カタールW杯:日本代表、攻撃に変化を加えればGL突破が見えてくる

2022カタールW杯グループスリーグ(GL)で対戦する相手はワールドカップ優勝経験のあるサッカー大国のドイツとスペイン。日本代表はショートパス主体にビルドアップする戦術で攻撃を組み立てているが、ここ2年、格上のチームから得点したことがない。このままではGL突破は絶望的。

日本代表(なでしこジャパンも含めて)のパスサッカーではボールキープが最優先される。ボールロストは恥。格下相手なら現状の攻撃スタイルで十分だが、個やチームのレベルが上の相手には不十分な戦術なのだ。

強豪国に引き分け以上の結果を残したいなら、「虎穴にいらずんば(相手が最も嫌がるプレーや意表を突くプレーがなければ)虎児(得点)を得ず」と思う。

幸い、格下のチームが格上のチームに対して引き分け以上の結果を残すことはよくある。そうしたゲームの内容を分析することで日本代表の2022年カタールW杯GL突破が現実になるかも知れません。

ただ、サッカーファンのひとりとして日頃から感じている攻撃面に関しての改善点を綴りましたので、その点を皆さんとシェアしたいと思います。

 

格下のチームが得点した試合

22.8.16 リヴァプール 1-1 クリスタル・パレス

  • ボール保持率 73% - 27%
  • パス 741本 – 274本
  • シュート 24本 – 7本

スタッツの通り防戦一方のクリスタル・パレスは、自陣でマイボールに、そして、即座に相手陣内のFWへロングパス。そこからドリブルでPA内に持ち込み先制ゴール。日本代表なら間違いなくロングパスでなくバックパスか横パスを選択したでしょう。

https://www.youtube.com/watch?v=uotAaUUCtvs

 

22.8.28 バイエルン 1-1 ボルシアMG

  • ボール保持率 69% - 31%
  • パス 611本 – 286本
  • シュート 33本 – 5本

スタッツの通り守備の時間が長かったボルシアMGは、自陣ペナルティエリアのすぐ外で受けたスローインボールをダイレクトでハーフウェイライン手前の味方にロングパス。そこからドリブルで一気にPA内まで持ち込み先制ゴール。日本代表なら間違いなくロングパスでなく近くのフリーな味方へのパスを選択したでしょう。https://www.youtube.com/watch?v=MvzsfmSqT94

 

22.5.25 イタリア 0-1 北マケドニア

  • ボール保持率 66% - 34%
  • パス 565本 – 309本
  • シュート 32本 – 4本

 

欧州王者イタリアがワールドカップ欧州予選敗退となった試合。北マケドニアのGKからのロングフィードをバックヘッドで前方つなぎ決勝のミドルシュートで勝利。日本代表ならGKのロングフィード、バックヘッド、ミドルシュートの選択は一つもなかったかも知れません。https://www.youtube.com/watch?v=3TUPuknuA5w

 

日本がやや格下の相手に負けた試合

 

22.6.14 日本(23位) 0-3 チュニジア(35位)

  • ボール保持率 68% - 32%
  • パス 641本 – 315本
  • シュート 8本 – 8本

チュニジアの1点目はPA手前のFWへのミドルパス。慌てた吉田のファイルを誘いPKによる得点。2点目はDF陣の裏へのロングフィードからの得点。まさかPA内まで走り込んでくるとは思わなかった日本。3点目は自陣からドリブルで運びPA外からのミドルシュートによる得点。日本代表ならミドルシュートではなくより確実なパスを選択したでしょうね。https://www.youtube.com/watch?v=3TUPuknuA5w

 

22.8.15 ACミラン女子 3-1 東京ヴェルディベレーザ

  • ボール保持率 38% - 62%
  • 枠内シュート 5本 – 10本

ボール保持率でも分かるように個の技術では明らかに東京VBの方が上。日本がいつものショートパス主体で攻撃を組み立てる。一方、ACミランはロングパスやミドルパスを多用。ロング・ミドルパスはACミランがおよそ36本、東京VBは12本程度。ACミランはそのうち2本を得点に結びつけた。特に1点目はDFの横のスペースへのグラウンダーのパスが起点。https://www.youtube.com/watch?v=mBm_Bsk-in4

 

22.8.29 スペイン女子U20 3-1 日本女子U20

FIFA U-20女子ワールドカップ優勝決定戦。個の技術では明らかに日本が上。

  • ボール保持率 42% - 58%
  • シュート 8本 – 15本

1・2点目は日本のDF陣の裏へのロングフィードから得点。3点目のDF裏を狙った浮き球のパスからのPK獲得による得点。https://www.youtube.com/watch?v=G9-35AjdekA

 

21.11.21 なでしこジャパン(13位) 0-2 アイスランド(16位)

なでしこジャパンの個の技術は高いので、パスサッカーする相手には強いが、課題はサイドを使った駆け上がりからのクロスやロングフィードには弱いこと。この試合もその典型。

  • ボール保持率 62% - 38%
  • シュート 14 – 11

2点目は一本のロングパスが起点。https://www.youtube.com/watch?v=JivMZF_QZNQ

 

因みに、日本が格上のチームとの対戦結果試合はどうだったのか?

22.6.6 日本 0-1 ブラジル(FIFAランキング1位)

  • ボール保持率 47% - 53%
  • パス 405本 – 454本
  • シュート 7本 – 21本

失点はPK。お互いパスとつなげてビルドアップしながら攻めるスタイル。日本はこういう同じような戦術で戦う相手なら、世界一のチームに対してでも善戦できる。ボール保持率やパスはほぼ互角。ただ、内容的には得点以上に圧倒された。https://www.youtube.com/watch?v=1Ijc_6NepNI

22.9.23 日本 2-0 アメリカ(FIFA14位)

  • ボール保持率 43% - 58%
  • パス 431本 – 583本
  • シュート 16本 – 4本

ブラジル戦よりもボール保持率が低かったのは驚きだ。ロングフィード・パスはほぼ互角でそれぞれ20本ほど。

ロングフィード・パスを多用していなかったが、丁寧なビルドアップよりも手数を掛けずにハイプレス・攻守の切り替えの早さ・縦へのスピード(いわゆる高速カウンター攻撃など)を重視してシンプルな攻撃に徹したと言える。

 

日本代表の戦術

日本代表(なでしこジャパンも同様)では、ショートパスを主体にしてビルドアップやポストプレーで攻撃の人数を揃えながらシュートチャンスを作る戦術。格下相手に対してはかなり有効。パスサッカーでは必然的にボールの保持率が高くなる。

一方、ボールロストやパスミスは許されない。さらに日本ではミスは恥じるべきアクションとして受け取られる。安全第一。その顕著な例が横パスやバックパスの多さ。ロングパスやロングフィードはミス(相手ボール)になる確率が極めて高いので止むを得ない状況に陥らない限り選択しない。

 

格上相手に対して得点するには? 

上記の例では自陣あるいはハーフウェイラインからのロングパスやDFの裏へのロングフィードなど意表を突くプレーがあった。まさしく、格下のチームが格上のチームに(スコア的に)互角以上の結果を残すお手本。

強豪国に対して丁寧なビルドアップだけでは得点は難しい。変化が必要だ。例えば、DFラインが整う前に前線へパス、相手が嫌がるコースへパス、DFと1対1になるコースへパス。DFラインの裏へロングフィードなど。パス成功率はかなり落ちるが、得点の可能性は飛躍的に高まる。おそらくこうしたチャンスを20回作れば、1回くらいは得点に結びつくかも知れない。

 

ハイプレスや高速カウンター攻撃が有効

今の日本代表では強豪国に勝てないことが分かったが、ハイプレス・攻守の切り替えの早さ・縦へのスピード(いわゆるロング・ミドルパスを織り交ぜた高速カウンター攻撃など)を重視してシンプルな攻撃に徹すれば強豪国に対して引き分け以上の結果を残せることもわかった。

いずれにしてもチーム内でその狙いを共有すれば、効果的に実践できるだろう。

幸い今の日本にはスピード(伊東・前田)、個での突破(三笘)、そしてDFの裏を取る能力(古橋)に優れた選手がいる。さらに中盤と前線を素早く上下できる体力のある選手(田中、守田)がいる。特にDFの選手には勇気をもってロング・ミドルパスを駆使してほしい。

 

おわりに

世界一のブラジル戦相手でも日本代表のパスは400本を超えている。その内の5%、あるいは1試合20回程度でも自陣からの最前線へのロング・ミドルパス、相手DFの裏やスペースへのロングフィードなど、攻撃に変化を加えれば、得点の可能性が高まる。

日本代表(FIFAランキング24位)は、9月欧州遠征で格上のアメリカ(14位)と対戦するが、是非、チャレンジしてほしい。

一方、やや格上の日本に対してエクアドル(44位)がどのような戦術を取るのか?ロングフィードなどを積極的に用いるか興味深いですね。

22カタールW杯で日本代表がドイツ・スペインに善戦することはブラジル戦からしても十分期待できるが、これまでの戦術だけでは勝利は遠い。

ただ、ハイプレスや高速カウンター攻撃などで手数を掛けないプレーにチャレンジすれば、得点の可能性が高まり、1勝1分1敗上の成績を残すことは十分あり得る。そうなればGL突破が見えてくる。

 

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