(2021年9月12日掲載:2022年1月22日出場実績など更新)
はじめに
アジア最終予選2試合消化。まさかのオマーン戦黒星と中国戦辛勝のスタート。識者やファンからメンバー・システム・戦術・采配など、森保監督の手腕を疑問視する声が噴出している。全く同感である。
何も変わらなければ否が応でも2022年カタールワールドカップ出場に不安が募ってしまうが、森保ジャパンの先発メンバーの変更は今後もなさそうだ。その理由を推察したので皆さんとその情報を共有したい。
森保ジャパン先発メンバー固定化の始まり
監督のメンバー選考のルーツは2年半前にさかのぼる。それは2019年1月のアジアカップ。ご存じの通りこの大会は森保ジャパン初の国際大会。そして準優勝。
最大のライバル、サウジアラビアとイランに勝利した大会であった。準優勝とは言え、監督本人は自信を得たのでしょう。この大会に招集したメンバーは、その後のアジア2次予選、そしてアジア最終予選の土台となった。
その結果、ご存じの通り、特別の事情がない限りアジア最終予選もアジアカップと同じ布陣で臨んでいる。具体的に検証してみましょう。
アジアカップとオマーン戦の先発メンバー比較
2019年1月28日アジアカップ準決勝 イラン戦 0-3勝
当大会において最多得点且つ無失点勝利。この時の先発メンバーは下記の通り。
- GK 権田
- DF 酒井 吉田 冨安 長友
- MF 柴崎 遠藤 原口(1G) 南野 堂安
- CF 大迫(2G)
2021年9月2日アジア最終予選 オマーン戦 0-1敗
- GK 権田
- DF 酒井 植田 吉田 長友
- MF 柴崎 遠藤 原口 鎌田 伊藤
- CF 大迫
オマーン戦先発メンバー = イラン戦先発メンバー
9月2日のオマーン戦先発メンバーと2年半前のイラン戦先発メンバーを比較すると変わっていたのは植田・南野・伊藤の3名。
もし下記のような特別の事情がなければオマーン戦にはイラン戦先発メンバー10名が先発していただろう。
- 冨安 移籍に伴うメディカルチェックの為
- 南野 ケガの為欠場
- 堂安 体調不良
2019アジアカップで出場実績のない選手でその後スタメンを勝ちとったのは、日本人選手市場価値1位の鎌田大地選手と伊藤純也選手のみ。即ち、彼らくらい国内外で評価されないと先発メンバーに入るのはほぼ不可能に近い。
アジアカップの主力メンバーがそのままアジア2次予選・最終予選の先発メンバーとなった。よって監督の「ラージグループ」構想はあくまで「特別の事情に備えての控えの選手を増やす」ことが主目的と言わざるを得ない。
森保ジャパン3大会での出場実績
森保ジャパンの「先発メンバー」は2019年アジアカップからあまり変化していません。
2019年アジアカップでの主力は権田、冨安、吉田、酒井、長友、遠藤、柴崎、南野、堂安、原口、大迫選手の11名。他には、佐々木翔、室屋成、伊藤純也。好調でなくてもパーフォーマンスが落ちていてもほぼ全員日本代表メンバーに招集され続けています。
彼らアジアカップ出場14名が広義の「ベストメンバー」で、今でも全員が森保ジャパンの先発あるいは交代選手の第一優先になっている。
- 出場試合と出場時間(アジアW杯最終予選は6節終了まで)
- W杯最終予選ベトナム戦まで対象
- 太字がアジアカップでの主力メンバー
P O S |
選 手 名 |
2019 Asia Cup |
W杯 2次 予選 |
W杯 最終 予選 |
GK |
シュミット |
1/90 |
|
|
権田 |
6/540 |
6/540 |
6/540 |
|
川島 |
|
2/180 |
|
|
谷 |
|
|
|
|
CB |
冨安 |
7/541 |
3/270 |
5/450 |
三浦 |
1/90 |
|
|
|
板倉 |
|
1/90 |
0 |
|
吉田 |
6/540 |
6/469 |
5/450 |
|
塩谷 |
5/206 |
|
|
|
谷口 |
|
1/16 |
0 |
|
昌子 |
|
2/180 |
|
|
中谷 |
|
3/206 |
|
|
植田 |
|
3/224 |
1/90 |
|
畠中 |
|
1/19 |
|
|
槙野 |
2/180 |
|
|
|
RB |
酒井 |
6/523 |
5/373 |
3/270 |
室屋 |
2/107 |
2/58 |
1/90 |
|
松原 |
|
1/90 |
|
|
山根 |
|
2/166 |
2/180 |
|
LB |
佐々木 |
1/90 |
2/84 |
1/2 |
小川 |
|
3/208 |
|
|
長友 |
6/540 |
5/450 |
6/478 |
|
中山 |
|
|
4/61 |
|
安西 |
|
1/32 |
|
|
MF FW |
遠藤 |
5/335 |
4/326 |
6/540 |
守田 |
|
4/246 |
3/187 |
|
橋本 |
|
4/191 |
|
|
山口 |
|
1/13 |
|
|
川辺 |
|
2/180 |
|
|
柴崎 |
6/540 |
2/180 |
5/318 |
|
青山 |
1/90 |
|
|
|
稲垣 |
|
1/26 |
|
|
田中 |
|
|
3/255 |
|
鎌田 |
|
5/307 |
3/157 |
|
久保 |
|
4/124 |
2/110 |
|
南野 |
6/568 |
7/520 |
4/260 |
|
坂元 |
|
2/134 |
|
|
堂安 |
6/532 |
2/156 |
1/27 |
|
伊藤 |
5/116 |
5/360 |
5/401 |
|
浅野 |
|
5/246 |
4/106 |
|
三笘 |
|
|
1/45 |
|
古橋 |
|
3/137 |
6/226 |
|
原口 |
7/510 |
5/244 |
5/182 |
|
乾 |
3/93 |
|
|
|
前田 |
|
|
- |
|
大迫 |
4/288 |
3/270 |
5/406 |
|
阿道 |
|
1/68 |
1/17 |
|
鈴木武蔵 |
|
2/16 |
|
|
武藤 |
4/236 |
|
|
|
北川 |
5/236 |
|
|
|
永井 |
|
3/167 |
|
リスクゼロ思考の監督だからメンバーを変えない
監督の名誉の為に敢えて付け加えるが、「リスクゼロ」は特別なものではない。むしろ日本社会の特徴ともいえる。
このリスクゼロ思考はアジア2次予選で証明済。超格下を相手にしても、特別な事情(ケガなど)がない限り、2019アジアカップを主力として使い続けたため、チームの底上げという絶好の機会を逸した。
さらに、目の前の勝利にこだわり過ぎて「プランB」を放棄。メンバー交代でさえ戦術的なものではなく、単にパーフォーマンスの落ちた選手をアジアカップメンバーに変えるだけ。全てリスクゼロ思考。
このように、2次予選の相手に対してでさえリスクゼロ思考だったので、最終予選の相手にはよりリスクゼロ思考で臨むのは当然のことと言えよう。従って、アジア最終予選後半戦でも特別の事情がない限り新戦力を起用することはないでしょう。
追記:特別な事情:サウジ戦で“痛恨ミス”でファンからバッシングを受けた柴崎岳に代わって守田と田中がオーストラリア戦とベトナム戦に先発出場。ベトナム戦山根選手の出場もケガでメンバー登録外となった酒井選手の代役。
おわりに
ワールドカップの切符を確実に手にするには、過去のデータからして勝点20が最低ライン。その為には、残り4試合を2勝2分の成績で乗り切らなければならない。
しかし、森保ジャパンの先発メンバーは特別の事情がない限り今後とも変わらないと推察。そして今後の試合でも、特別な事情がない限り、ゼロリスク思考を変えないだろう。ただ、鉄板メンバーで臨めば臨むほど、チームの活力は失われる。
仮に残り4戦でサウジアラビアあるいはオーストラリアに負けたら、監督交代はあるのだろうか? JFAは監督交代はしないと思っているので、大きな不安を抱えながらも見守るしかない。
ただ、日本代表メンバーのレベルは総じて高い。監督を交代しようとしまいと、先発メンバー交代などでチームの活性化を図ればW杯切符を手にすることは間違いないと信じている。
また、過去のデータからしても日本は7大会連続ワールドカップ出場を果すと信じている。
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