スコットランドリーグのレベルはJ1より低い? データで徹底検証!

はじめに

カタールW杯に続き3月の国際試合から選外となった古橋亨梧と旗手怜央のセルティックコンビ、その理由として森保監督は「リーグのレベル」と説明した。

確かに、5大リーグやポルトガル・オランダのリーグと比べてかなり低いが、J1やベルギーリーグなどと比べたらどうなのでしょうか?

この疑問を徹底検証するため、日本人選手所属12クラブのクラブ世界ランキングをリーグ別にプロットした分布図を作成。ただ、チャートにはリーグ名を入れていません。皆さん自身でリーグを当てて下さい。

さらにJ1とスコットランドの市場価値や2022W杯メンバー数などデータを紹介しますので低いかどうかはご自身で判断して下さい。

 

リーグ世界ランキング

リーグランキングに関していくつかのデータサイトがありますが、私が使っているデータはhttps://www.kickalgor.com/。国レベルの世界ランキングはFIFAランキングがあるが、主要2部リーグを含むリーグ世界ランキングデータサイトは上記サイトのみ。

当然のことですが、このリーグランキングには欧州大会(CLなど)の成績が反映されていますので、リーグレベルがかなり反映されているデータと思います。

www.ippo-san.com

他にも欧州リーグ限定の市場価値リーグランキングがありますのでご覧ください。

www.ippo-san.com

 

クラブ世界ランキング

いくつかのデータサイトがクラブ世界ランキングを扱っていますが、ほとんどは500クラブ程度。ところがこちらのデータサイトはおよそ2800クラブをランキングしています。こちらのランキングデータを使って分布図を作成しました。https://footballdatabase.com/ranking/world/1

このデータは週1更新ですのでランキングは毎週変わりますが、通年では例外を除いてクラブ世界ランキングはあまり変わりません。

リーグレベルが高いか低いかの判断のポイントはクラブのランキングと上位クラブと下位クラブのランキング格差でしょう。即ち、クラブのレベルが高くクラブ間格差が少ないリーグがレベルの高いリーグと言えるでしょう。

例えば、プレミアリーグのレベルが高いと言われるのは、ビッグ6の存在だけが理由ではありません。最下位クラブでもそのクラブのランキングが高いからリーグ全体のレベルが高いのです。

それでは12リーグのクラブの世界ランキング分布図を見てみましょう。

 

クラブ世界ランキング分布図

早速分布図を紹介します。縦軸(1~12)がリーグ、横軸(1~2500)がクラブ世界ランキング。青い丸印はクラブ。

対象リーグは日本人選手がプレーするプレミア、スペイン、ドイツ、ポルトガル、オランダ、フランス、J1、K1、スコットランド、ベルギー、スイス、オーストリアの12リーグ。なお、2部リーグはクラブ世界ランキングが更新されませんので対象外。

質問1 リーグ1~リーグ12をレベルの高い順に並べて下さい

並べた順番があなたの思うリーグランキングとなります。

質問2 リーグ1~リーグ12のリーグ名をお答えください

リーグ7~リーグ12はリーグ1~リーグ6よりも所属クラブのプロット位置が明らかに左(クラブ世界ランキングがより高くなる)に集中していますね。リーグレベルが高いと言えます。

全て解答するのが大変な方、スコットランドリーグだけ当ててみて下さい。スコットランドリーグは何番目になりましたか? なお、解答は本記事の最後の「おわりに」に掲載。

 

スコットランドリーグ とJ1を比較

MV格差

スコットランドリーグのレベルがJ1より低いと言われる最大の理由が2強時代が5年にわたり続いていて2強と残り10チームの市場価値(MV)格差があまりにも大きい点。詳しくみてみましょう。

  • スコットランドリーグ 349.3M€ 12チーム
  • J1リーグ 273.71 18チーム

レンジャーズ(136.45M€)とセルティック(104.6)の2強でリーグ全体の69%を占めている。MV1位のレンジャーズと最下位(7.95)チームの格差は17.2倍。2強を除くとリーグ平均MVは10.8、これはJ2平均より44%高く、鳥栖と同等。一方、J1リーグの格差は2.1倍(浦和21.88、鳥栖10.28)。

これほどの大きな格差がある中で古橋亨梧がゴールを量産するのは当たり前と捉えられて当然のことで、ある程度割り引いて評価しないといけない。

しかし、こうした格差は欧州のどのリーグにも存在する。例えば、ベルギーリーグの格差は14.1倍、オーストリアリーグ25.2倍、スイスリーグ5.9倍。

もちろん5大リーグでも大きな格差があり、ブンデスリーガなら21.4倍。MV最下位は浅野所属のボーフム。MVが十倍も違う相手と戦う訳だから得点するのはかなり難しい。一方、リーグ中堅以上のクラブでプレーするなら得点し易くなるのも事実。

結論としては、欧州ではどのリーグでもクラブ間MV格差が大きいのでスコットランドリーグだけを取り上げて「スコットランドでの得点は価値がない」と言うのは5大リーグでの得点もあまり価値がない、と言うのに等しい短絡的な意見。

ご参考までに日本人選手所属の欧州クラブ市場価値に関する記事を貼りました。

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クラブランキング格差

スコットランドリーグは2強を除くと現在3位のハート・オブ・ミドロシアンがクラブ世界ランキング539位、これはJ1で9位のFC東京の550位と同程度。最下位はダンディーUtdの1688位。スコットランドリーグはJ1の9位~18位+2強の構成に例えてよい。

しかし、これだけでJ1よりレベルが低いと言う事にはならない。先ほどのクラブ間格差を思い出せば、3位以下のチームが5~17倍のMV格差のある2強に勝利するのは極めて難しい事。

2強に引き分け以上の結果を出さなければクラブランキングポイントはあまり増えない。よって、実力があっても10チームのつぶし合いが続いているのでクラブ世界ランキングはなかなか上がらない。これがスコットランド2強以外のチームの現実だ。

それにクラブ世界ランキング300位前後のチームなら±50ランクのクラブと実力はほとんど変わらない。500位なら-+150でしょう。

即ち、スコットランドリーグでは10チームのレベルが低いと言うよりも2強が突出しているため10チームのクラブランキングが低くなっている、これがJ1より低いとは言い切れない理由だ。

なお、Opta社のPower Rankingを鵜呑みにしてはいけません。
スコットランドリーグはJ2と同等だと言う輩もいるが、これはOpta社のPower Rankingが情報源と思う。確かに、2強を除けばJ2の上位10チームと同等だ。ただ、スコットランド10チームのOpta社のランキングは他のデータサイトと比べると極端に低い。

Opta社のリーグ内クラブランキングは他のデータサイトとほぼ同じだが、リーグ間や大陸間の調整値(レベル係数)に大きな疑問符が付く。

その証拠に南米のクラブはクラブ世界Top100に1つもランクインされていない。しかも市場価値5倍の差があるのにブラジルのセリエAとJ1はほぼ同じレベルとなっている。

南米やスコットランドのリーグはリーグ間を比較する上での調整値が低い設定になっているのでしょう。一方、Jリーグは高めの設定のようだ。

2022W杯メンバー

日本(外国籍Jリーガー3名及び元海外組含む)は10名、スコットランドは12名(内5名が2強所属)。

プレミアリーグでプレーする選手

Jリーグ出身は冨安と三笘だけだが、スコットランドリーグ出身のプレミアリーグでプレーする選手は10名。2強出身を除外すると7名。その内、主力として活躍しているのは、

  • リヴァプールのDFアンドリュー・ロバートソン(元ダンディー・Utd)
  • アストン・ヴィラのMFジョン・マッギン(元ハイバーニアン)
  • ノッティンガム・フォレストのDFスコット・マッケンナ(元アバディーン)
  • ブレントフォードのDFアーロン・ヒッキー(元ハーツ)

スコットランド出身のプレミアリーグでプレーする選手は他に沢山もいるが、スコットランドリーグを飛ばしてイングランド2部リーグやプレミアリーグのクラブに入っている。いずれJリーグを経由せず海外のクラブに入る日本人選手が増えるでしょうね。

 

おわりに

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早速、解答からいきます。

  • リーグ1 スコットランド
  • リーグ2 J1
  • リーグ3 ベルギー
  • リーグ4 オーストリア
  • リーグ5 スイス
  • リーグ6 K1
  • リーグ7 ポルトガル
  • リーグ8 オランダ
  • リーグ9 ドイツ
  • リーグ10 プレミア
  • リーグ11 フランス
  • リーグ12 スペイン

分布図からスコットランドリーグを当てるのは所属クラブ数を知らなければかなり難しかったと思いますが、分布図を見た限りリーグ1~リーグ6の間に大きな差はありませんね。従って、敢えて順位をつけるなら、kickalgor.comの通りでよいと思います。

即ち、ベルギー、オーストリア、スコットランド、スイス、J1、K1の順。

日本代表の北中米W杯の目標はベスト4以上ですが、それを達成するためにスコットランドリーグのレベル云々で物議を醸す必要ありません。誰のプラスにもなりません。森保監督、発言に注意!

必要な条件はW杯メンバーの半数以上が5大リーグの上位クラブ(世界ランキングTop100)で活躍すること。現在、何名該当するでしょうか? 上位リーグから順位にリストすると冨安、三笘、久保、鎌田、堂安くらい。

MF/FW陣には更なる個の成長を求めたい。そうなればビッグクラブへステップアップできる。そこで活躍すれば間違いなく日本代表に招集され、代表のレベルアップになる。

個人的には、決定力不足の日本代表においてはMF/FW全員に得点関与率を上げてほしいと願っています。それがW杯ベスト4への道と考えていますが、皆さんはいかがでしょうか?

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