【20-21年度】欧州組サッカー選手ランキング、最も活躍した選手は?

(2021年6月9日発表:鎌田大地の市場価値16M€から25M€へアップで日本人最高額)

はじめに

サッカー選手個人の活躍を表す指標は見当たらない。選手の価値を表す指標には推定市場価値があるが、これは移籍金の目安として使われているが、活躍度と必ずしも比例しない。

リーグが違いクラブが異なれば、選手の活躍度を比較するのは非常に難しいが、2020-2021年度欧州でプレーした主な日本代表クラスの活躍度合を独自の視点で評価

本記事の活躍度ランキングは、リーグの世界ランキングクラブの世界ランキング、出場時間、得点などをベースに算出。FW、MF、DF、GKをほぼ同じ基準でランキングしているが、ポジション別ランキングとして紹介

本記事に納得できないと思われる方は沢山いらっしゃると思います。ただ、活躍度の比較や日本代表選手の招集予想・選考評価の参考にして頂ければ幸いです。 

 

選手の推定市場価値は余り実績を反映していない!

サッカー選手がプレーしているリーグやクラブのレベルはそれぞれの世界ランキングデータで分かる。

一方、選手個人の評価となると推定市場価値に頼るしかないが、将来価値を含めた指標なので選手の活躍度と比例しない

市場価値は選手の年齢で大きな差

同じ実力でもA選手の年齢が35歳、B選手の年齢が24歳なら、B選手の推定市場価値は数倍高くなる。その理由はこれから先活躍できる期間が長いから。

実例として、同じセリエAで活躍している32歳の吉田麻也選手(3.8M€)と22歳の冨安健洋選手(18M€)両選手の推定市場価値にはなんと4.7倍の開きがある。

一般的には、同じ程度の活躍なら若い選手ほど市場価値が高く評価される。逆に、年齢の高い選手の市場価値は低くなりがち。

推定市場価値の決定要因
過去の移籍金を参考にするのは勿論のことだが、

主な決定要因は、

  • 年齢
  • リーグ
  • ポジション(評価額はFW>MF>DF>GK)
  • 人気度
  • ケガの頻度
  • ロイヤリティ(現所属チーム満足度)
  • 新環境適応能力
  • 過去の実績(ゴール数など) 

こうしたデータを総合的に判断して算定される。

 

活躍度を4つの尺度で算定してみた

リーグ点

リーグのレベルが高いとなかなか結果(得点など)を出すのは難しくなる。そこで2021年1月29日時点のリーグ世界ランキングに応じてポイントを付与(リーグ点)。 

  • 欧州4大リーグ       50点
  • 仏・露・葡の1部リーグ   30点
  • ランキング8位~15位   20点
  • ランキング16位~30位 15点
  • ランキング31位~50位 10点
  • ランキング50位~    5点 

クラブ点

クラブのレベルが高いと出場する事さえ難しくなる。選手の活躍度を算定する尺度の1つが出場時間なのでレベルの高いクラブにおける出場減を補てんする目的で2021年5月23日時点の所属クラブ世界ランキングでポイントを付与(クラブ点)。

  • 1~16位    100点(欧州CL決勝Tへ進めるレベルのチーム)
  • 17~50位    70点(UEFAリーグ決勝Tへ進めるレベルのチーム)
  • 51~100位           50点(UEFAリーグ予選へ進めるレベルのチーム)
  • 101~200位         45点
  • 201~300位         40点
  • 301~400位         35点
  • 401~500位      30点
  • 501~750位      25点
  • 751~1000位    20点
  • 1001~1500位     15点
  • 1501位~        10点

リーグで言えば、全て英・西・伊・独の欧州4大リーグ+仏・露・葡の1部リーグに所属するクラブ。よって、Top16位までのクラブ点を100とした。

また、EUFAヨーロッパリーグ決勝トーナメントに出場できる32チームの多くはクラブ世界ランキングTop50位以内。そこでTop17位~50位のクラブに70点配点。

なお、シーズン中に移籍した選手のリーグ点及びクラブ点は現所属チームで配点。  

出場点 

いくらビッグクラブに所属していても試合に出られなければ活躍したとは言えない。そこで選手の今シーズン(2020-2021)での試合出場時間を点数化(出場点)。

リーグ戦の年間試合時間を分母とした。例えば、ブンデスリーガ1部なら分母は3060(全34試合フル出場で3060分)。出場時間が2000分なら点数は2000/3060で65点。

この分母はリーグによって異なるが、シーズン中に移籍した場合は、移籍前と移籍後の所属期間中における出場可能な時間を分母とした。ただ、ケガや代表招集でチームを離れた場合の試合は分母から除外。

なお、他の公式試合でのプレー時間(欧州CL・欧州EL・国内カップ戦、リーグチャンピオン決定戦など)は出場時間90分毎に1点を出場点に加算。

ボーナス点

得点・アシスト数を下記の通り活躍度に反映。 

  • 得点   +2点(全公式試合対象)
  • アシスト +1点(全公式試合対象)
  • CS   +2点(GKのクリーンシート)

レベル差の大きく違うそれぞれのリーグで10点取った選手のボーナス点は同じになるがリーグ点やクラブ点で価値の違いをカバー。

合計点

まとめると、選手の活躍度ランキングを下記の合計で算定。

  • リーグ点
  • クラブ点
  • 出場点
  • ボーナス点

計算例:鎌田大地のケース

  • リーグ点:ブンデスリーガ 50点
  • クラブ点:フランクフルト29位 70点
  • 出場点:リーグ戦34試合ーケガ1試合、出場時間2372分÷(33x90)x100=80点 + その他公式試合150÷90=1.7点 計82点
  • ボーナス点:5得点x2 +14アシスト=24点
  • 合計点:50+70+82+24=226点

 

ポジション別ランキング 

合計点で算出した日本人サッカー選手の活躍度ランキングは下記の通り。

所属クラブ・ランク・出場期間

  • 所属クラブ:現在又は前所属
  • ランク:2021年5月23日現在の世界クラブランキング
  • 出場時間:2020-2021シーズンの公式戦出場時間

GK

  • 市場価値M€はシュミット0.6、中村0.5、川島0.15
  • 川島選手は2018年9月29日に入団してから最初の2年はほとんどベンチ外。今シーズンは第3GKとしてベンチ入り。シーズン序盤に正GKと第2GKの離脱で11節から30節までストラスブールの守護神の役目を見事に果たした。38歳の川島選手の不屈の精神は欧州組の模範
  • 中村選手はポルティモネンセ移籍後全くプレーしていない。14節目から21節目まではブラガ戦を除いてベンチ入りしたが、22節から最終の34節までベンチ外。市場価値も1.2M€から0.5M€へ大幅ダウン。悔しいだろうが、川島選手を見習って頑張って欲しい

左から 選手 (所属 ) 合計点

  1. 川島永嗣 (ストラスブール ) 149
  2. ュミット (シント・トロイデン ) 131
  3. 中村航輔 (ポルティモネンセ ) 55

 

DF

  • 市場価値は冨安18、酒井宏4.5、吉田3.8、板倉3.5、菅原3
  • 冨安選手と吉田選手、推定市場価値では主に年齢による4.7倍の差、本ランキングでは両者の差は出場点
  • 日本人選手の大多数がクラブ世界ランキング100位以下のチームでプレーしているが、若干20歳の菅原選手はクラブ世界ランキング49位のチームで50%(17試合)先発出場は立派
  • フローニンゲンの板倉滉選手は今シーズン全36試合フル出場クラブ年間MVP市場価値も1月6日の3.0から5月19日に3.5へアップ
  • 橋岡大樹選手は1月末の移籍であったため出場できる機会は11試合。しかし、最後の5試合は先発フル出場。今シーズンの活躍度は低いが実力はかなり上。6月末までの期限付き移籍だが酒井選手が浦和に加入すれば、橋岡選手は浦和に戻らないだろう。来シーズン欧州での飛躍を期待

左から 選手 (所属 ) 合計点

  1. 冨安健洋 (ボローニャ ) 199
  2. 吉田麻也 (サンプドリア ) 173
  3. 酒井宏樹 (マルセイユ ) 173
  4. 菅原由勢 (アルクマール ) 161
  5. 板倉 滉 (フローニンゲン ) 146
  6. 安西幸輝 (ポルティモネンセ ) 140
  7. 長友佑都 (マルセイユ ) 131
  8. 中山雄太 (ズヴォレ ) 128
  9. 室屋 成 (ハノーファー96 ) 125
  10. 植田直道 (ニーム ) 105
  11. 橋岡大樹 (シント・トロイデン ) 91

 

MF

  • 市場価値ランキングは鎌田16、遠藤航8、奥川3.5、守田3、森岡2.8、橋本2.5、原口2.2
  • 鎌田大地選手は公式戦34試合で5G15A。日本人選手でクラブ世界ランキング最高位(29位)のチームでプレー。そのフランクフルトを前シーズンの9位から今シーズン6位にアップさせた原動力の1人。21-22年度のEL本戦出場
  • 遠藤航選手は今シーズン最終節を除いてほぼ全試合先発フル出場。デュエル王。チームは一部昇格初年度で9位。市場価値も1年前と比べ4倍増の8M€で日本人全体の5位へ躍進。次回更新時にはさらにアップか?
  • 1月7日付けでサンタクララに移籍した守田英正選手、移籍直後の2試合を除いてリーグ戦全試合フル出場。リーグ戦順位も移籍時の10位前後から上昇し6位でフィニッシュ。この活躍により市場価値はわずか4カ月で1.5M€から2倍の3.0M€へアップ(2021年5月21日発表)。日本代表での遠藤航選手とのボランチコンビが楽しみ
  • 原口選手、来シーズンはウニオン・ベルリン(ブンデスリーガ1部、ランキング64位)でプレー。今シーズンよりリーグ点とクラブ点だけで65点アップする。出場時間などが半減してもMFトップ5には入る。来シーズンの活躍が楽しみ

左から 選手 (所属 ) 合計点

  1. 鎌田大地 (フランクフルト ) 226
  2. 遠藤 航 (シュットガルト ) 208
  3. 守田英正 (サンタ・クララ ) 167
  4. 原口元気 (ハノーファー96 ) 161
  5. 奥川雅也 (ビーレフェルト ) 160
  6. 森岡亮太 (シャルルロワ ) 150
  7. 橋本拳人 (ロストフ ) 140
  8. 柴崎 岳 (レガネス ) 128
  9. 三好康児 (アントワープ ) 104
  10. 香川真司 (PAOK ) 86

なお、 守田選手のサンタ・クララでの評価は167点。一方、昨年、川崎Fでの評価は、リーグ点10、クラブ点50、出場点80、ボーナス点2で合計142点。このアップは、クラブ世界ランキングTop100の川崎Fで活躍した選手なら欧州の中小クラブで即戦力になれることを証明。川崎Fの若手は欧州の中小クラブから引く手あまたになるだろう。守田選手の移籍についてはこちらをどうぞ!

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FW   

  • 市場価値ランキングは久保15、南野12、堂安7、伊藤純6.5、武藤嘉2.8、浅野2.5、鈴木優2.2。本記事の評価ランキングとはかなり違う
  • 評価2位の浅野拓磨選手、突然のパルチザン退団まではFWとして34試合中33試合出場。全公式戦40試合で21G10Aは凄い。セルビアリーグは世界リーグランキング23位(日本は32位)。ただ、トップのベオグラード(クラブランキング36位)と2位のパルチザン(82位)を除けばJリーグのクラブより少し低い。浅野選手の活躍はJリーグに例えれば、川崎F(65位)の選手として21G10Aの実績を残したのと同等
  • 伊藤純也選手は全42試合で12G16A鈴木優磨選手は全35試合で17G4A、ベルギー1部リーグ得点ランキング4位タイ。2人とも立派。ベルギーリーグはリーグランキング8位(最大の謎)だが、Jリーグよりちょっと上のリーグ。また、ベルギーのクラブランキング最上位はブルッヘで72位。川崎Fとあまり変わらない
  • 市場価値で日本人サッカー選手全体3位の久保建選手はヘタフェで結果を残すことができなかった。飛び抜けた技術を持っている点は万人が認めるところ。ただ、それだけでは通用しなのがスペイン1部リーグ。まだ19歳。下位リーグに移籍したほうがいいだろう
  • 下位リーグと言えば、クロアチアのイストラに2月に移籍したばかりの原大智選手。FC東京では途中出場が多かったが、イストラではデビュー戦の移籍4試合目からレギュラー。18試合で8得点3アシストの活躍で市場価値は3カ月で2.6倍アップの1.2M€ 

左から 選手 (所属 ) 合計点

  1. 伊藤純也 (KRCヘンク ) 209
  2. 浅野拓磨 (パルチザン ) 204
  3. 堂安 律 (ビーレフェルト ) 200
  4. 鈴木優磨 (シント・トロイデン ) 172
  5. 南野拓実 (サウサンプトン ) 143
  6. 久保建英 (ヘタフェ ) 140
  7. 武藤嘉紀 (エイバル ) 134
  8. 原大智 (イストラ ) 134
  9. 岡崎慎司 (ウエスカ ) 133
  10. 大迫勇也 (ブレーメン ) 121
  11. 遠藤渓太 (ウニオン・ベルリン ) 119
  12. 鈴木武蔵 (ベールスホット ) 115

 

まとめ

リーグやクラブが異なるのでサッカー選手の活躍度をランキングするのは難しい。単純に出場時間・得点・アシストだけで比較しても大きなかい離が生じる。さらに選手の市場価値と活躍度は比例しないケースが多い。

私達にもっとも分かりやすい比較方法はJリーグに例えることだと思う。本記事では、Jリーグと比べてあまりレベルに差のないセルビアとベルギーでプレーした浅野選手・伊藤選手・鈴木選手がJリーグならどのくらい活躍したことになるのかを推察。結論はJリーグなら突出した活躍であったと言える。

別な言い方をすれば、FW選手がJリーグでトップクラスの成績を残せば、欧州の中堅リーグに移籍してもやがて素晴らしい活躍をするだろうと分かった。一方、欧州4大リーグで日本人FW選手が得点を積み上げるのは極めて難しいシーズンだった。

最後に最も活躍した選手は下記の通り。

  • GK 川島永嗣
  • DF  冨安健洋(文句なしの1位)
  • MF 鎌田大地(クラブランキングの差で遠藤航選手より上)
  • FW 伊藤純也(出場時間で全欧州組1位)

6月11日(金)にセルビア代表との国際親善試合が組まれたが、FIFAランキングもリーグランキングも大差ない代表同士の試合、非常に楽しみだ。欧州やJリーグで活躍しているFW選手を起用すればホームの日本が勝利すると思うが、皆さんはどう思いますか?

独断と偏見に基づいたランキングでしたが、日本代表クラスや東京五輪代表候補選手の活躍度を比較する上で参考になりましか?

 

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