はじめに
(2024年8月29日更新)
2023年3月、森保監督のリーグレベル発言の根拠は何だったのでしょう? 私が知る限り、50以上のリーグランキングを定期的に発表しているサイトは1つしかありませんが、そのサイトではないことははっきりしています。
クラブ世界ランキングを掲載している主要サイトは2つあり、そのデータでクラブランキング分布図を作れば、ある程度リーグレベルを知ることができます。私もトライしてみましたが、単純な分布図だけでは誤解を招きかねません。
そこで、世界40リーグに拡大して、各々のリーグの所属クラブに世界ランキングに応じてポイントを付与してリーグランキングを算出。そしたら、衝撃の発見がありました。その結果を皆さんとシェアしたいと思いますが、衝撃の発見とは?
なお、こちらの記事もご覧いただければ幸いです。
- 24-25 UEFA大会(CL・EL・ECL)出場日本人選手一覧と成績
- 24-25 ACLチャンピオンズリーグ、神戸・横浜・川崎の活躍に期待
- リーグ市場価値ランキング Top 100、J1リーグは何位?
リーグとクラブランキングサイト
リーグランキングサイト
定期的に60+のリーグランキングを発表しているのは、私が知る限り、Kickalgor.com(Kick)サイトのみ。
いつも不思議に思うのは、ブラジル(20位)など南米のリーグがかなり低く評価されている点。一方、米MLS(9位)は高く評価されている。
なお、このサイトのリーグ世界ランキングを約4年前から紹介していますが、詳細に関してはこちらの記事をどうぞ!
クラブランキングサイト
多数のクラブを掲載している主要サイトは2つだけ。
- Footballdatabase.com(FD)約2900クラブのランキング掲載
- Opta Power Ranking (Opta)約13,500以上クラブのランキング掲載
クラブランキングで比較すると、FDとOptaの違いが明らか。例えば、南米のクラブでTop100にランクインしているのは、FDで13(ブラジル10、アルゼンチン3)、Optaではブラジルの5クラブのみでアルゼンチンは0。
Optaは南米低評価、一方、FDは南米を高評価ですが、米MLSでは、FDはTop300に1、OptaはTop300に16。さらに2024年8月28日現在東地区1位のマイアミのFDランキングは何と世界690位でJ1に例えれば中堅クラス。一方、Optaでは121位。このようにFDはMLSを非常に低く評価。
ご覧のようにリーグ間の比較係数の違いでクラブランキングが大きく異なります。ハッキリ言ってどれが正しいのか分かりません。
なお、FDとOpta社のクラブランキングは、リーグを跨ぐとかなり異なる場合もありますが、同一リーグでのクラブランキングにほとんど差異がないことは何度も確認済。
クラブランキングでリーグレベルを算出
各クラブの世界ランキングにポイントを付与してその合計をクラブ数で割った値が平均クラブポイント(C pts)。この値が大きいほどリーグレベルが高いと言えますね。
そこでFootball Databaseのクラブランキングを基に次の基準でポイントを付与。具体的には、世界クラブランキングが、
- 10位までのクラブ→100点
- 25位までなら90点
- 45位までなら80点
- 以下70位まで70点、100位まで60点、150まで50点、250位まで40点、400位まで30点、600位まで20点、1000位まで15点、1500位まで10点、1501以上は5点
何故このようにするかと言うと、例えば、ランキング1000位のクラブと1300位のクラブが戦ってもどちらが勝利するかは予測できませんが、ランキング20位のクラブと120位のクラブが戦えば、ほとんど20位のクラブが勝利するでしょう。
と言う事で単純なランキング差よりも実際のレベル差を重視して上記のように12クラスに分けてランキングポイントを付与。
その結果がこちらです。
なお、FDベースのクラブ世界ランキングはこちらをどうぞ!
リーグランキング比較
いろいろなリーグランキングがあります。例えば、
- 上記のリーグ平均クラブポイント(C pts)
- Kickalgor.comのリーグランキング(Kick rank)
- Transfermarktの市場価値ランキング(MV rank)
この3つを一覧表にしたのが次の表です。
3つのランキングを比較すると、
- C ptsをベースにしたリーグランキングとKickのリーグランキングには大きな差がある。その差は殆ど南米リーグでKickではかなり低く評価されている
- C ptsをベースにしたリーグランキングとMVのリーグランキングには上位12リーグまでは極端な差はない。特に上位6リーグでは最大+-1の差しかない
- スペインとイタリアの順位が一般的な感覚と逆になっているが、その理由はイタリアでは上位クラブと下位クラブのクラブ間格差がスペインと比べてかなり低いから。イタリアの最大格差は11倍、一方、スペインでは28倍
衝撃の発見とは?
上記のリーグランキング比較表をよくご覧ください。A、B、C、D、Eはどこの国のリーグでしょうか? ヒントはAとCが南米でB、D、Eは日本を含むアジアのリーグ。
衝撃①
有名サッカー選手の爆買いで市場価値世界12位となったサウジアラビアはC ptsでアジア4位。どうしてかと言うとやはりクラブ間格差が非常に大きいことが理由。最大格差は31倍。最下位クラブの市場価値はわずか7M€でのJ2の中堅クラブと同じ。
衝撃②
さて、ABCDEの答えですが、Aがエクアドル、Cがペルー、Dがイラン。となればJ1はBかD。結果は大ショックのDでした。しかも、Bはお隣のK1。またまた、大ショック。
衝撃③
米MLSのC ptsランキングが何と38位。KickもMVも米MLSを世界9位評価なのに、FDはを無茶苦茶低評価していますね。
と言う事でJ1はK1よりレベルが低い? リーグレベル発言で話題となったスコットランドリーグはJ1よりも低いなどと呑気なことを言っている場合ではありません。「単純なクラブランキングの分布図だけでリーグレベルを論ずるな」という事ですね。
なお、J1とスコットランドのリーグレベルの検証に関してはこちらの記事をどうぞ!
おわりに
世界の主要40リーグ(チャンピオンシップリーグやドイツブンデスリーガ2などの2部リーグは対象から外しました)のクラブ平均Ptsベースのランキング、いかがでしたか?
納得のいかない部分も多々あったでしょう。リーグ間や大陸間でクラブを比較するのは難しい。その最大の理由は直接対決データがFIFAクラブワールドカップやUEFAやACLなど非常に限られているためでしょう。
しかし、現実はどのデータサイトも大陸間(or リーグ間)比較係数を使って無理にクラブランキングしていますね。よってクラブランキングはその比較係数のさじ加減次第で大きく上下しますが、私の知る限り比較係数の更新はしていないようですね。
と言う訳でランキングデータはあくまで参考程度に見て下さいね。
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