はじめに
デイビッド・セイン先生曰く、”英語の冠詞の使い方は「習うよりも慣れよ」”。もちろん、冠詞の使い方にルール(文法)はあるが、100近いルールに加えて例外も山ほどあるので覚えるのは難しい。
では、ネイティブはどのように覚えたのか? ネイティブは「どの名詞にどの冠詞が付くか」を無意識にいつのまにか自然に身に付けるそうだ。
私達も「冠詞本来の意味合い」をネイティブの冠詞感覚から身につけ、その上でルールを直感的に判断できるようになれば、冠詞を自然に使い分けられるハズだと言っている。
例文をいくつか紹介しますので「冠詞感覚」を身につけていただきたい。
本の紹介
- ネイティブが教える本当の英語の冠詞の使い方
- デイビッド・セイン著
- 162ページ
- 一通り読むのに2時間+-
本の構成
- 序 章 ネイティブにとって冠詞とは?
- 第1章 a/an/the/無冠詞とは?
- 第2章 ルールで覚える冠詞の使い方
- 第3章 冠詞の違いによるニュアンスの違いを実感する
- 第4章 冠詞の英訳
- 第5章 中級編 ビジネス例文に挑戦
- 第6章 冠詞の仕上げ問題に挑戦!
ネイティブの冠詞感覚を表現する為、あえて不自然な日本語訳にしているが、まさにその不自然な部分が「ネイティブの冠詞感覚」。本記事ではそうした点やルールなどを(*)で説明。
詳しく知りたい方は、是非、本をご覧ください。なお、購入後希望の方は、こちらをどうぞ!
a/an/the/無冠詞とは?
the って、どういうもの?
長文を避けるために使われる
Bring me the newspaper.
(新聞を持ってきて)
(*)the newspaper は、話をしている両者がともに何を指しているかが分かる新聞。例えば、毎朝読んでいる新聞。アンダーラインで示した部分がthe newspaper となり長文となるのを避ける。
Bring me a newspaper that I read every morning.
改めて説明しなくてもわかりきっている特定のものを指す
She doesn’t like the beer.
彼女はそのビールが好きじゃないって。
(*)目の前の特定のビールのイメージ
一方、the をつけないと、
She doesn’t like beer.
彼女はビールが好きじゃないって。
(*)ビールというもの全般を指し特に限定しないイメージ
a って、どういうもの?
どれでもいいものの1つ、不特定のものを指す
I need to go to a store.
(どこかの店に行かないと)
ところが theを使うと、
I need to go to the store.
(いつもの店に行かないと)
「個体」のイメージ、境界線で形が区切られた感じ
Do you have a paper?
新聞を持っている?
(*)新聞という「形がある1つの個体」
ところが a をつけないと、
Do you have paper?
紙を持っている?
(*)一般的な紙で切っていないイメージ
例文で覚える冠詞の感覚
a / an / the / なし(無冠詞)/ 複数形など、例文で冠詞による意味の違いをつかむことで「冠詞感覚」を身につけましょう。
日本語解釈の文末についている(?)が多いほど不自然な文。
例文1
- Mary has a dog.
- Mary has the dog.
- Mary has dog.
- Mary has dog food.
1. メアリーは犬を飼っている。
- (*)一般的な犬を指す
2. メアリーは犬のほうを持っている。
- (*)ネコでなくて犬だよ、と特定している
3. メアリーは犬肉を持っている。(??)
- (*)肉を表す場合、無冠詞にして表すものがある。例えば、chicken
4. メアリーは犬のえさを持っている。
- (*)dog を無冠詞にすることで「dog」が形容詞的に使われる。つまり「dog・・・」の形になるので・・・が続かないと誤解される。
例文2
- I work in a hospital.
- I work in the hospital.
- I work in hospital.
- I work in hospital clothes.
- 私は病院で働く。
- 私は例のこの近くの病院のほうで働く。(??)
- 私は病院の・・・で働く。(???)
- 私は病院の服を着て働く
例文3
- I talked to the Queen.
- I talked to a queen.
- I talked to Queen.
- (自分の国の)女王と話をした。
- たくさんいる女王のうちの一人と話をした。(??)
- 「Queenさん」と話した。(???)
例文4
- A tiger is a dangerous animal.
- The tiger is a dangerous animal.
- Tigers are dangerous animals.
1. トラというものはたくさんの危ない動物の中の1つだ。(?)
- (*)「a / an」をつけて総称的に「・・・というもの」「すべての・・・」という意味になる例で教科書にのっているような英語
2. トラなるものは危険な動物だ。(?)
- (*)「・・・なるもの」「・・・というもの」という意味のtheの総称用法
3. トラは危険な動物だ。
- (*)最も自然に感じられる英会話文。総称の場合は複数形。
意図する冠詞を使えるようにしよう
a / an / the / x(無冠詞)のどれを使いますか?
1.ショッピンブモールで何か買った?と聞かれ、「本を一冊買ったよ」と言いたい時、
I bought ( ) book.
答:「単にたくさんのある中の1つ」という意味合いで a
2.「その本は、熱帯雨林についてだった」と言いたい時、
( ) book was about rain forests.
答:説明すると長いものを総括するイメージで the
3.駐車場に車が1台だけあり、それが自分の車だと説明する。「あそこにある車は私の車」と言う時、
( ) car over there is mine.
答:1台だけなので初めて言及する事柄であっても相手には明確に分かるので the
A car over there is mine.では、「あそこにあるたくさんの車のうち、1台は私の車」という意味合いになる。
4.旅行の話をしていて「富士山の近くのホテルに泊まったんだ」と言いたい時、
We stayed at a hotel near ( ) Mount Fuji.
答:「山」などの固有名詞の場合、普通は無冠詞。
もし a をつけてWe stayed at a hotel near a Mount Fuji.としたら「たくさんある富士山という名の山の1つの近くに泊まった」という意味。
また、the をつけてWe stayed at a hotel near the Mount Fuji.としたら「偉大な」「ものすごい」というニュアンスが強くなり「あの富士山の近くのホテルに泊まった」という意味。なお、強調のtheの場合、「ジ」と発音することが多い。
ビジネス例文に挑戦!
記号の説明
- ◎ 最も一般的かつ自然に聞こえる英語
- 〇 本来意図とした意味と異なる、少し違和感のある英
- △ 意図とした意味と異なる、不自然な英語
例文1.ちょっと時間がある
- I have a little time.
- I have little time.
- I have the little time.
- I have some little time.
1. ちょっと時間がある。◎
2. 時間はあまりない。〇
- 英語としては自然だが意味が異なる。
3. 小さいほうのTimeを持っている。△
4. いくつかの小さいTimeを持っている。△
例文2.楽しかった
- I had a good time.
- I had good time.
- I had the good time
- I had some good time.
1. 楽しかった。◎
2. 良いタイム(スピード)を記録した。〇
- 英語としては自然だが、意味が異なる。
3. 楽しかったほうの時間を持った。△
4. some good timeを持っていた。△
例文3. 彼は風邪をひいているんだ
- He has a cold.
- He has the cold.
- He has cold.
- He has some cold.
- 彼は風邪をひいている。◎
- 風邪をひいているのは彼のほうだ(私ではない)。〇
- 彼はcoldを持っている。△
- 彼はかなりの風邪をひいている。△
- someを強調の意味でとるとこうなるが、やや不自然。強調するなら He has a bad cold.
例文4.違いは何でしょうか?
- What’s the difference?
- What’s difference?
- What’s a difference?
- What are differences?
- What are the differences?
1. 違いは何でしょうか?◎
- ただし、「違いはどうでもいいじゃないか」という意味合いになることもある。
2. 「difference」とは何でしょう? △
3. 「difference」とはどういうものですか? △
4. 違いとは何? △
5. 違いとは何ですか? ◎
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おわりに
子供に言葉を教えるのに文法から教える親はいないだろう。ネイティブも冠詞の使い方を習う事はまずないので感覚で覚える。まさしく「習うよりも慣れよ」。
ただ、強いて言えば、アメリカでは子供には冠詞をつけて単語を教えるそうだ。例えば、bookでなく”a book”。sunではなく”the sun”。ここが日本と違う点である。
単語カードが売られているが名詞に冠詞が付いていない。冠詞がつく言葉にはちゃんと冠詞をつけた方がよいと思うが、どうなんだろう?
いかがでしかたか? 何となくネイティブの冠詞感覚を実感できたのではないでしょうか!?。なお、次の記事では冠詞使い分けクイズを掲載しますのでご期待ください。