はじめに
なでしこジャパンはSheBelieves Cup 2023で2023FIFA女子ワールドカップ優勝候補の一角に挙げられるほどの活躍。しかし、これまでの成績低迷で「なでしこジャパン優勝候補」に関してはマスコミも含め誰も語らなかった。
低迷する人気復活の為にも、そして、何よりも2023W杯優勝候補であることを証明するためにも2023年欧州遠征ではそれに相応しい勝利を勝ち取ってほしい。
それでは、なでしこジャパンがどうして優勝候補なのか、また、欧州遠征でそれを証明すべく期待値などを皆さんとシェアしますのでよろしくお願いします。
なでしこジャパンは優勝候補、どうして?
FIFAランキング11位のなでしこジャパンがSheBelieves Cup 2023で対戦したのは1位のアメリカ(1-0敗)、6位のカナダ(0-3勝)、9位のブラジル(0-1敗)。
欧州を除く強豪国相手に戦い、過去2回(2019、2020)のSheBelieves Cupよりも良い成績を残した。
- 2019年 1勝1分1敗 得点5 失点6 3位
- 2020年 0勝0分3敗 得点2 失点7 4位
- 2023年 1勝0分2敗 得点3 失点2 2位
しかも、シュート本数・被シュート本数とも格段の改善があった。
- 2019年 シュート32本 被シュート45本
- 2020年 シュート34本 被シュート35本
- 2023年 シュート41本 被シュート17本
シュート本数はおよそ25%増、被シュート本数は何とおよそ60%減少。3試合で失点2もうなずける。
守備力が改善した要因は?
1つ目は、三宅と南からのウィング(サイドハーフ)へのロングフィードや縦パス。例えそれでボールを失ってもセカンドボールを奪う意識が高く素早く対応。相手に簡単にコントロールさせなかった。その分対戦相手はビルドアップにてこずった。
2つ目は、戦術変更。カナダ戦のフォーメーションは3-5-2。アメリカ・ブラジル戦と同様、中盤を厚くすることで選手の距離が短くなり相手ボールホルダーやパスの受け手に素早く寄せることができた。結果、ボール奪取の回数が増えた。
こうした理由で被シュート本数が劇的に減少。
シュート本数増の要因は?
1つは、中盤を厚くしたことで、味方同士の距離が近くなり日本人選手の個人技を最大限に活かしたテンポの良いパスワークでビルドアップができた。再三相手DF陣を翻弄したことでシュートまで持ち込む回数が増えた。もう一つは。前述のロングフィードの成功でシュートまで持ち込むシーンが増えたこと。
いずれにせよ、中盤を厚くする戦術変更が攻守に好循環をもたらしたと考えられる。
2022年11月の欧州遠征と比較すれば一目瞭然だ。
11月欧州遠征では、イングランド戦4-3-3(4-0敗)、スペイン戦3-4-3(1-0敗)。スペインは2軍だったのであまり参考にならないが、スペイン戦から3バックを試行。SheBeleives Cup 2023のブラジル戦・アメリカ戦が5-4-1、カナダ戦が5-3-2だったが、攻撃時はいずれも3バック。
- イングランド戦 シュート9本、被シュート16本
- スペイン戦 シュート13本、被シュート6本
- ブラジル戦 シュート13本、被シュート9本
- アメリカ戦 シュート15本、被シュート5本
- カナダ戦 シュート13本、被シュート3本
スペイン戦も含めて中盤に人数を掛けた方がシュート本数が増え、被シュート本数が減るこが分かる。結果、失点が少なくなりその分勝利の確率が高まる。
ということで、SheBeleives Cup 2023のなでしこジャパンの高パーフォーマンスを見て直感、「今のなでしこジャパンなら強豪国と互角以上の戦いができる」と。
もちろん、戦術変更だけでなく個の成長がなでしこジャパンの成長を後押ししている。
欧州組で活躍するのは熊谷選手だけではない。長谷川選手と長野選手はそれぞれマンチェスター・シティとリヴァプールで圧倒的存在。南選手は結成4年目のASローマの中心選手のひとりでチームを女子CL決勝T進出に導いた。
欧州組では清水選手・林選手もバリバリのレギュラー。そして、アメリカ組の杉田選手は世界Top3のクラブ、ポートランド・ソーンズで、そして遠藤選手はエンジェル・シティでレギュラー。
海外組の成長がなでしこジャパンを新たなレベルに導いているが、過去を知るファンにとって「なでしこジャパンがW杯優勝候補」とはとても信じがたい事。よって、2023年4月欧州遠征で信じるに足る結果を出すことが不可欠。
なお、海外組の活躍に関してはこちらの記事をどうぞ!
また、2023女子W杯優勝争いについてはこちらの記事をご覧ください!
欧州遠征への期待
欧州遠征メンバー
SheBelievesカップ2023メンバーとほぼ同じでしょう。敢えて招集して欲しいのはセンターバック。現状のメンバーのうち一人でもケガで招集できないとなれば、高パーフォーマンスは期待できなくなる。高橋はなは間に合わない。そこで、三橋真奈を推したい。イタリアのインテルでバリバリ活躍している174cmのDM。ワールドカップまでの強化試合3試合でセンターバックのバックアップとし試してもらいたい。
なお、SheBelievesカップ2023メンバーと出場実績は下記の通り。
左から選手(所属)SheBelieves Cup出場時間
(実際の招集メンバーは下記のメンバー+猶本光+田中美南)
▼GK
- 山下杏也加 (INAC神戸) 180分
- 平尾知佳 (アルビレックス新潟) 0分
- 田中桃子(ベレーザ) 90分
▼DF
- 熊谷紗希 (バイエルン/独) 270分
- 三宅史織 (INAC神戸) 242分
- 乗松瑠華 (大宮アルディージャ) 12分
- 清水梨紗 (ウェストハム/英) 225分
- 清家貴子 (浦和レッズ) 45分
- 守屋都弥 (INAC神戸)※離脱 分
- 南萌華 (ローマ/伊) 270分
- 宝田沙織 (リンシェーピング/瑞) 16分
- 石川璃音 (浦和レッズ) 1分
▼MF
- 長谷川唯 (マンチェスター・C/英) 246分
- 杉田妃和 (ポートランド/米) 135分
- 林穂之香 (ウェストハム/英) 69分
- 長野風花 (リヴァプール/英) 269分
- 宮澤ひなた (マイナビ仙台) 172分
- 遠藤純 (エンジェル・シティ/米) 135分
- 藤野あおば (ベレーザ) 225分
▼FW
- 岩渕真奈 (トッテナム/英) 119分
- 小林里歌子 (ベレーザ) 69分
- 植木理子 (ベレーザ) 123分
- 浜野まいか (ハンマルビー/瑞) 57分
欧州遠征での期待値
デンマーク戦以外にもう1試合組むと思うが、それならドイツあるいはフランスと対戦してほしい(FIFA女子ランキング22位のポルトガル女子代表に決定)。
デンマーク戦で期待することは、4点差以上での圧勝。
デンマーク女子代表は、
- FIFAランキング18位
- ヨーロッパ予選はE組8戦全勝で1位通過(40得点2失点)
- 4大会ぶり5回目のW杯出場
- W杯最高成績ベスト8
2020年以降の成績9勝8敗、強豪国対戦成績ではなでしこジャパンと似たようなもの。その中で22年7月ドイツに4-0で負けている。
強豪国対戦成績:1勝5敗、その内訳は、
- 22.2 スウェーデン(3-0敗)
- 22.6 ブラジル(2-1勝)
- 22.7 ドイツ(4-0敗)
- 22.7 スペイン(0-1敗)
- 22.11 オランダ(2-0敗)
- 23.2 フランス(1-0敗)
つまり、なでしこジャパン優勝候補の評価指標としてデンマーク戦4点差、ポルトガル戦5点差を選択した。それにシュート本数も被シュート本数もSheBelieves Cup以上の結果を残した欲しい。
欧州遠征寸評
ポルトガル戦:優勝候補とは程遠いパーフォーマンス。特に前半はパスワークを封じられダイナミックでスピーディな攻撃ができなかった。パススピード不足やマークされた味方の足元へのパスが多くブロックされるシーンが目立ち思うように繋げなかった。(ハイライト映像では分からない)
なでしこジャパンの中盤以外はベストメンバーではなかったので、W杯で格下相手のシミュレーションができた程度の最低限の仕事と評価。12日は、4月7日スウェーデンに0-1で勝利したデンマーク戦。ベストメンバーでば臨み大差で野勝利を期待。
デンマーク戦:序盤はだいぶ苦しんだが、徐々にボールを運べるようになりポルトガル戦よりもビルドアップは機能した。ロングボールからのオウンゴールでの失点は昔からの課題。
ビルドアップをさらによくするにはパスの受け手は足元ではなく動いてもらうこと。プレスを掛けられた状態でパスを受けてもそこで流れが切れてしまい、テンポの良いビルドアップは続かない。
得点できなかったのはボールと人の縦へのスピードやパスの精度が原因。守備を固められてからでは得点は難しい。さらに1人だけ試合から消えてしまった選手もいた。パスを受けてもリターンが目立ち、守備でも全く体を張らなかった。10人では勝てない。
なお、先発メンバーはほぼベストとみたが改善点はある。遠藤と杉田は同時に起用すべきだ。
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おわりに
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ごく最近まで弱小チームにしか勝利できなかったなでしこジャパンが突然覚醒。SheBelieves Cup 2023第2戦でアメリカの3倍の15本のシュート、続くカナダ戦ではカナダの4倍の13本のシュートを放ち4試合連続無得点から一転して3ゴールを奪った。
現時点では誰も信じないでしょうが、長年なでしこジャパンに関して批判的なブログを綴ってきた私ではあるが「なでしこジャパンは2023W杯優勝候補の一角に躍り出た」と直感。
多くの方に私と同じように思っていただくためにも2023年4月の欧州遠征では圧勝してほしいと願っている。
W杯優勝に向かってガンバレ、なでしこジャパン!
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