はじめに
「日常会話と違ってあまり間違いは許されません」とお思いでしょうが、セイン先生曰く、“「正しい英語」より「伝わる英語」が大切”。そう言われても「伝わりやすい表現って、どういう英語なの?」
ネイティブでない私達は、ビジネスシーンにおいて「伝わりにくい表現」、「使ってはいけない表現」、「誤解されやすい表現」などを知らずに使っていることでしょう。
そんな私達にとってありがたいのが、活用頻度の高い表現をまとめたセイン先生の「ネイティブに伝わるビジネス英語700」。これを理解すれば英語力がワンランクアップするのは勿論のこと、上司に認められて昇進するかも知れませんね。
それではこの本の中から私自身が使った覚えのある伝わりにくい12の表現を取り上げてこの本の紹介とさせていただきたい。
「ネイティブに伝わるビジネス英語700」本の紹介
- 出社してから帰るまでネイティブに伝わるビジネス英語700
- デイビッド・セイン著
- 223ページ
- 一通り読むのに2時間+
- 中古本なら500円未満
なお、詳しい解説や他の類似動詞に関しては本をご覧ください。また、購入希望の方はこちらをどうぞ!
ビジネス英語事例
伝わりにくい表現(上段)と伝わる表現(下段)を取り上げて簡単に解説していますが、よりわかりやすくするため、英語表現を除いて一部の内容にちょっとだけ手を加えました。なお、日本語訳は英語表現を聞いたネイティブの感じとる気持ちを表した言葉になっています。
1.難しそうなプロジェクトを担当する事になった同僚を力付ける
I hope everything goes well.
I’m sure everything will go well.
上:万事うまくいくように。
下:大丈夫。万事うまくいきますよ。
I hope everything goes well. の場合、ネイティブの耳には「まあ、無理かもしれないけれど」という前置きがあるように聞こえてしまう。I’m sure everything will go well. のほうがあなたの相手への「確信」が伝わる。
2.お話したいことがあると上司に言う
We need to talk.
We need to talk about ・・・
上:お前と話がある。
下:私たちは~について話をしなければならないね。
We need to talk. は普通、上司が部下に対して使う。深刻な表現で勤務上の注意や解雇などを告げるために呼び出すときの一般的な言い回し。上司でも、We need to talk about ・・・ のように具体的な話題を入れて部下の気持ちの負担を柔らかくする気配りが必要。
3.上司から課題を課されたが理解できないのでたずねる
What do you mean?
Specifically?
上:ということは? それってどういう意味?
下:具体的に言うと?
What do you mean? では怒りの表現になってしまう。一方、少し具体的な説明が欲しい場合は、Specifically? がよい。
他によい表現は、
Like what? (例えば?)
Tell me more.(詳しく教えてください)
4.予定を尋ねられて、今は時間がないと伝える
I don’t have time.
I don’t have time right now. How about 4:00?
あんたのための時間なんかないよ。
今はあまり時間がありません。4時でどうですか?
I don’t have time. はストレートすぎて「あなたと話す時間なんてない」と受け取られてしまう可能性がある。一方、How about 4:00 tomorrow? など提案を加えると、相手はずっとよい気持ちになる。
5.上司に出張の同行を打診されて返事する
I’ll do it if I have time.
I’ll arrange my schedule.
上:時間があれば、そうします。
下:都合をつけます。
if I have time という条件付きだとやる気が上司に伝わらないし、「まあ、無理だと思うけど」と断りの返答として受け取られても仕方ない。I’ll arrange my schedule. なら気持ちのよい返事を返すことになる。
6.上司から仕事の念をおされて返答する
I know that.
Oh, thanks.
上:それくらいわかっていますよ。
下:はい、分かりました。
Oh, thanks. の場合「念を押してもらってありがとうございました」と受け取ってもらえる。一方、I know that. は「言われなくても分かっています」「余計な心配ですよ」と受け取られるご法度の表現。
7.上司からプロジェクトリーダーに指名されて承諾する
I’ll try.
I won’t let you down.
上:一応はやってみます。
下:がっかりさせませんよ。
あなたにやる気があっても I’ll try. では「まあ、結果はよく分かりませんが、一応やってみましょう」というかなり後ろ向きの発言になってしまう。相手を安心させ期待を持たせるには I won’t let you down. や I’ll do my best.(ベストを尽くします)。
8.直前に変更を求められて返答する
That’s impossible.
That’s not possible.
上:無理!無理!
下:むずかしいですね。
That’s impossible. はキッパリ感があるが、感情的な拒否に聞こえる可能性があるので上司やお客様には避けたい表現。一方、That’s not possible. は冷静でおさえた言い方に聞こえ、直接的な摩擦を避けられる。同様に、difficult(むずかしい)を not easy(簡単ではない)に換えることでずっと柔らかく聞こえる。
9.自分の考えに賛成するかどうかをたずねる
Do you agree?
Would you agree?
上:賛成?反対?どっち?
下:賛成できそうですか?
Do you agree? ではあまりにもストレートな質問で相手の選択肢は Yes/Noしかないような気持ちにさせてしまう。これをソフトにするのが Would you agree? これなら相手は無理にYes/Noで答えなくてもいいので正直な意見が聞ける。
10.お礼を言われたとき気持ちを伝える
It’s okay.
It’s my pleasure.
上:ま、いいよ。
下:どういたしまして。
「いえ、大丈夫ですよ」のつもりで It’s okay. と言うと、ネイティブの耳にはちょっと上から目線のひと言に聞こえてしまう。一方、It’s my pleasure. は「それは私の喜びです」と気持ちのよいひと言を返すことになる。
11.上司に意見を求める
What's your opinion?
What do you think about this?
上:(あまり参考にならないと思うけど)あなたはどう思う?
下:この件についてどうお考えですか?
ネイティブのopinionという言葉にもつイメージは「思いつきの意見」。そのため What's your opinion? と聞かれるとネイティブは「自分の意見なんて重要でない」と感じてしまうので、一般的に使われる What do you think about this? のほうがよい。
12.誘われたが興味がないので断る
I am not interested.
I'm not interested.
上:私は興味ありませんね。
下:私は興味がありません。
I am という表現すると強く自己主張しているように聞こる。I am not interested. は「俺はそんなことに興味なんてないからな」と話しているように響くので、実際に腹を立てていないなら I'm not interested. と表現すれば落ち着いた普通の表現に聞こえる。
おわりに
私はずっと外資系で働いていました。そして半分くらいの期間はネイティブが上司。5人ほどでしたが、みんな紳士的な上司で部下とのコミュニケーションが素晴らしかった。一方、外国人の部下も数人。この本に挙げている伝わりにくい表現を上司にも部下にも時々使っていたように思えて仕方ない。
人生やり直せるなら若い頃にこういう本に巡り合いたかった。「時すでに遅し」。ですから、「ネイティブに伝わるビジネス英語700」は現役の皆さんに、是非、読んでいただきたい一冊。
もちろん、ビジネスシーンに限らず、いろんな場面で使える表現が多数掲載されているので英会話力を向上したいと思う方にも読んでほしい一冊。
いかがでしたか? 少しでもお役に立てたなら幸いです。