【21-22年度】欧州サッカー日本人選手評価ランキング、ベスト11は?

はじめに

(2022年5月30日更新)

21-22 欧州各国の国内リーグが全て終了。そこで21-22 シーズンにおける日本人サッカー選手の実績をランキングします。選手の価値を表す指標には推定市場価値がありますが、単年度の実績を評価する指標としては不適切。

リーグもクラブも異なるので選手の実績を単純比較できませんね。しかし、リーグやクラブのレベル差を反映した独自の方式で欧州組21-22実績を評価しました。

本記事に納得できないと思われる方は沢山いらっしゃると思いますが、是非、皆さんとシェアしたいのでよろしくお願いします。

 

実績は市場価値の一部にすぎない

選手個人の評価となると推定市場価値に頼るしかないが、これは将来価値を含めた指標なので選手の市場価値と実績は必ずしも比例しません

また、市場価値は選手の将来にわたるプレー可能期間の長短で大きな差が生じる。つまり、一般的には若い選手ほど市場価値は高く評価される。

実例として、セリエAで活躍している日本代表キャプテン33歳の吉田麻也選手は3M€。一方、プレミアリーグでプレーする23歳の冨安健洋選手は25.0M€。両選手の推定市場価値にはなんと8倍以上の開きがある。

因みに、推定市場価値の主な決定要因は、

  • 年齢
  • リーグ
  • ポジション(評価額はFW>MF>DF>GK)
  • 人気度
  • ケガの頻度
  • ロイヤリティ(現所属チーム満足度)
  • 新環境適応能力
  • 過去の実績(ゴール数など) 

市場価値はこうしたデータを総合的に判断して算定されるので、選手の実績は市場価値の一部にすぎない。

 

実績を独自の視点で評価

欧州組日本人サッカー選手の21-22シーズン実績を4つの独自視点で評価。

リーグ点

リーグのレベルが高いとなかなか結果(得点など)を出すのは難しくなる。そこで2021年1月29日時点のリーグ世界ランキングに応じてポイントを付与(リーグ点)。 

  • 50点 イングランド、スペイン、イタリア、ドイツの1部リーグ
  • 40点 フランス1部リーグ
  • 30点 ポルトガル、オランダの1部リーグ
  • 20点 ランキング8位~15位(ロシア、ベルギーの1部リーグ)
  • 15点 16位~30位(オーストリア、スコットランド、スイス、ドイツ2部) 
  • 10点 31位~50位(フランス・スペインの2部リーグ)

クラブ点

クラブのレベルが高ければ出場する事さえ難しくなる。選手の成績を評価する尺度の1つが出場時間なのでレベルの高いクラブにおける出場減を補てんする目的で2022年5月22日時点の所属クラブ世界ランキングでポイントを付与(クラブ点)。

  • 100点(1~16位)リヴァプール
  • 70点(17位~50位)アーセナル、PSV、ウニオン、セルティック
  • 50点(51位~100位)フランクフルト、AZ、ストラスブール、レガネス
  • 45点(101位~200位)ボーフム、サンジロワーズ、サンプドリア
  • 40点(201位~300位)デュッセルドルフ、HJK、シュトゥットガルト、ユトレヒト、ヘンク、マジョルカ、ビーレフェルト、ラピード・ウィーン
  • 35点(301位~400位)ジル・ヴィセンテ、LASK、サンタ・クララ 
  • 30点(401位~500位) ニーム、ロストフ、シャルルロワ
  • 25点(501位~750位)ハノーファー、シント・トロイデン、シャルケ、ポルティモネンセ、エストリル
  • 20点(751位~1000位)PECズボォレ、FCシオン
  • 15点(1001位~1500位)オーステンデ、コルトレイク、グラスホッパー、トゥールーズ
  • 10点(1501位~)ローザンヌ、ベールスホット 

出場点

ビッグクラブ所属であろうがマイナークラブ所属であろうが、出場時間は選手を評価する上で欠かせない基準の1つ。そこで選手の出場時間を点数化(出場点)。

リーグ戦の年間試合時間を分母として使用。例えば、ブンデスリーガ1部なら分母は3060(全34試合フル出場で3060分)。リーグ戦出場時間が2000分の選手なら、出場点は2000/3060で65点。ただ、この分母はリーグによって異なる。

  • プレミアリーグ 38試合
  • リーガ・エスパニョーラ 38
  • セリエA 38
  • ドイツ・ブンデスリーグ1部・2部 34
  • フランス・リーグ1部・2部 38
  • ロシア・プレミアリーグ 30
  • プリメイラ・リーガ 34
  • エールディヴィジ 34
  • ファースト・ディビジョンA 34
  • スコティッシュ・プレミアシップ 38
  • オーストリア・ブンデスリーガ 32
  • スイス・スーパーリーグ 36
  • スペイン・セグンダ・ディビシオン 42

なお、シーズン中に移籍した場合は、移籍後の期間(移籍直後の1試合は対象外)における出場可能な時間を分母として使用。そして、ケガ・出場停止、代表試合期間、東京五輪期間(+終了直後の1試合)などの公式試合を対象外とし分母から除外。

また、リーグ戦以外の公式戦(欧州CL・欧州EL・国内カップ戦など)出場時間も90分毎に1点を出場点に加算。

ボーナス点

得点・アシスト数・CS(GKのクリーンシート)を全公式試合を対象に下記の通り評価に反映。 

  • 得点   +2点
  • アシスト +1点
  • CS   +2点

合計点

選手の評価ランキングを下記の合計で算出。

  • リーグ点
  • クラブ点
  • 出場点
  • ボーナス点

具体的な計算例

 伊東純也のケース 合計点 20+40+101+37=198点

  • リーグ点 ベルギーリーグ10位 20点
  • クラブ点 KRCヘンク 世界ランキング256位 40点
  • 出場点 リーグ戦34試合 リーグ戦出場時間2694分÷(34x90)=88点+リーグ戦を除く公式試合出場時間1196分÷90=13点 計101点
  • ボーナス点 8得点21アシスト 8x2+21=37点

 堂安律のケース 合計点 30+70+66+25=191点

  • リーグ点 オランダリーグ7位 30点
  • クラブ点 PSV 世界ランキング33位 70点
  • 出場点 リーグ戦34試合-ケガ4試合-東京五輪1試合 リーグ戦出場期間1517分÷(29x90) 58点+リーグ戦以外の公式戦出場時間707分÷90=8点 計66点
  • ボーナス点 11得点3アシスト 11x2+3=25点

 

ポジション別ランキング 

合計点で算出した日本人サッカー選手の評価ランキングはどうしてもFWに有利になってしまうので、評価ランキングはポジション別。

なお、出場時間は一流選手のバロメーターの1つ。彼らは試合数が多いので、GKなら年間およそ4500分前後、DFなら4000分、FWやMFなら3500分前後出場。ケガなどが少なくタフネスが必須。

20-21では欧州初挑戦で大活躍したのはMF部門3位の守田のみ。21-22は初挑戦Top3に古橋、前田、伊藤の3名

 

GK

  • 市場価値M€(2022年5月18日現在)はシュミット0.8、中村0.4、川島0.35
  • シュミット・ダニエルの出場点は97で2790分。海外日本人GKでは唯一レギュラー
  • 中村航輔は2021年1月移籍以来リーグ戦実績ゼロであったが、21-22シーズンでは第20節と最終節に出場。川島選手を見習って我慢強くチャンスを待っている。来季レギュラーを掴みとるかも?
  • 20-21評価ランキングは川島、シュミット、中村の順

左から 選手 (所属) 合計点

  1. シュミット (シント・トロイデン) 164
  2. 川島永嗣 (ストラスブール) 96
  3. 中村航輔 (ポルティモネンセ) 63

 

DF

  • 市場価値は冨安25、板倉3.5、吉田3、菅原3、伊藤3
  • 冨安はケガで出場点大幅減の73。それでも合計点194でDF陣1位。菅原2位188、3位伊藤174
  • 出場点では菅原1位99、板倉2位97、中山3位93
  • 出場時間は菅原3728分で1位。2位は中山で2838分。トップレベルの選手と同程度は菅原のみ
  • B点では菅原9、板倉8、吉田・中山7
  • 板倉は合計点145であるが、来季もシャルケでプレーすれば、リーグ点が35点アップするので180は固い
  • 吉田は第30節から出場時間大幅減。今夏Jリーグ名古屋に復帰か?
  • 20-21のTop5は順に冨安吉田、酒井、菅原、板倉

左から 選手名 (所属クラブ) 合計

  1. 冨安健洋 (アーセナル) 194
  2. 菅原由勢 (AZアルクマール) 190
  3. 伊藤洋輝 (シュトゥットガルト) 174
  4. 吉田麻也 (サンプドリア) 167
  5. 中山雄太 (PECズヴォレ) 150
  6. 板倉 滉 (シャルケ) 145
  7. 橋岡大樹 (シント・トロイデン) 128
  8. 室屋 成 (ハノーファー) 115
  9. 植田直道 (ニーム) 110
  10. 瀬古 歩 (グラスホッパー) 102
  11. 町田浩樹 (サンジロワーズ) 100
  12. 渡辺 剛 (コルトレイク) 89

 

MF

  • 市場価値は鎌田20、遠藤航10、奥川5.0、守田4、原口3、三好2.5
  • 得点は鎌田と奥川が9ゴールで1位。アシストは1位森岡14、2位原口6
  • B点(得点x2+アシスト)では1位鎌田・森岡22、3位奥川20、4位川辺18。旗手は出場時間1343分で11
  • 出場点は1位遠藤99、2位守田94、3位川辺89
  • 出場時間では1位鎌田3342分、2位守田3102分、3位遠藤2992。それでも欧州のトップレベルの選手と比べてやや少ない
  • 20-21のTop5は順に鎌田遠藤航、守田、原口奥川

左から 選手名 (所属クラブ) 合計

  1. 鎌田大地 (フランクフルト) 207
  2. 遠藤 航 (シュトゥットガルト) 199
  3. 原口元気 (ウニオン・ベルリン) 198
  4. 奥川雅也 (ビーレフェルト) 195
  5. 旗手怜央 (セルティック) 165
  6. 守田英正 (サンタ・クララ) 164
  7. 藤本寛也 (ジル・ヴィセンテ) 161
  8. 森岡亮太 (シャルルロワ) 154
  9. 中島翔哉 (ポルティモネンセ) 148
  10. 長谷部誠 (フランクフルト) 148
  11. 柴崎 岳 (レガネス) 140
  12. 川辺 駿 (グラスホッパー) 137
  13. 三好康児 (アントワープ) 130
  14. 坂元達裕 (オーステンデ) 123
  15. 田中 碧 (デュッセルドルフ) 122
  16. 橋本拳人 (ロストフ) 120
  17. 鈴木冬一 (ローザンヌ) 90
  18. 井手口陽介 (セルティック) 90
  19. 香川真司 (シント・トロイデン) 62

 

FW   

  • 市場価値は南野12、久保建9、伊東純7.5、堂安6.5、古橋5.5、三苫2.5、浅野2.5
  • 得点は古橋20、オナイウ阿道12、堂安11、南野10
  • B点では1位古橋45、2位伊東37、3位オナイウ28、4位堂安25。5位前田・南野21、6位三笘20。前田は後半戦のみの1633分で21。仮に横浜時代と同じプレー時間なら38。来季期待
  • 出場点80以上は伊東101と前田87の2名だけ
  • 出場時間では伊東純也が欧州組全体1位で3890分。FW部門2位はフランス2部のオナイウ阿道で2802分。3位の堂安律は大きく減って2224分。4位古橋2166分。伊藤を除けば欧州のトップレベルの選手と比べてかなり少ない。出場時間だけを見ても日本代表FW不足であることが分かる
  • 三笘選手の合計点は130でかなり低いが、仮にブライトンに移籍してサン=ジロワーズと同程度の実績を残せば、評価ポイントは+65になり、たちまち欧州組のTop5にランキングされる。来季が楽しみ
  • 20-21のTop5は順に伊東、浅野、堂安、鈴木優磨、南野

左から 選手名 (所属クラブ) 合計

  1. 古橋亨梧 (セルティック) 208
  2. 伊東純也 (KRCヘンク) 198
  3. 前田大然 (セルティック) 193
  4. 堂安 律 (PSV) 191
  5. 南野拓実 (リヴァプール) 186
  6. 浅野拓磨 (ボーフム) 172
  7. 久保建英 (マヨルカ) 160
  8. 原 大智 (シント・トロイデン) 143
  9. 三笘 薫 (サンジロワーズ) 141
  10. オナイウ阿道 (トゥールーズ) 129
  11. 林 大地 (シント・トロイデン) 129
  12. 遠藤渓太 (ウニオン・ベルリン) 122
  13. 中村敬斗 (LASK) 116
  14. 田川亨介 (サンタ・クララ) 111
  15. 前田直輝 (ユトレヒト) 82
  16. 鈴木武蔵 (ベールスホット) 71
  17. 北川航也 (ラピッド・ウィーン) 71
  18. 食野亮太郎 (エストリル) 62
  19. 岡崎慎司 (カルタヘナ) 57

 

欧州組ベスト11

代表チームを組むわけではないので単純に実績主体で選出(太字

  • GK部門:シュミット以外選択の余地なし
  • DF部門:冨安菅原伊藤は文句なし。吉田か板倉で迷ったが、DF陣でリーグ戦出場1位そしてドイツ2部シャルケ優勝に貢献した板倉を選択
  • MF部門:鎌田・遠藤・原口を選出。原口か奥川で迷ったが、原口は先発率68%でウニオンをブンデスリーグ過去最高位の5位へ、その結果クラブランキングも過去最高位の世界33位に躍進。一方、奥川のビーレフェルトは2部降格
  • FW部門:公式戦20ゴールの古橋。そして出場時間全体1位、アシスト21の伊東。前田か堂安で迷ったが、レベルの高いオランダリーグで日本人3位の11ゴールをあげた堂安を選択(前田は後半戦のみ出場なので不利、ゴメン)

なお、最優秀選手賞は鎌田か古橋で迷ったがEL優勝に大貢献の「EL男」鎌田。最優秀新人賞(欧州デビュー)に古橋と伊藤、得点王に古橋、アシスト王に伊東、最多出場賞に伊東。

上記のベスト11で最近日本代表に招集されていない選手・未召集選手が11名中4名(菅原・伊藤・鎌田・堂安)。しかし、6月の国際親善試合に招集されましたね。

 

おわりに

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私はこの独自の基準で選手の評価ランキングを何度も行っているが、2021年度のJリーガーを主体にしたポジション別実力度ランキングTop3の内、実に8名が2021年度J1ベストイレブンを受賞。

本記事では、上記の記事とほぼ同じ基準で欧州組を評価。日本でプレーしていた時と同等の実績を残せば、日本より上位のリーグやクラブに移籍した選手の評価ポイントは大きくあがる一方で、下位クラブへ移籍したら評価は下がる。

言うまでもないが、欧州に移籍すると言葉・生活習慣など環境がガラリと変わり、大きなハンディを抱えてプレーすることになるが、自分で選んだ道だ。評価の低かった選手はいっそう頑張って欲しい。

もちろん、超一流選手はもっとすごい(プレミアリーグ得点王のモハメド・サラーとソン・フンミンの合計点はそれぞれ326と310)。評価の高かった選手は夢に向かってさらに邁進してほしい。

独断と偏見に基づいたランキングでしたが、日本代表選手招集予想や移籍の際の参考にして頂ければ幸いです。

 

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