(2021年4月24日掲載:2021年7月28日更新)
はじめに
東京五輪サッカー競技開幕まで残り1カ月。東京五輪日本代表の目標は金メダル。その可能性は4月の時点より増したと思いますが、皆さんはどう思いますか?
日本代表に関してこれまでに過去の五輪サッカー競技データなどを根拠に「決勝ラウンド進出に必要なGS成績」や「メダルの可能性60%とその条件」など1次ラウンドに必要な成績などを考察。
本記事では、4月21日の組み合わせ抽選会結果「日本はフランス・メキシコ・南アフリカと同組」及び 6月の国際親善試合結果に加えて、過去2年間の金メダル候補同士の直接対決などをベースに優勝国を予想。
金メダル候補はブラジル、アルゼンチン、メキシコ、そして日本に絞りました。フランス・スペインなどを候補にあげる人がいますが、過去6回の五輪で欧州勢の優勝はありません。
6月の時点からOA融合を進めているのは日本(アルゼンチンはGKのみ)だけ。さらに各出場国の6月度国際親善試合結果を見ると日本が間違いなく一歩リード。
追記:優勝候補として日本、ブラジル、メキシコ、アルゼンチンをリストアップしましたが、結果はベスト4に3チームが入りました。上出来ですね!
- 推定市場価値10M€以上の五輪世代選手
- フランス・ドイツ・スペインの優勝はない、どうして?
- 決勝トーナメント表をみれば日本のメダル獲得の可能性は高い
- 優勝候補同士の直接対決(H2H)における日本の成績は?
- H2H実績
- 日本が金メダル筆頭候補になるには
推定市場価値10M€以上の五輪世代選手
東京五輪出場国で推定市場価値10M€以上の選手を二人以上抱える国をリストアップ。フランスが断トツで多いですね。
(2021年6月18日現在)
出場国 |
選手数 |
フランス |
59 |
ブラジル |
34 |
スペイン |
29 |
アルゼンチン |
17 |
ドイツ |
12 |
メキシコ |
2 |
日本 |
2 |
この表を見る限り、「フランス最強」と考えるが、キリアン・ムバッペ(160M€)選手は五輪出場を決める2年前のUEFA U-21欧州選手権に出場していない。
また、スペインのミケル・オヤルサバル(70M€)選手は同選手権に出場したが、レアル・ソシエダの主力なったが現在、クラブが五輪出場を認めるとは思えない(と思ったが登録メンバーに名を連ねた)。
いずれにしても五輪に出場できる選手は4割以下でしょう。
フランス・ドイツ・スペインの優勝はない、どうして?
所属クラブが有力選手の五輪出場を拒否
国別に推定市場価値10億円以上の選手一覧をみたが、東京五輪でもスペインとブラジルを除いて有力選手のほとんどは五輪に参加しない。スペインはほぼドリームチームを結成したが、それでもスペイン・フランス・ドイツの優勝はないいと思っている。
チーム推定市場価値が高いから勝てるわけではない
スペインのチーム推定市場価値が545M€。とてつもない額である。そのスペインはロンドン五輪でチーム市場価値178M€で臨んだ(ブラジルの266.3M€に次ぐ額)。
その時の日本代表は18.2M€。実に10倍の差があったが、結果は日本が0-1で勝利。スペインはD組最下位でGS敗退。ブラジルも決勝戦でチーム市場価値30.2M€のメキシコに負けてしまった。
特にスペインはオヤルサバルほか欧州選手権に出場したメンバー6名を召集。1992年バルセロナ五輪以来の金メダル獲得に超本気モードだが、彼らは疲労困ぱいで実力通りのパーフォーマンスは無理でしょう。
【参考】東京五輪に出場する推定市場価値10M€以上の選手
発表済五輪登録メンバーより
出場国 |
人数 |
選手名 |
フランス |
4 |
フロリアン・トヴァン(OA)、リュカ・トゥサールなど |
ブラジル |
13 |
ジエゴ・カルロス(OA)、 リシャルリソン、ドウグラス・ルイス、マテウス・クーニャなど |
スペイン |
15 |
ミケル・メリーノ(OA)、 ペドリ、ミケル・オヤルサバル、パウ・トーレス、ダニ・オルモなど |
アルゼンチン |
6 |
ティアゴ・アルマダ、ペドロ・デ・ラ・ベガ、エセキエル・バルコなど |
ドイツ |
4 |
マクシミリアン・アルノルト(OA)、ナディーム・アミリ(OA)、フェリックス・オヒョカイなど |
メキシコ |
0 |
|
日本 |
3 |
久保、冨安、遠藤 |
決勝トーナメント表をみれば日本のメダル獲得の可能性は高い
日本のメダル獲得の可能性は60%と書いたが、その変更はない。1次ラウンドでA組1位でも2位でも準々決勝で対戦する相手はB組の1位又は2位(韓国かホンデュラス?)なので準決勝進出の可能性はかなり高い。
(決勝T組み合わせ予想)
準決勝の対戦相手を考えるとA組は1位でも2位でもどちらでもよい
- A組1位通過なら準々決勝は韓国かホンデュラス、準決勝はおそらくアルゼンチンかスペイン
- A組2位通過でも準々決勝は韓国かホンデュラス、しかし、準決勝でブラジルかドイツに当たる可能性が高い
どちらにしても東京五輪日本代表のこれまでの国際試合などの実績を考えれば、ブラジルとアルゼンチンは勝てない相手ではない。
過去の五輪と同様、スペインとドイツはベストメンバーを組めない。しかも19-21 UEFA U-21欧州選手権予選メンバー主体で平均年齢22歳未満のチームとなるだろう。
(決勝T組み合わせ結果)
優勝の可能性はかなりアップしましたね。40%としておきましょう。
優勝候補同士の直接対決(H2H)における日本の成績は?
H2H実績
エジプトと韓国は大陸間での国際親善試合が2試合だけなので省略。また、ブラジルとアルゼンチンの五輪南米予選決勝戦は消化試合で且つ大陸間の試合ではないので除外。
日本
年 |
対戦相手 |
得点 |
失点 |
2019 |
メキシコ |
2 |
2 |
|
ブラジル |
1 |
1 |
|
メキシコ |
0 |
0 |
2020 |
ブラジル |
3 |
2 |
2021 |
アルゼンチン |
0 |
1 |
|
アルゼンチン |
3 |
0 |
6.5 |
u-24ガーナ 合計除外 |
6 |
0 |
6.12 |
ジャマイカ代表 合計除外 |
4 |
0 |
まとめ |
勝点 |
得点 |
失点 |
合計 |
9 |
9 |
6 |
平均 |
1.5 |
1.5 |
1.0 |
メキシコ
年 |
対戦相手 |
得点 |
失点 |
2019 |
日本 |
2 |
2 |
|
アルゼンチン |
2 |
2 |
|
アルゼンチン |
1 |
1 |
|
日本 |
0 |
0 |
2021 6.6 |
ルーマニアU24 合計除外 |
1 |
0 |
6.9 |
サウジアラビアU-24 合計除外 |
1 |
1 |
6.13 |
オーストラリアU24 合計除外 |
3 |
2 |
まとめ |
勝点 |
得点 |
失点 |
合計 |
4 |
5 |
5 |
平均 |
1.0 |
1.25 |
1.25 |
アルゼンチン
年 |
対戦相手 |
得点 |
失点 |
2019 |
メキシコ |
2 |
2 |
|
メキシコ |
1 |
1 |
2021 |
日本 |
1 |
0 |
|
日本 |
0 |
3 |
6.8 |
U21デンマーク 合計除外 |
2 |
1 |
6.11 |
U23サウジアラビア 合計除外 |
2 |
0 |
まとめ |
勝点 |
得点 |
失点 |
合計 |
5 |
4 |
6 |
平均 |
1.25 |
1.0 |
1.5 |
ブラジル
年 |
対戦相手 |
得点 |
失点 |
2019 |
日本 |
1 |
1 |
|
日本 |
2 |
3 |
2020 |
韓国 |
3 |
1 |
|
エジプト |
1 |
2 |
2021 6.6 |
カーボベルデU23 合計除外 |
1 |
2 |
6.9 |
セルビアU23 合計除外 |
3 |
0 |
まとめ |
勝点 |
得点 |
失点 |
合計 |
4 |
7 |
7 |
平均 |
1.0 |
1.75 |
1.75 |
H2Hのまとめ
試合数が違うので1試合平均で比較
まとめ |
勝点 |
得点 |
失点 |
日本 |
1.5 |
1.5 |
1.0 |
メキシコ |
1.0 |
1.25 |
1.25 |
アルゼンチン |
1.25 |
1.0 |
1.5 |
ブラジル |
1.0 |
1.75 |
1.75 |
この数字がそのまま実力を反映しているとは言い難いが、日本が半歩リード。
- 日本:最少失点率で1位。3月26日のアルゼンチン戦でもほぼ圧倒されていたにもかかわらず失点1。固い守備が大舞台で最も重要
- メキシコ:引き分けばかりだが、攻守のバランスのとれた負けないチーム
- アルゼンチン:以外にも得点が少ない。攻撃が課題
- ブラジル:得点も失点も多い。守備が課題
こうして見ると最強は日本のようだ。もちろん、OA選手が加わったチームで戦うことになるだろうから、上記の実績が五輪優勝予想にそっくり当てはまるとは思わないが、現時点では日本が半歩リード、しかし「4チームとも優勝可能性は20%とくらい」と言っておこう。
日本が金メダル筆頭候補になるには
① 早いタイミングでのOA融合
東京五輪サッカー日本代表のメダル獲得可能性は60%と思うが、DF重視のOA選考と早いタイミングでのOA融合が条件。これができれば、連係プレーなど16カ国で最も高いチーム力が備わる
② 日本以外で6月国際親善試合にOAを招集した国はない
6月の国際Aマッチデー期間にOA候補を加えた五輪世代の強化試合を組むと思ったが、実際には日本だけ(アルゼンチンはGKのみOA枠活用)。やはり、予想通り、OAを招集してまで親善試合に臨んだ国はなかった。
6月の国際親善試合に関するコメント
- メキシコーOA召集なし。しかし出場国で最多の3試合実践
- アルゼンチンーOA招集は3月日本戦のGKを再招集しただけ。ただ、日本戦メンバーのうち6月の強化試合に召集されたのはそのGKを含め8名のみ
- ブラジルーカーボベルデ(敗)とセルビアU21(勝)と対戦、市場価値と勝敗が結びつかなかったですね
- フランスー強化試合の実績見つからず
- 南アフリカーエジプトU23に3-0敗け
- 日本ーガーナU23に6-0で圧勝。因みに、OAなしの韓国はガーナU23に3-1と2-1で勝利。この差で分かるのが、五輪世代のレベルの高さは勿論、OA候補は理想的で頼もしい
H2Hのまとめで「4チームとも優勝可能性は20%とくらい」と書いたが、どうやらOAの融合が進んでいる日本が一歩リードしたようで日本の優勝可能性は30%にアップ!?
7月からのOA招集では遅すぎる
6月の期間を逃すとOA選手と五輪世代選手の融合できる時間はなくなる。あってもそれは五輪開催直前のWarm-up Match(調整試合)の2試合だけ。
リオ五輪では五輪日本代表チームにOA選手が加わったのはブラジルに移動してからの2試合だけ。結果、メダルを期待されたリオ五輪代表チームは1次ラウンドで敗退。
いずれにしても日本が金メダルの筆頭候補になるには、
- OA枠活用は DF重視
- 6月の国際親善試合にOA候補招集
この2点が必要条件と考える。そうなれば金メダルの可能性は30%とみる ⇒ いずれも実行されたのでかなり現実味がでて来ましたね!
おわりに
6月の国際親善試合を振り返って、東京五輪日本代表のOA融合が最大の収穫。しかも、私の主張と同じDF重視のOA枠活用(吉田選手・酒井選手・遠藤選手)。日本以外の出場国は予想通りOA召集なしだった。
ほぼすべて読み通りに進んでいる。願わくは東京日本代表の金メダル!
因みに、2021年7月16日時点での優勝オッズは次の通り
- スペイン 3.0
- ブラジル 3.75
- フランス 6.0
- アルゼンチン、日本 9.0
- ドイツ 10.0
私はもちろん日本に賭けています。
いかがでしたか? お役に立てたでしょうか? 東京五輪男子サッカー優勝候補予想の参考にして頂ければ幸いです。