主要リーグのリーグ戦順位とクラブ市場価値に関連性はあるの?

はじめに

2023年5月22日掲載:2024年1月5日更新

JリーグとKリーグのクラブ市場価値格差は極めて小さい。この事実は世界の主要28リーグを調べた範囲では極めて例外のようだ。

本記事では、主要リーグにおけるクラブ市場価値格差、そしてリーグ戦順位とクラブ市場価値の関連性に関する調査結果を皆さんとシェアしたいと思います。リーグ戦順位予想などの参考にして頂ければ幸いです。

 

クラブ市場価値格差

 よく「2強」という言葉を耳にするが、そのリーグのクラブ市場価値をグラフにすればよく分かる。例えば、フランスのリーグなら1強、スペインなら2強、ポルトガルとオランダなら3強。例外は、米MLS,、J1、K1くらい。

世界では非情なクラブ市場価値格差は当たり前。下記の通り調査結果(2024年1月2日現在)をまとめました。

 

4大リーグ

プレミアリーグは穏やかな右肩下りですが、右端の2クラブのMVが極端に低い。これは昇格組のシェフィールドルートンの市場価値で、前季最低MVの244よりも一気に85まで下がったからで、市場価値最大格差も4倍増で12.5倍

ラ・リーガの市場価値最大格差は19.6倍セリエAは、むしろ例外で、クラブ市場価値最大格差は7.6倍、一方、ブンデスリーガのそれは22.7倍。

 

ポルトガルとオランダ

どちらもほぼ3強と言える。ともに最大格差が大きく、ポルトガル31.5倍、オランダ25.0倍。さらに、どちらも下位9チームはJ1と同等の市場価値で22M€以下

 

トルコ・サウジ・ブラジル・オーストリア

トルコ2強、サウジアラビア3強、オーストリア1強。ブラジルは2強だが、比較的穏やかな右肩下がりでクラブ市場価値最大格差は9.4倍。オーストリアのそれは28.7倍で下位8チームの市場価値はJ1/J2と同等 

 

米MLS・アルゼンチン・ウクライナ・メキシコ

米MLSはメッシの加入でマイアミが少し突出したが、それでもクラブ市場価値最大格差はわずか3.2倍。アルゼンチンは2強で最大格差は11.6倍。ウクライナも2強で最大格差20.5倍。メキシコは、米国と同様、穏やかな右肩下がりで最大格差は4.4倍

 

ドイツ2部・J1・K1・モロッコ

4リーグともきれいな右肩下がり。ドイツ2部に突出したクラブがない、欧州では例外と言えよう。最大市場価値格差も3.5倍と極めて低い。

FIFAワールドカップ2022ベスト4のモロッコのクラブ市場価値は以外にもJ1~J3上位と同等リーグ市場価値はJ2より低い。それでもベスト4になれたのは多くの選手が5大リーグなどで活躍しているからでしょう。

J1とK1はクラブ市場価値格差が最も低くそれぞれ2.0倍と1.9倍 

 

上位25%シェア

リーグによってチーム数が異なるが、上位25%(リーグクラブ数が20なら上位5クラブ)のクラブ市場価値がリーグ市場価値の何%を占めているかを調べると上記クラブの突出度が分かる。

上位25%の割合が高い順に、ポルトガル81%、オランダ78%、スコットランド75%、サウジアラビア72%、オーストリア72%。一方、少ないリーグは護送船団方式の米MLSと日本でそれぞれ32%35%、そしてK1の34%。

なお、4大リーグではラ・リーガの上位25%(上位5クラブ)は62%で最も高い。

 

リーグ戦順位とクラブ市場価値

主要リーグにおいてクラブ市場価値格差が呆れたほど大きいことは分かったが、リーグ戦順位とクラブ市場価値の関連性はどうなのか? 

それを知る為に横軸を市場価値、縦軸をリーグ戦勝点(≒2024年1月2日現在or 2023年シーズン)。右肩上がりならば関連性が高いと言えよう。

4大リーグ:4リーグともおおむね右肩上がり。ただ、スペインではクラブ市場価値下位7チーム(市場価値最大格差1.7倍で市場価値100M以下)のクラブ市場価値と勝点の関連性は乏しい。

オランダ・ベルギー:どちらもリーグ戦順位とクラブ市場価値の関連性があると言えるが、オランダの下位9チーム、ベルギーの下位8チームに限定すると関連性は薄い。これらのクラブ市場価値はJ1と同等市場価値最大格差はそれぞれ1.8倍と2.1倍

ポルトガル・サウジ・メキシコ・ブラジル:いずれも数クラブを除けばリーグ戦順位とクラブ市場価値の関連性はある。特にメキシコではクラブ市場価値がほぼ均等の差なので概ねきれいな右肩上がり。

ドイツ2部・K1・J1ドイツ2部の最大格差は3.5倍でリーグ戦順位とクラブ市場価値の関連性あり。J1では2023年度は関連性が見られるが、2022年度は全く見られない。K1も同様。J1とK1の市場価値最大格差2.0倍程度では関連性は認められない。

まとめ

リーグ戦順位とクラブ市場価値の関連性有無はどうやらクラブ市場価値格差の程度でその強弱が決まるようだ。

J1やJ2のようにクラブ市場価値最大格差が2倍程度では関連性は無いに等しいが、最大格差が3.5倍のドイツ2部の場合、リーグ戦順位とクラブ市場価値の関連性が見られるので、これが関連性有無の最低ラインでしょう。

なお、クラブ市場価値とリーグ戦順位が釣り合わないチームが散見されるが、これは監督のマネージメント能力が関係していると思われる。

 

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おわりに

クラブ市場価値格差があまりにも大きいと低いチームの選手のモチベーションにどうなるのでしょうう?

あくまで推察の域ですが、おそらくモチベーションは高まるのではないでしょうか? 強豪チームに対して高パーフォーマンスを発揮できればステップアップの可能性が高まるからです。そうであるならリーグに誰もが認める強豪チームの存在が必要

欧州で市場価値格差が拡大したのは放映権料収入格差によるが、Jではリーグ配分金は“均等”から“結果重視”へ変わる。この配当金格差などが徐々にリーグ戦順位とクラブMVの関連性を強め、やがて3強時代になる

そうなれば、JのクラブがAFCチャンピオンになる可能性が高まる。ACLでJリーグ勢がサウジアラビア勢に勝利することは、これまでの3倍の優勝賞金を手にすることとは別に、膨大な価値を生み出す。

優勝クラブだけでなくJリーグ全体の評価が高まる。その結果、Jリーガーの市場価値は勿論のこと、海外へ移籍する際の移籍金は何倍にもなるでしょう。さらに、32チームに拡大したFIFAクラブワールドカップ出場となれば100倍楽しくなりますね。

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