はじめに
(2023年3月19日掲載:2029年9月8日更新)
カタールW杯に続き2023年3月の国際試合から選外となった古橋亨梧と旗手怜央のセルティックコンビ、その理由として森保監督は「リーグのレベル」と説明。
確かに、5大リーグやポルトガル・オランダのリーグと比べてかなり低いが、J1やベルギーリーグなどと比べたらどうなのでしょうか?
この疑問を徹底検証するため、日本人選手所属12クラブのクラブ世界ランキングからリーグ別クラブランキング分布図を作成。ただ、グラフにはリーグ名を入れていません。皆さん自身でリーグを当てて下さい。
さらにJ1とスコットランドの市場価値や2022W杯メンバー数などのデータを紹介しますので、低いかどうかはご自身で判断して下さい。
なお、こちらの記事もご覧いただければ幸いです。
- 【2024年度版】Jリーガー市場価値ランキング Top 100、最高額は?
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リーグ世界ランキング
リーグランキングに関していくつかのデータサイトがありますが、私が使っているデータは kickalgor.com。主要2部リーグを含む50以上のリーグ対象の世界ランキングデータサイトはこのサイトのみ。
なお、リーグランキングに関する記事はこちら!
他にも欧州リーグ限定の市場価値リーグランキングがありますのでご覧ください。
クラブ世界ランキング
いくつかのデータサイトがクラブ世界ランキングを扱っていますが、ほとんどは500クラブ程度。ところが footballdatabase.com はおよそ2800クラブをランキング。これを使ってクラブランキング分布図を作成。
データは週1更新ですのでランキングは毎週変わりますが、通年では、例外を除いてクラブ世界ランキングはあまり変わらない。
リーグレベルが高いか低いかの判断のポイントは上位クラブと下位クラブのランキング格差。即ち、「クラブのランキングが高くクラブ間格差が少ないリーグがレベルの高いリーグ」と言えるでしょう。
それでは12リーグのクラブの世界ランキング分布図を見てみましょう。
クラブ世界ランキング分布図
早速、Footballdatabase(FD)から作成した分布図を紹介。X軸(1~12)がリーグ、Y軸(1~2500)がクラブ世界ランキング。青い丸印はクラブ。
リーグ1~4は最下位クラブでもランキングは700以内、リーグ5と6は、同様に、1100以内。一方、リーグ7~12のクラブランキングは50位前後から2000位近くまで幅広く分散している。
リーグは日本人選手がプレーするプレミア、スペイン、ドイツ、ポルトガル、オランダ、フランス、J1、K1、スコットランド、ベルギー、スイス、オーストリア。なお、2部リーグは対象外。
質問 リーグ1~リーグ12のリーグ名をお答えください
全て解答するのが大変な方、スコットランドリーグだけ当ててみて下さい。スコットランドリーグは何番目になりましたか? なお、解答は記事の途中と「おわりに」に掲載。
スコットランドリーグ とJ1を比較
市場価値格差
スコットランドリーグのレベルがJ1より低いと言われる最大の理由は、2強時代が5年にわたり続いていて2強と残り10チームの市場価値(MV)格差があまりにも大きい点。詳しくみてみましょう。
- スコットランドリーグ 326M€ 12チーム
- J1リーグ 255M€ 18チーム
2強のセルティック(121M€)とレンジャーズ(107M€)のMVはリーグ全体の70%。MV1位セルティックとMV最下位キルマーノック(6.5M€)の格差は18.7倍。
2強を除くとリーグ平均MVは9.7M€でJ1のMV最下位横浜FC(9.8M€)と同等。一方、J1リーグのMV最高のクラブは浦和(19.4M€)で横浜FCの2倍弱。
これほどの大きな格差があるので「古橋亨梧がゴールを量産するのは当たり前」と思われているが、全面的に賛成するわけにはいかない、
何故なら、こうしたMV格差は欧州のどのリーグにも存在する。例えば、
- ベルギーリーグ 9.0倍
- ポルトガルリーグ 34.2倍
- オランダリーグ 21.1倍
- ドイツリーグ 30.9倍
- フランスリーグ 31.6倍
結論としては、欧州ではどのリーグでもクラブ間MV格差が大きい中、スコットランドリーグだけを取り上げて「スコットランドでの得点は価値がない」と言うのは5大リーグでの得点もあまり価値がない、と言うのに等しい短絡的な意見。
なお、市場価値格差に関してはこちらの記事をどうぞ!
ランキング下位のチームが2強に勝つのは厳しい
スコットランドリーグ2強の負け数はリーグ戦76試合中、
- 20-21シーズン 5敗
- 21-22 6敗
- 22-23 7敗
一方、最大MV格差が2倍程度のJ1での優勝・準優勝チームの負け数は、
- 2020シーズン 12(68試合)
- 2021 9(76試合)
- 2022 14(68試合)
- 2023 10(52試合消化時点)
先ほどの格差18.7倍から考えるとスコットランドで下位のチームが2強に勝利するのはいかに難しいか、お分かり頂けたでしょうか?
なお、2強に勝利すればクラブランキングポイントはかなり増えるが、実力拮抗の10チーム同士の対戦では勝ったり負けたり。よって、ランキングは上がらない。これがスコットランド2強以外のチームの現実。
即ち、スコットランドリーグでは10チームのレベルが低いと言うよりも、2強が突出しているため、10チームのクラブランキングが上がらない。これがJ1より低いとは言い切れない理由の1つ。
FDとOpta Power Rankingのクラブランキングには雲泥の差
こちらの分布図をご覧ください。先ほどのFDの分布図にOptaクラブランキングから作った分布図を追加。X軸の各ナンバー(1~12)の左がFD、右がOptaのランキング分布。12全てのリーグでかなりの分布差がある。
ところで、7→J1、12→スコットランド。左側のFD分布ではJ1とスコットランドリーグ差はあまりありませんが、右側のOpta分布ではかなりの差がありますね。
スコットランドリーグはJ2と同等だと言う輩もいるが、彼らの主張はまさしくここを根拠にしている。確かに、2強を除けばJ1下位+J2上位の10チームと同等だ。
Opta Power Rankingはおかしい?
Optaのリーグ内のクラブランキングは他のデータサイトとほぼ同じだが、リーグ間比較係数(Rating)に大きな疑問符が付く。その証拠に南米クラブはクラブランキング世界Top100に1チームしか入っていない。
分布図の5→ポルトガル、6→オランダ、8→ベルギーと10→スイスのOpta分布を比較して下さい。明らかにスイスの方がリーグレベルが高いとみえる。おかしいと思いませんか?
他にもおかしい点があるので詳しくはこちらをご覧ください。
なお、世界の25リーグについて同様のレベル調査をしましたのでご覧いただければ幸いです。
2022W杯メンバーはどっちが多い?
2022W杯メンバーはJリーグが10人(外国籍Jリーガー3名と元海外組を含む)。一方、スコットランドは12名(内5名がスコットランドの2強所属)。
プレミアリーグでプレーする選手はどっちが多い?
2022W杯当時のJリーグ出身は冨安と三笘だけだが、スコットランドリーグ出身のプレミアリーグでプレーする選手は10名。セルティックとレンジャーズ出身を除くと7名。その内、主力として活躍しているのは、
- リヴァプールのDFアンドリュー・ロバートソン(元ダンディー・Utd)
- アストン・ヴィラのMFジョン・マッギン(元ハイバーニアン)
- ノッティンガム・フォレストのDFスコット・マッケンナ(元アバディーン)
- ブレントフォードのDFアーロン・ヒッキー(元ハーツ)
おわりに
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解答からいきます。
- リーグ1 プレミアリーグ
- リーグ2 スペイン
- リーグ3 フランス
- リーグ4 ドイツ
- リーグ5 ポルトガル
- リーグ6 オランダ
- リーグ7 J1
- リーグ8 ベルギー
- リーグ9 オーストリア
- リーグ10 スイス
- リーグ11 K1
- リーグ12 スコットランド
分布図からスコットランドリーグを当てるのはあまり難しくなかったと思います。
日本代表の北中米W杯の目標ベスト8以上を達成するために、スコットランドリーグのレベル云々で物議を醸す必要ありません。誰のプラスにもなりません。森保監督、発言に注意!
必要な条件はW杯メンバーの少なくとも10名以上が5大リーグの上位クラブ(世界ランキングTop100)で活躍すること。現時点では遠藤、冨安、久保、三笘、鎌田、堂安の6名。
上記以外の代表選手も含めて特にMF/FW陣には更なる個の成長を求めたい。ビッグクラブへステップアップしてそこで活躍すれば、間違いなく代表はレベルアップする。
個人的には、決定力不足の日本代表においてはMF/FW全員に高い得点関与率を求めたい。それがW杯ベスト4への道と考えていますが、皆さんはいかがでしょうか?
なお、ポジション別得点関与率合格基準を含めた厳しい日本代表選考基準をこちらの記事で綴っています。
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