はじめに
(2021年8月掲載:2023年9月26日更新)
男子サッカーのクラブ世界ランキングは定期更新のデータベースがありますので「2023年度版:サッカークラブ世界ランキング」で紹介している通りです。
一方、女子サッカークラブ世界ランキングの場合、定期更新のデータベースはありません。ただ、情報は限られていますが、女子サッカークラブ世界ランキング上位クラブを推定するのは、それほど難しくありません。
何故なら、女子サッカーが最も盛んな欧州女子クラブのランキングはUEFAチャンピオンズリーグ成績で、そして、アメリカ女子サッカーリーグ、NWSLクラブのランキングはリーグ戦実績で推定可能です。
そこで、上記の情報に加え、限られたクラブレベルの大陸間の国際試合などを参考に女子サッカークラブ世界ランキングを無理矢理推定しましたが、クラブランキング情報はWEリーグ選手の海外移籍などの参考になるかと思います。
なお、こちらの最新記事もご覧いただければ幸いです。
- なでしこジャパン:パリ五輪に向けて新戦力の招集に期待
ランキング計算概要
欧州クラブ
欧州女子クラブ順位は欧州CL実績+W杯代表選手Ptsで推定
前回までは欧州CL実績のみでしたが、今回からランキング評価基準を追加。これまでのランキングよりも充実した内容と思います。
欧州CLポイント
クラブ実績を反映したポイントで、欧州女子CL優勝クラブに8ポイント、準優勝に7ポイント、・・・、8位に1ポイント付与。但し、22-23シーズンは獲得ポイントの1倍、21-22シーズンは0.75倍、20-21シーズンは0.5倍、・・・。
選手Pts(追加)
選手のW杯成績を反映したポイントで、2023FIFA女子ベスト16以上のチーム+ドイツ・カナダ・ブラジル・イタリアの選手を対象にW杯成績に準じた選手Ptsをクラブ別に集計。
例えば、優勝したスペインの選手には1ポイント付与、ベスト8となったなでしこジャパンの選手へは0.75ポイント付与。
従って、欧州クラブランキングは(欧州CLポイント+選手Pts)の合計が高い順。
米NWSLクラブ
リーグ戦順位で推定
リーグ戦順位にポイント付与。即ち、1位クラブに8ポイント、2位クラブに7ポイント、・・・、8位に1ポイント付与。但し、23シーズン(9月26日現在)は獲得ポイントの1倍、22シーズンは0.75倍、20シーズンは0.5倍。・・・。
欧米クラブ間の調整
これまでは、米国NWSLの上位8クラブと欧州CL上位8クラブは実力的に拮抗しているという前提で順位を推定。
しかし、欧州クラブとの国際大会(WICC+TWC)がNWSLはシーズン中、欧州クラブはプレシーズン中ということで欧州勢にやや不利。そこでこれまでの親善試合の得点(過去11試合でNWSL12得点、欧州14得点、)比でNWSLの合計Ptsを低めに調整。
また、欧州チームの合計Ptsには選手Ptsが加算されているためNWSLと単純比較ができません。
そこで欧州1位のバルセロナのCL-Ptsと合計Pts(調整前Pts)比を各クラブの合計Ptsに賭けて調整後Ptsを算出。よって、欧州とNWSLがほぼ同じ土俵で比較可能。
女子サッカークラブ世界ランキング
前述の調整を踏まえてランキングした結果が下記の表。
ランキングコメント
選手Ptsや平均選手レベルは前掲の欧州ランキング表をみて下さい、
- 1位のバルセロナは選手Ptsで一番。それだけW杯上位チームの選手が多い。今季もCL優勝No1候補
- 2位の杉田所属ポーロランドはNWSLリーグ戦1位だが、OLレイン、ノース・カロライナ、ゴッサム、サンディエゴが勝点差5以内。残り3試合
- 4位の世界No1ストライカー、サマンサ・カー所属チェルシーは今季CLでバルセロナと決勝戦か?
- 6位(欧州3位)のヴォルフスブルクは選手Ptsで欧州8位。超一流の選手は人気のイングランドかスペインへ移籍。CLを含めヴォルフスブルクの将来はやや暗い
- 7位の長谷川所属マンチェスター・シティの平均選手レベルは8.7Ptsで全掲載クラブの最高値。これは13名のW杯出場選手のほとんどがベスト4以上であったこと。長谷川選手の選手Ptsはベスト8なので0.75Pts
- 8位のアレックス・モーガン所属サンディエゴはNWSL加盟2年目。実績不足だが2年連続上位をキープする勢い
- 18位(欧州10位)の熊谷・南所属ローマはむしろW杯決勝Tへ進なかった選手が多い。2年連続CLグループ・リーグ突破なら凄い
- 35位の遠藤純所属エンジェル・シティはサンディエゴと同じく加入2年目なので思ったよりランクが低い
WEリーグのクラブは何位?
前回まではWEリーグの3強(浦和・INAC・東京VB)を20位台後半~30位台前半と推定していましたが、選手Ptsでは33位のフランクフルトと同じ。
しかし、W杯に多くの選手を輩出するなどリーグで突出した存在のクラブもある。
例えば、W杯ベスト8のコロンビアのアメリカ・デ・カリ、ベスト16の南アフリカのマメロディ・サンダウンズ、同じくモロッコのAS FARは選手Ptsでフランクフルトより上。
こうした点を考慮すると30位台後半~40位台前半が現時点での推定順位。
ただ、クラブ間格差が考慮されるリーグランキングではWEリーグは世界7位と推定。詳細はこちらをどうぞ!
おわりに
独自の計算で女子サッカークラブTop35を推定。
Top 20クラブ所属日本人選手でレギュラーは、杉田・長谷川・熊谷・南・三浦・松窪・永里の7名。2023W杯前後に移籍した宮澤ひなた、小林里歌子の活躍を期待、そして浜野まいかの早期復帰を願う。
Top26~では、清水梨紗、植木理子、林穂之香、遠藤純など。Top20外の選手には頑張ってTop20クラブへの移籍を勝ち取ってほしい。
なお、海外でプレーする日本人女子選手の成績についてはこちらをどうぞ!
また、WEリーグの高橋はな、石川璃音、千葉玲海菜、藤野あおばなどには海外強豪クラブでチャレンジしてもらいたい。強豪クラブでレギュラーを掴む選手がたくさん出てくれば、なでしこジャパンの未来はもっと明るくなるでしょう。
なお、本記事は少なくとも年2回(11月と6月頃)更新しますのでまたよろしくお願いします。
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