(2021年4月8日掲載:6月22日更新:7月3日正式メンバー追加)
はじめに
東京五輪優勝候補の一角、アルゼンチンとの強化試合は1勝1敗。そして6月の五輪代表国際親善試合でU23ガーナ代表とジャマイカ代表に圧勝。これらの試合を通して東京五輪代表メンバー15名(+OA3名)が選ばれる。
OA枠に関しては、数年前から「DF2名+ボランチ(DM)1名、しかも海外組の招集は難しいので国内組から召集すべき」といくつかの記事で紹介してきたが、どうやら海外組から選ばれる目途が立ったようだ。「DF2名+DM1名」がズバリ的中しそうなので素直に嬉しい。
なお、実際の東京五輪代表メンバーの発表は、選考期限が6月29日に設定されているのでメンバー発表は6月下旬になると思う(発表は6月22日午後2時JFATV)。6月の強化試合が終了したのでメンバーはほぼ決まった。そこで私の予想を更新しましたのであらためてご紹介したい。
東京五輪サッカー日本代表メンバー決定
皆さんが予想した通りですね。2名(瀬古、町田)外しましたが、元々その覚悟で予想したので結果にに満足。ところが6月30日登録枠が22名に拡大されたので彼らも正式メンバーとなった。追加された正式メンバーには*を付けました。
なお、ベンチ入りメンバーは都度18名を選ぶことになる。
GK
- 大迫敬介(広島)
- 谷 晃生(湘南)
- 鈴木彩艶(浦和)*
DF
- 吉田麻也(サンプドリア)北京五輪・ロンドン五輪・ブラジルW杯・ロシアW杯
- 酒井宏樹(浦和)ロンドン五輪・ブラジルW杯・ロシアW杯
- 冨安健洋(ボローニャ)
- 板倉 滉(フローニンゲン)
- 中山雄太(ズヴォレ)
- 旗手伶央(川崎)
- 橋岡大樹(シント・トロイデン)
- 町田浩樹(鹿島アントラーズ)*
- 瀬古歩夢(セレッソ大阪)*
MF
- 遠藤 航(シュトゥットガルト)リオ五輪・ロシアW杯(出場無)
- 田中 碧(川崎)
- 相馬勇紀(名古屋)
- 三苫 薫(川崎)
- 堂安 律(PSV)
- 久保建英(Rマドリード)
- 三好康児(アントワープ)
FW
- 前田大然(横浜FM)
- 上田綺世(鹿島)
- 林 大地 (鳥栖)*
五輪代表選考基準
実績重視
下記の2点の実績を考慮。
- 今シーズンの成績
- 代表実績、3月のアルゼンチン戦、6月の国際親善試合などの実績
OA枠はDF重視
OA選手選考は、過去の五輪成績の分析に基づき
- 「戦略ファースト」
- 「オリンピック男子サッカー出場国の成績」
から導いたDF重視(DF2名、ボランチ1名)で選んだ。
OA選考では人気や攻撃力が注目されがちだが、「グループリーグ各組最少失点4チームの中から必ず優勝チームが出る」ことはご存知ですか?
因みに、五輪日本代表が過去6回の五輪大会で決勝トーナメントに進出したのは2回。いすれもグループリーグ最少失点。一方、グループリーグ最多得点の大会も2回あったが、いずれも決勝トーナメントへは進めなかった。
OA枠に海外組を当てにしない
欧州組から召集できるものなら、吉田選手、酒井選手、遠藤選手 or 守田選手、DF外なら鎌田選手を選びたい。ただ、欧州のクラブが五輪出場を認める可能性は極めて低い。
これまでもOA枠として10人招集したが、海外組はわずか2人だけ。五輪世代でも招集できない可能性がある(リオ五輪開催直前に所属クラブが久保裕也選手の五輪出場を拒否)。そこで国内組に絞ってCBの選手とボランチの選手をリストアップ。
欧州組の招集問題は杞憂に終わりそうですね。
候補選手のシーズン実績と代表実績
シーズンの実績
2021年6月12日現在
- 国内組は2021シーズンの実績
- 海外組は2020-21シーズンの実績
五輪世代候補
- 太字:私が4月8日に選んだ15名(今回は2名変更)
- 緑字:2021年5月20日発表の6月度五輪世代国際親善試合招集メンバー
残念ながら私が選んだ15名の中で瀬古選手(コロナ感染隠蔽疑惑でお灸?)と郷家選手が漏れてしまった。しかし、瀬古選手は負傷離脱の冨安選手に変わって6月12日のジャマイカ代表戦に追加招集されたので東京五輪メンバーに入るだろう。
GK
- 大迫敬介(サンフレッチェ広島)19試合・1710分・5クリーンシート
- 沖 悠哉(鹿島アントラーズ)18・1620・6
- 谷 晃生(湘南ベルマーレ) 17・1530・6
- 波多野 豪(FC東京)15・1350・5
- 鈴木彩艶(浦和)10・900・6
DF
- 冨安健洋(ボローニャ)CB/RB 33試合・2929分・2得点・0アシスト
- 板倉 滉(フローニンゲン) CB/DM 36試合・3240分・1G/1A
- 渡辺 剛(FC東京) CB 16・1321・1G
- 町田浩樹(鹿島アントラーズ) CB 19・1539・4G・1A
- 田中駿汰(北海道コンサドーレ札幌) CB 21・1725・1G
- 瀬古歩夢(セレッソ大阪) CB 12・1003
- 岩田智輝(横浜マリノス)RB/DM 19・1234・1G・2A
- 菅原由勢(AZ/オランダ) RB 36・2404・3G・1A
- 原 輝綺(清水エスパルス) RB 10・854・1G・1A(ケガ)
- 中村帆高(FC東京)RB 8・552・0G・1A(ケガ)
- 橋岡大樹(シント・トロイデン)RB 6・476・0G・3A
- 旗手伶央(川崎フロンターレ)LB/AM 17・1469・3G・1A
- 中野伸哉(サガン鳥栖) LB 20・1374・0G・2A
MF
- 中山雄太(ズウォレ/オランダ) CB/LB/DM 33・2448・2G・1A
- 田中 碧(川崎フロンターレ)CM/AM 21・1742・1G・5A
- 安部柊斗(FC東京)DM/CM 18・1338・1A
- 山本悠樹(G大阪)CM 3・263・0G・1A
- 三好康児(アントワープ/ベルギー) RM 32・1693・3G・2A
- 渡辺皓太(横浜F・マリノス) AM 21・1075・3A
- 金子拓郎(札幌)AM 22・1715・3G・1A
- 森島 司(サンフレッチェ広島)AM/LM 24・1610・1G・3A
- 相馬勇紀(名古屋グランパス) LM 19・1050・2G・2A
- 郷家友太(ヴィッセル神戸)CF/CM 18・1332・2 G・1A
- 三苫 薫(川崎フロンターレ)LW 21・1304・10G・3A
- 堂安 律(ビーレフェルト/ドイツ) RW/AM 35・2864・5G・3A
- 久保建英(ヘタフェ/スペイン) RW/AM 37・1488・2G・4A
- 食野亮太郎(リオ・アヴェ/ポルトガル) RW/LW 24・720・4G
FW
- 浅野雄也(サンフレッチェ広島)CF/AM/RW 22・1364・4G・1A
- 前田大然(横浜F・マリノス)CF/LW 20・1357・9G・2A
- 上田綺世(鹿島アントラーズ)CF 15・817・8G
- 田川亨介(FC東京) CF/LW/RW 20・1106・4G
- 林 大地 (鳥栖) CF 19・1229・5G・2A
OA候補
- 畠中槙之輔(横浜F・M )CB 17試合・1527分
- 佐々木翔(サンフレッチェ広島)CB 16・1188・1G
- 谷口彰悟( 川崎)CB 19・1627・2A
- 森重 真人(FC東京)CB/DM 18・1620・3G・2A
- 中谷進之介(名古屋)CB 19・1453
- 山口 蛍(神戸)DM/CM 24・1819・3G・3A
- 三竿 健斗(鹿島)DM/CM 21・1321・2A
- 川辺 駿(広島)DM/CM 20・1476・3G・1A
- 稲垣 祥(名古屋) DM 21・1825・5G
- 井手口陽介(G大阪)CM 15・1182
- 小川諒也(FC東京) LB 18・1460・1A
- 山根視来( 川崎) RB 21・1890・2G・8A
- 松原 健(横浜F・M )RB 14・1176・1G
代表実績
五輪世代候補
- フル代表:A代表での通算プレー実績(分)
- 試合①:6月3日のA代表戦プレー実績
- 試合②:3月のU24アルゼンチン戦2試合
- 試合③:6月のU24ガーナ戦とジャマイカ戦
GK
選手名 |
フル代表 |
試合① |
国際親善試合 |
|
試合② |
試合③ |
|||
大迫敬介 |
180 |
45 |
90 |
0 |
沖 悠哉 |
0 |
45 |
0 |
0 |
谷 晃生 |
0 |
0 |
90 |
135 |
鈴木彩艶 |
0 |
0 |
0 |
45 |
DF
選手名 |
フル代表 |
試合① |
国際親善試合 |
|
試合② |
試合③ |
|||
冨安健洋 |
2250 |
|
58 |
|
板倉 滉 |
282 |
78 |
180 |
32 |
渡辺 剛 |
90 |
|
90 |
|
菅原由勢 |
4 |
90 |
90 |
0 |
橋岡大樹 |
174 |
90 |
30 |
|
町田浩樹 |
0 |
90 |
90 |
45 |
瀬古歩夢 |
0 |
|
90 |
45 |
古賀太陽 |
90 |
12 |
113 |
6 |
旗手伶央 |
0 |
78 |
73 |
72 |
中野伸哉 |
0 |
|
1 |
|
原 輝綺 |
90 |
|
90 |
|
渡辺皓太 |
0 |
|
91 |
MF
選手名 |
フル代表 |
試合① |
国際親善試合 |
|
試合② |
試合③ |
|||
中山雄太 |
368 |
45 |
90 |
84 |
田中 碧 |
157 |
45 |
90 |
180 |
三好康児 |
284 |
73 |
102 |
15 |
相馬勇紀 |
140 |
45 |
112 |
88 |
三苫 薫 |
0 |
0 |
68 |
92 |
堂安 律 |
1358 |
17 |
142 |
|
久保建英 |
441 |
45 |
165 |
143 |
林 大地 |
0 |
33 |
64 |
|
田中駿汰 |
90 |
|
|
|
郷家友太 |
|
|
|
|
FW
選手名 |
フル代表 |
試合① |
国際親善試合 |
|
試合② |
試合③ |
|||
田川亨介 |
108 |
57 |
107 |
|
食野亮太郎 |
0 |
|
95 |
48 |
前田大然 |
68 |
45 |
68 |
|
上田綺世 |
312 |
|
112 |
OA候補
2021年5月20日発表の6月五輪代表国際親善試合に招集されたOA選手は予想通りDF重視。ただ、国内勢でなく海外勢の吉田選手・酒井選手・遠藤航選手。酒井選手は浦和に移籍するので五輪出場は間違いなし。
OA枠に海外勢を選んでいるのはかなりの確証があってのことと思うが、仮に遠藤選手と吉田選手が招集できない場合、国内勢から選ぶことになる。緑字は6月国際試合フル代表メンバーに入っている選手。
私が推しOA選手でメンバー入りしたのは佐々木選手のみで畠中選手と稲垣選手は召集外。そこで新たにバックアップとして国内組から2名選出しておこう。
A代表通算実績
選手名 |
通算 (分) |
韓国 |
2次 |
U24 |
セルビア |
3/25 |
6/7 |
6/3 |
6/11 |
||
畠中槙之輔 |
419 |
0 |
|
|
|
佐々木翔 |
761 |
66 |
62 |
|
|
谷口彰悟 |
390 |
|
16 |
90 |
90 |
森重真人 |
3361 |
|
|
|
|
中谷進之介 |
90 |
0 |
90 |
|
|
小川諒也 |
105 |
24 |
28 |
45 |
8 |
山根視来 |
215 |
90 |
90 |
10 |
25 |
松原健 |
0 |
0 |
|
|
|
川辺駿 |
167 |
4 |
90 |
28 |
45 |
稲垣祥 |
0 |
0 |
|
|
|
山口 蛍 |
3148 |
|
|
|
|
三竿 健斗 |
191 |
|
|
|
|
井手口陽介 |
773 |
|
|
|
|
昌子源 |
1446 |
|
90 |
19 |
|
五輪代表メンバー予想
五輪世代
GK
今シーズンの実績では甲乙つけがたいが、これまでの招集実績で大迫選手、そして6月の国際親善試合プレー実績で谷選手。なお、鈴木彩艶選手はあくまで将来の五輪代表候補なので外した。
- 大迫敬介
- 谷 晃生
DF
冨安選手と板倉選手は文句なし。町田選手と旗手選手はリーグ戦実績で一歩リード。さらに3月と6月の国際試合でのプレー実績からしても当確。一般的にはこれまでの実績を踏まえてポリバレントな中山選手を選出するでしょう。
所属チームでの橋岡選手と菅原選手の実績はRBのみ。酒井選手を途中交代するなら冨安選手を当てればいい。吉田選手と冨安選手の交代要員は町田選手と瀬古選手(同時に起用しないだろうが)。どうしてもRBを選ぶなら菅原選手。菅原選手は橋岡選手のクラブより数段上のクラブ(世界ランキング50位以内)、アルクマールでほぼレギュラー。
中山選手に残されたポジションはLB。このポジションならCBの町田選手か瀬古選手を削って選出される可能性は十分ある。
ただ、ケガの冨安選手に変わって”わざわざ”追加招集された瀬古選手の選出はあり得る。6月の親善試合におおくのDF陣を召集しているので本来なら瀬古選手を追加招集する必要はなかったはず。3バックシステムにチェンジする時にも使える選手。
CBの人数が多いが、日本代表チームの生命線は守備。1人で突破できる攻撃陣がいない日本チームで攻撃を活性化できるのは守備陣の頑張りから。
- 冨安健洋(CB・RB控・LB控)
- 板倉 滉(DM控・CB控)
- 瀬古歩夢(CB控)
- 町田浩樹(CB控)
- 旗手伶央(LB)
MF
ジャマイカ戦に先発出場の田中選手・堂安選手・久保選手は文句なし。そして個の力で得点できる能力が最も高い三苫選手は外せない。リーグ戦実績ではやや物足りないが6月親善試合でプレー実績の多い相馬選手は当確。
三好選手は招集実績では当確レベルではあるが、所属チームでの実績がやや見劣りする。食野選手は所属チームでの実績不足。
- 田中 碧(DM)
- 相馬勇紀(LW控)
- 三苫 薫(LW・SS控)
- 堂安 律(RW・SS控)
- 久保建英(SS・RW控・LW控)
FW
今シーズンの実績でずば抜けてよい上田選手と前田選手は当確。ジャマイカ戦で出場できなかった他の候補選手はまず招集されないだろう。
- 前田大然(CF控・LW控)
- 上田綺世(CF)
1名足りませんね。15人目として橋岡選手・中山選手・三好選手のうちだれを選ぶべきか迷っているんです。猛暑の中、中2日で戦う事を考えると消耗の激しい中盤を少し厚めにすべきと考え三好選手を選択。ただ、いずれの選手にも可能性あり。
OA枠
酒井選手は浦和移籍で全く問題なし。遠藤選手は所属クラブの了解が得られたようなのでこれも問題ないだろう。吉田選手は現or新所属チームとの交渉次第であるが、サンプドリアに残るとしたら既に五輪出場の了解は得られているはず。
と言う事で国内組から選ぶ必要はないが、万が一の場合に備えてCBとDMのポジションだけ敢えて選んでおきます。
- CB:谷口彰悟選手
- DM:川辺駿選手
両選手ともアジア2次予選やセルビア戦でのプレー実績を評価して選考。
5人識者(スポーツライター)の予想をチェック
5人識者(スポーツライター)が大予想(サッカー東京五輪代表メンバーを識者が大予想。18人はこうなる!|サッカー代表)。
十人十色であるが、7割のメンバーはどの方も同じ。私の選考もOA枠が大きく違うだけで、 五輪世代に関してはほぼ同じ。
識者のOA枠選考は下記の通り。
- 杉山茂樹氏:大迫勇也、鎌田大地、守田英正
- 小宮良之氏:OAは不確定という理由で選考なし
- 原山裕平氏:OA枠に大迫、遠藤、吉田選手
- 中山 淳氏:OA枠に大迫、酒井、権田選手
- 浅田真樹氏:OA枠に大迫、遠藤、吉田選手
おわりに
東京五輪予想メンバーを所属ラブや代表実績をベースに選考。ご覧と通りCBが1名分多い。代表での実績を見れば町田選手か瀬古選手に変わって中山選手を選ぶべきでしょう。しかし接戦が予想される五輪の試合で町田選手のセットプレーからの得点を期待。
さらに試合の展開によっては、吉田選手を休ませたり冨安選手をサイドに変えたりできる。鉄板のCBコンビの保険としての役割以上のものを期待して敢えて選んでみた。
以下は2021年4月8日に記載した内容
東京五輪サッカー競技においては日本の目標は金メダル。個人的にはその可能性は十分あると思う。金メダル候補を上げるとしたら、
- ブラジル
- アルゼンチン
- メキシコ
- 日本
日本はこれらの国の五輪世代チームと互角に戦ってきた実績がある。因みに、2,019年から現在までの成績では、
- 対 ブラジル 1勝1敗
- 対 アルゼンチン 1勝1敗
- 対 メキシコ 2分
なお、欧州チームの優勝は過去6回の五輪でなかったので、東京五輪においても欧州チームの優勝はない、と考えるのが妥当である。
東京五輪日本代表金メダルの可能性をより高くするには、
- OA選考はDF重視+国内組
- 五輪世代とOA選手の待ったなしの融合
これを早急に進めなければならないが、海外組を当てにしているのだろうか?であれば所属クラブとの交渉に膨大な時間がかかるので、東京五輪でもOA選手の五輪代表チームへの合流は開催直前になるだろう。これではリオ五輪の失敗を繰り返すことになる。
それを避けるにはJFAの勇気ある決断が不可欠。例えば、6月15日のキルギス戦を東京五輪代表チームでに臨む決断、しかし、このような決断は到底無理であろう。
ただ、最低でも6月の五輪日本代表の強化試合にはOA候補を加えて臨んでほしい(6月のU-24親善試合にオーバーエージ枠選手の招集を4月6日に示唆)。何故なら、早めの融合で日本の強みである連係プレーを磨き上げられる、そして、それが金メダルへの唯一の道だからである。
いかがでしたか? 少しでも東京五輪サッカー日本代表メンバー選びの参考になったなら幸いです。