女子サッカークラブ世界ランキングと海外日本人選手所属クラブ

はじめに

(2021年8月25日掲載:2022年12月17日更新)

男子サッカーのクラブ世界ランキングは定期更新のデータベースが存在するので「2022年度版:サッカークラブ世界ランキング」で紹介している通りです。

一方、女子サッカークラブ世界ランキングの場合、定期的に更新されているデータベースは存在しない。ただ、情報は限られているが女子サッカークラブ世界ランキングトップ10を推定するのは比較的容易

何故なら、女子サッカーが最も盛んな欧州の女子クラブランキングはUEFAから情報が得らえる。また、アメリカ女子サッカーリーグ、NWSL所属チームランキングはリーグ戦実績で推定可能。

そこで、上記の情報に加え、限られた大陸間のクラブレベルの国際試合を参考に女子サッカークラブ世界ランキングを無理矢理推察しましたが、WEリーグ選手の海外移籍などの参考になるかと思います。

なお、こちらの最新記事もご覧いただければ幸いです。

 

欧州女子クラブ順位は欧州CL実績で推定

公式にはWomen's club coefficients | UEFA Coefficients | UEFA.comというランキングデータはあるが、より最新のデータで順位決定したいので欧州女子チャンピオンズリーグの成績を基にランキング

具体的には欧州女子CLで優勝クラブに8ポイント、準優勝に7ポイント、・・・、8位に1ポイント付与。但し、21-22シーズンは獲得ポイントの1.5倍、20-21シーズンは1倍。19-20シーズンは0.5倍。

左からクラブ名:19-20順位/20-21順位/21-22順位/合計リーグpts

  1. バルセロナ    5    8    7    21
  2. リヨン    8    2    8    18
  3. PSG    6    6    6    18
  4. ヴォルフスブルク    7    3    5    14
  5. バイエルン・ミュンヘン    4    5    2    10
  6. チェルシー    0    7    0    7
  7. ユヴェントス    0    0    4    6
  8. R.マドリード    0    0    3    4.5
  9. マンチェスターC    0    4    0    4
  10. アーセナル    2    0    1    2.5
  11. グラスゴー    3    0    0    1.5
  12. A.マドリード    1    0    0    0.5

12月17日南萌華選手所属のASローマは22-23大会準々決勝進出確定で1.5ゲット。イタリア女子セリエAでも首位を走る。11位に浮上とみる。

 

アメリカ女子クラブの順位はリーグ戦実績で推定 

リーグ戦順位にポイント付与。即ち、優勝クラブに8ポイント、準優勝に7ポイント、・・・、8位に1ポイント付与。但し、22シーズンは獲得ポイントの1.5倍、20シーズンは1倍。19シーズンは0.5倍。

左からクラブ名:2019順位/2021順位/2022順位/合計リーグpts

  1. ポートランド    6    8    7    21.5
  2. OLレイン    5    7    8    21.5
  3. シカゴ    7    5    3    13
  4. ヒューストン    2    2    5    10.5
  5. ノースカロライナ    8    3    2    10
  6. サンジエゴ    0    0    6    9
  7. ワシントン    4    6    0    8
  8. カンザス    0    0    4    6
  9. ゴッサムFC    1    4    0    4.5
  10. エンジェル・シティ    0    0    1    1.5

サンジエゴとエンジェル・シティは今季からの新規参入組なので実際はもっと上。

 

欧米チームの順位を推定

Women’s International Champions CupとThe Women's Cupで推定。但し、欧州チームにとってはリーグ開幕前での試合なのでやや不利。

 

Women’s International Champions Cup(WICC)

この大会事実上の女子サッカークラブ世界一決定戦。2018年から開催。2018年と2019年は欧州から3チーム、米国からNWSLチャンピオンが参加していたが、2021年度は欧州2チーム、米国2チームが参加。欧米チームの対戦のみ掲載。

2018年

  • 準決勝 N.カロライナ(NWSL優勝) 2-1 PSG(フランス1部2位)
  • 決勝  N.カロライナ 1-0 リヨン(CL優勝) 

2019年

  • 準決勝 N.カロライナ(NWSL優勝) 2-1 マンチェスターC(Engリーグ2位)
  • 決勝 リヨン(CL優勝) 1-0 N.カロライナ

2021年

  • 3位決定戦 バルセロナ(CL優勝)3-2 ヒューストン(NWSL7位)
  • 決勝 ポートランド(NWSL優勝) 1-0 リヨン(CLベスト8)

2022年(8.17-8.20)

  • 8.18 リヨン(21-22CL優勝)2-2( PK4-3)チェルシー(21-22Eng女子リーグ1位)2点ビハインドからPK勝、さすがリヨンはクラブ世界ランキング1位のチーム
  • 8.21 3位決定戦 ポートランド 0-1 チェルシー

 

2021 The Women’s Cup(TWC)

新設の大会でレーシング 主催のNWSL新規参入を記念した大会。

2021年

  • 3位決定戦 シカゴ(NWSL4位)0-1 PSG(CLベスト4)
  • 決勝 レーシング(NWSL9位)2-2 バイエルン(CLベスト4)レーシングPK勝

2022年

現時点でクラブ世界ランキング9位であろうOLレインが優勝するだろう。準優勝はレーシングと思われる。リーグレベルはイタリアが上だが、東京VBが実力拮抗と推察するACミランに勝利する可能性あり。

  • 8.15 東京VB(21-22WE3位)1-3 ACミラン(21-22セリエA3位)
  • 8.15 Club America(メキシコ現在5位)2-1 トッテナム(21-22Engリーグ5位)
  • 8.18 5位決定戦 東京VB 2-1 トッテナム
  • 8.18 準決勝 レーシング(NWSL現在9位)2-0 ACミラン
  • 8.21 決勝 レーシング 1-2 OLレイン

寸評

2021Women’s International Champions Cupと2021 The Women’s Cupで欧米チームの対戦結果を見てお分かりと思いますが、欧州女子チャンピオンズリーグの上位クラブとNWSLの上位クラブの実力はかなり拮抗している。

CLベスト8のチームとNWSLシーズンベスト8のチーム差はそれほどなさそう。

ただ、欧州6位のチェルシーは2022WICCで世界No1.のリヨンにはPK戦で敗れたもののNWSLトップのポートランドに辛勝。チェルシーを含むイングランドはここ数年各国代表クラスが多数加入しかなり強くなっている。

さらに、チェルシーは欧州Top5のどのチームとも互角に戦える実力を備えている。実力は世界Top5と言っていいが、欧州CLでの実績が足りないのでそのまま世界8位とする。

 

女子サッカークラブ世界ランキング

Top20

強引ではあるが私の女子サッカークラブTop20は下記の通り(世界5位くらいまでの実力差は紙一重)。なお、過去8回の欧州CL又はNWSLリーグ優勝回数をボーナスとしてリーグptsに加味。

*の選手は過去にリーグ戦出場実績のある日本人選手

クラブ名 リーグpts 優勝回数 合計pts 日本人選手

  1. リヨン        18    6    24    *熊谷紗希*大滝麻未*大野忍
  2. ポートランド        21.5    2    23.5    杉田妃和
  3. OLレイン        21.5    2    23.5    *川澄奈穂美*宇津木瑠美*籾木結花
  4. バルセロナ        21    1    22    
  5. PSG        18    0    18    
  6. ヴォルフスブルク        14    0    14    *永里優季
  7. シカゴ        13    0    13    永里優季
  8. ノースカロライナ        10    3    13    三浦成美 *長野風花*川村優理
  9. ヒューストン        10.5    1    11.5    
  10. バイエルン・ミュンヘン        10    0    10    熊谷紗希 *岩渕真奈
  11. サンジエゴ        9    0    9    
  12. ワシントン        8    0    8    *横山久美*宝田沙織
  13. チェルシー        7    0    7    *永里優季
  14. カンザス        6    0    6    
  15. ユヴェントス        6    0    6    
  16. ゴッサムFC        4.5    0    4.5    川澄奈穂美 *横山久美(現時点だけなら20位?)
  17. R.マドリード        4.5    0    4.5    (現時点だけなら18位?)
  18. マンチェスターC        4    0    4    長谷川唯(現時点だけなら21位?)
  19. アーセナル        2.5    0    2.5    岩渕真奈(現時点だけなら16位?)
  20. エンジェル・シティ        1.5    0    1.5    遠藤純(現時点だけなら19位?)
  21. ASローマ 南萌華(現時点だけなら17位?)

なお、女子サッカーリーグ世界ランキング(推定)に関しては文末の見出し「主な女子サッカー記事」の【女子サッカーリーグランキング、世界最高峰のリーグは?】はご覧ください。

 

WEリーグのチームは何位?

WEリーグの3強(東京VB・浦和・INAC)は20位台後半~30位台前半と推定。理由は簡単で東京五輪出場選手のチーム当たりの人数を比較すれば一目瞭然。

  • WEリーグ所属(外国籍0) 16名 チーム当たり1.5人
  • NWSL 39名(外国籍19) チーム当たり3.9人
  • イングランド 49名(外国籍28名) チーム当たり4.1人

因みに、上記の人数はあくまで東京五輪出場国の代表メンバーを対象。それ以外の国の代表メンバーも含めればWEリーグを除いてチーム当たりの代表選手数は倍になる。

例えば、

  • 21年度シーズン最下位のカンザス・シティーでさえアメリカ代表1人と外国籍代表選手7人が在籍、合計8人、9位のレーシングにはアメリカ代表(東京五輪選考外)は1人だが、外国籍の代表選手が4人で合計5人+永里選手
  • クラブランキング1位のリヨンは仏代表メンバー5名を含めて代表選手11名
  • ここ数年成長著しいイングランドリーグのチェルシーは何と22名中19名が国内外の代表選手

このようにより成長したい選手はトップレベルのリーグで代表レベルのチームメイトと競いながら切磋琢磨している。

なお、主なサッカーリーグの外国籍選手数に関しては文末の見出し「主な女子サッカー記事」の【WEリーグと海外女子サッカーリーグの圧倒的な違いは何か?】、一方、海外の日本人女子サッカー選手に関しては【海外でプレーする 現・元なでしこサッカー代表メンバーに注目しよう!】をご覧ください。

 

おわりに

独自の計算で女子サッカークラブTop20(欧州11クラブ+米国9クラブ)を推定。強豪クラブ(Top10チーム)でプレーする日本人選手は2023.1.13現在、杉田妃和・熊谷紗希・永里優季・三浦成美の4名。全員不動のレギュラー。

Top20以内なら岩渕真奈川澄奈穂美・長谷川唯・遠藤純の3名。

他には、岩渕真奈、清水梨紗・林穂之香(ともにイングランド・ウェストハム)、籾木結花・宝田沙織(ともにスウェーデン・リンシェーピンで来季のCL予選進出決定)、南 萌華(ASローマ)などが海外組。活躍してTop20クラブへの移籍を期待。

23年1月14日報道で長野風香がリヴァプール移籍。ノースカロライナ・カレッジと比べてクラブレベルは低いが、スーパーリーグ上位クラブ相手に大活躍を期待。

また、その前日の14日に浜野まいかがチェルシー移籍(期限付きでスェーデンのハンマルビー移籍)。2年後には絶対チェルシーへ戻ってほしい。

強豪クラブでレギュラーを掴む若い選手がたくさん出てくれば、なでしこジャパンの未来は明るい。高橋はな、塩越柚歩、木下桃香、千葉玲海菜、スタンボー華など海外強豪クラブでチャレンジしてもらいたい。

なお、本記事は少なくとも年2回更新しますのでまたよろしくお願いします。

 

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