈴木優磨(2.0M€、188 )
- キャスパー・ユンカー(2.0M€、111 )
- リンコン(2.0M€、75)
なお、最新市場価値ランキングについてはこちらをどうぞ!
【2022年度版】Jリーガー推定市場価値ランキング、最高額の選手は?
2022年度暫定ベストイレブン
リーグチャンピオンから多く選出される傾向があるので、今季の前半戦でTop3にランキングされていてもベストイレブンに選ばれるかどうかはまだまだ流動的だ。
暫定ベストイレブン
- GK チョン・ソンリョン、横浜優勝なら高丘陽平
- DF 山根視来、谷口彰悟、アレクサンダー・ショルツ、鹿島優勝なら安西幸輝 or 横浜優勝なら小池龍太
- MF 満田誠、森島司、樋口雄太
- FW 上田綺世,、鈴木優磨、マテウス
おわりに
およそ200名の選手について2022年前半戦における実績を調査。独自の視点で査定しましたが、ケガなどで出遅れる選手が必ず出てきますね。後半戦の活躍を期待したい。
ところで日本代表は欧州組と欧州からの復帰組がほとんどだ。6月の強化試合ではフィールドプレーヤー24人中実に21名。
Jリーグ一勢は谷口彰悟、山根視来、上田綺世の3名。Jリーガーの招集が少ないのは代表での経験不足が理由で実力不足ではない。
その証拠に今は欧州組扱いとは言えJリーグで実績を残した海外経験1年未満の古橋亨梧、三笘薫、前田大然、田中碧は6月の強化試合に召集されている。
つまりJリーグでトップクラスの実績を残す選手なら欧州へ渡っても活躍できるし、やがて日本代表の主力になり得る。
そんな視点から見るとJリーガーパーフォーマンス査定で合計点160以上の選手にはもっと代表経験を積ませるべきだ。日本代表監督にはJリーグで大活躍する選手を勇気をもって招集してほしい。
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