アメリカ女子サッカー代表、2023年W杯優勝に向けて世代交代が始まる

はじめに

東京五輪準決勝戦でカナダに20年振りに負けたアメリカ女子サッカー代表(USWNT)の世代交代が始まった。

東京五輪後、最初の4試合は従来のメンバーが主体だったが、2021年11月下旬の豪州遠征で招集メンバーを大幅変更、私達が良く知っているミーガン・ラピノーアレックス・モーガン選手などのスターは招集外となった。

この遠征の初戦でアメリカ女子サッカー代表監督、ヴラトコ・アンドノフスキ氏(2019年10月就任)は代表経験の浅い選手5名を先発起用。オーストラリアとの2連戦で4名が代表デビュー、まさしく2023年W杯優勝に向けて世代交代だ。

それでは、豪州遠征メンバーと東京五輪メンバーの違い主な注目選手、そして遠征結果などをお伝えします。

 

USWNT豪州遠征チームプロフィール

サマリー

  • 平均年齢:東京五輪29.7歳⇒豪州遠征25.8歳
  • 東京五輪代表:10名
  • 代表デビュー:4名
  • 平均キャップ数:東京五輪96キャップ⇒豪州遠征30キャップ
  • キャプテンは ベッキー・サワーブランで変更なし

年齢構成

USA代表の平均年齢が4歳下がる思い切った世代交代ですね。

(なでしこジャパンデータは2021年11月欧州遠征メンバーから)

 

USA代表

なでしこ

ジャパン

 

東京

五輪

豪州

遠征

東京

五輪

欧州

遠征

平均年齢

29.7歳

25.8歳

25.4歳

24.8歳

31歳以上

8名

1名

3名

2名

26歳以上

12名

11名

5名

6名

21歳以上

2名

11名

14名

15名

 

キャップ数

代表経験の少ない選手を多数召集。

 

USA代表

なでしこ

ジャパン

キャップ

東京

五輪

豪州

遠征

東京

五輪

欧州

遠征

100以上

9名

2名

1名

1名

50以上

6名

3名

3名

3名

25以上

4名

3名

6名

3名

10以上

0名

3名

6名

6名

10未満

3名

12名

6名

10名

 

代表メンバー紹介(東京五輪 v 豪州遠征)

メンバーリスト

  • Cap数は東京五輪前とオーストラリア遠征後
  • 太字:東京五輪メンバー且つ豪州遠征メンバー

東京五輪メンバー

豪州遠征メンバー

選手名

Cap

選手名

Cap

Carli Lloyd

306

Becky

Sauerbrunn

199

Becky

 Sauerbrunn

188

Lindsey Horan

108

Alex Morgan

180

Abby Dahlkemper

77

Megan Rapinoe

179

Rose Lavelle

68

Tobin Heath

171

Emily Sonnett

63

Christen Press

149

Tierna Davidson

45

Kelley O'Hara

140

Lynn Williams

45

Crystal Dunn

116

Kristie Mewis

33

Julie Ertz

110

Andi Sullivan

22

Lindsey Horan

98

Catarina Macario

12

Sam Mewis

77

Sophia Smith

10

Alyssa Naeher

73

Sofia Huerta

9

Abby Dahlkemper

71

Margaret Purce

9

Rose Lavelle

56

Emily Fox

8

Emily Sonnett

56

Jane Campbell

7

Lynn Williams

37

Alana Cook

4

Tierna Davidson

34

Ashley Hatch

4

Casey Krueger

34

Casey Murphy

2

Kristie Mewis

26

Ashley Sanchez

2

Catarina Macario

7

Morgan Weaver

2

Adrianna Franch

6

Imani Dorsey

1

Jane Campbell

5

Bethany Balcer

1

 

 

Bella Bixby

0

 

注目選手

(成績は2021年度シーズン)

Ashley Hatch アシュリー・ハッチ FW

  • 26歳
  • 4 Cap
  • ワシントン・スピリッツ所属
  • 得点ランキング1位(10ゴール)
  • Golden Boot賞
  • ベストイレブン賞

Casey Murphy ケイシー・マーフィー GK

  • 25歳
  • 2 Cap
  • ノース・カロライナ・カレッジ所属
  • クリーンシート1位(11回)

Alana Cook アラナ・クック DF

  • 24歳
  • 4 Cap
  • OLレイン
  • 得点ランキング2位タイ(9ゴール)
  • ベストイレブン賞

Midge Purce マーガレット・パース FW/MF

  • 26歳
  • 9 Cap
  • ゴッサムFC
  • ベストイレブン賞

2021年度ベストイレブン賞次点のDFのEmily Foxソフィア・ウエルタは召集されたが、ベストイレブン賞に輝いた5名の米国選手は豪州遠征に招集されなかった。

なお、Emily Foxは2021年大学生対象ドラフトでレーシング・ルイビル(永里優季所属)が全体1位で獲得した23歳のルーキー。2021年度からスタートした新興クラブに入団して活躍できたことが、代表招集につながったのでしょう。

 

オールトラリア代表 対 アメリカ代表

先発メンバーが大きく入れ替わった中での初の代表試合。GKのマーフィーは初出場、初先発。FWのハッチも3試合目で初先発。DFのクックは2試合目。MF/FWのパースは8試合目。

11月27日 0-3 USA勝利

  • A.Hatch (アシストLynn Williams) 1分 代表初ゴール
  • Lavelle (アシストMargaret Purce)49分
  • Horan(PG)68分
  • シュート本数 豪14本 米11本
  • 枠内シュート 豪9本 米6本
  • ボール支配率 豪53% 米47%
  • 観客36,109人

11月30日 1-1

  • Ashley Hatch(アシストMargaret Purce)4分 2戦連続ゴール
  • Kyah Simon(アシストSam Kerr)88分
  • シュート本数 豪8本 米16本
  • 枠内シュート 豪2本 米7本
  • ボール支配率 豪50% 米50%
  • 観客20,495人

 

おわりに

アメリカ女子サッカー代表の世代交代、30代の女性選手にとって、W杯や五輪の都度、家族を犠牲にしなければならない。きっと試合よりもつらかったと察しますので、むしろ良かったと思います。お疲れ様でした。

東京五輪代表30代の8名は豪州遠征の登録名簿になかった。代わりに21歳~25歳までの選手が多数招集された。明らかに世代交代が始まった。

豪州遠征初戦では代表キャップ数10未満の選手5名が先発30代の選手の先発はなし。それでも0-3で勝利。さすが世界No.1のリーグから選ばれた選手達だ。因みに、女子サッカーリーグランキングについてはこちらをどうぞ!

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アメリカ女子サッカープロリーグ(NWSL)では、海外からの代表クラスの選手46名に加えてUSWNTメンバー数十名がワールドカップのような熱い戦いを繰り広げている。だから、サッカー能力値の限界はWEリーグとは比較にならないほど高くなる。

そんな環境で実績を残した選手が代表に選ばれるが、2021年度ベストイレブン賞に輝いた8名のうち5名は一度もフル代表に招集されたことがないほど選手層が厚い。

選手層の厚いアメリカ女子サッカー代表チームなら世代交代は順調に進むはずだ。この先も「絶対女王」として君臨するだろう。2023年ワールドカップ3連覇は現実となるかも知れませんね。

なお、女子サッカークラブ世界ランキングについてはこちらをどうぞ!

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また、WEリーグとNWSLなど世界の女子サッカーリーグの違いについてはこちらをどうぞ!

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