(2021年5月21日掲載:2022年4月1日更新)
- はじめに
- 欧州の女子リーグ順位は欧州CLの実績で分かる
- 米国のNWSLと欧州リーグの比較は2項目で推定
- 世界最高峰のリーグはNWSLだが・・・
- WEリーグは世界で何位?
- 女子版FIFAクラブワールドカップが楽しみ
- おわりに
- 主な女子サッカー記事
はじめに
男子サッカーのリーグランキングは「2022年度版サッカーリーグランキング:Jリーグは世界で何位?」で紹介しているが、ランキング情報を定期的に更新しているサイトがある。
しかし、女子サッカーの場合、一部の例外的な大会を除いてそもそもクラブレベルの大陸間国際試合がほとんどない。
従って、クラブランキングの計算ができないのでリーグランキングも存在しない。ただ、情報は限られているがFIFA女子ランキングや欧州女子チャンピオンズリーグのデータをベースに主観的な推定はできるはず(年2回更新予定)。
本記事では女子サッカーリーグ世界ランキング10位までを推定。世界最高峰はどのリーグ? そして、9月に開幕するWEリーグは世界何位くらいと思いますか?
欧州の女子リーグ順位は欧州CLの実績で分かる
欧州女子CL本戦にはおよそ22リーグから32チームが出場する。過去5回の欧州女子CLで準々決勝に進出した国別のクラブ数は以下の通り。
過去5年間のCL実績
(カッコ内の数字は準決勝に進出したチーム数)
過去5年間のCL実績
1部リーグ |
21-22 |
20-21 |
19-20 |
18-19 |
17-18 |
フランス |
2(2) |
2(1) |
2(2) |
2(1) |
2(1) |
ドイツ |
2(1) |
2(1) |
2(1) |
2(1) |
1(1) |
イングランド |
1 |
2(1) |
2 |
1(1) |
2(2) |
スペイン |
2(1) |
1(1) |
2(1) |
1(1) |
1 |
イタリア |
1 |
|
|
|
|
スウェーデン |
|
1 |
|
|
1 |
チェコ |
|
|
|
1 |
1 |
ノルウェー |
|
|
|
1 |
|
欧州女子リーグ順位
過去5年間のCL実績及び2021年度欧州女子CLグループ・ステージ終了時点での結果をベースに順位付けをすると、
- 1位 フランス ディヴィジオン・アン
- 2位 ドイツ フラウエン・ブンデスリーガ
- 3位 スペイン プリメーラ・ディビシオン・フェメニーナ
- 4位 イングランド スーパーリーグ(FA WSL)
欧州Top4リーグ以外では
過去3回の女子CLベスト16進出回数などで総合的に判断すると、
- 5位 スウェーデン
- 6位 イタリア
- 7位 デンマーク
- 8位 アイスランド
- 9位 カザフスタン
- 10位 ポルトガル
- 11位 ウクライナ・スイス
なお、公式のリーグ?ランキングはこちら!Women's association club coefficients | UEFA Coefficients | UEFA.com。
欧州の主な女子サッカークラブ
- PSG
- オリンピック・リヨン 大滝麻未(2012-13)大野忍(2013)熊谷紗希(2013-21)
- バイエルン・ミュンヘン 岩淵真奈(2014-17)熊谷紗希(2021-)
- ヴォルフスブルク 永里優季(2015)
- チェルシー 永里優季(2013-14) チ・ソヨン(2014~)
- マンチェスター・シティ
- バルセロナ
- レアル・マドリード
CL優勝チーム(2009/10以降)
- 2009/10 ポツダム 永里優季(2010-13)永里亜紗乃(2013-16)
- 2010/11 オリンピック・リヨン
- 2011/12 オリンピック・リヨン
- 2012/13 ヴォルフスブルク
- 2013/14 ヴォルフスブルク
- 2014/15 フランクフルト 永里優季(2015-17)
- 2015/16 オリンピック・リヨン 以後2019/20まで5連覇
- 2020/21 チェルシー 対 バルセロナ(5月26日) 0-4 バルセロナ勝利
米国のNWSLと欧州リーグの比較は2項目で推定
NWSL(米国女子サッカープロリーグ)とは
2021年度から10チーム(2増1減)が加盟するリーグでアメリカやカナダの代表選手のほとんどがプレー。さらにカナダの選手15名を含む海外代表クラス選手46名(2021年度)、そのうち日本からは5名の選手(永里、川澄、横山、籾木、宝田)がプレー。
2022年度の日本人選手は永里、川澄、横山、杉田、遠藤の5名。
Women's International Champions Cupで推定
米国主催の欧州CLチーム(CL優勝チーム+2チーム)とNWSL優勝チームがトーナメント形式でクラブ女子チャンピオンを決める大会。3回目となる2020年大会は中止。
- 2019年 1位リヨン(仏)、2位NCC(米)
- 2018年 1位NCC、2位リヨン(この大会で現新潟レディースの川村優理選手が大ケガ、シーズン終了後に退団を余儀なくされた)
これだけではどちらが上か判断しにくいですね。
なお、2021年度大会は8月19日~22日に開催される。ポートランド・ソーンズ、ヒューストン・ダッシュ、そしてオリンピック・リヨンとFCバルセロナが参加。
決勝戦はポートランドがリヨンに1-0で勝利。3位決定戦はバルセロナが3-2でヒューストンに勝利。
一方、同時期に米国でWomen’s Cupが初開催される。永里優季選手所属の新参のレーシング・ルイビルと永里選手の前所属先シカゴ・レッドスターズが欧州から強豪2チーム(熊谷紗希のバイエルンとPSG)を招いて戦う。
22日の決勝戦で永里と熊谷が直接対決。結果は2-2 PK7-6でレーシング勝利。3位決定戦はPSGが1-0でシカゴに勝利。
結論としては、NWSLのチームと欧州チャンピオンズリーグベスト8のチーム間ではほとんど差がないと言えるでしょう。
尚、クラブランキングに関しては文末の見出し「主な女子サッカー記事」の【女子サッカークラブ世界ランキングと海外日本人選手所属クラブ】をご覧ください。
FIFA女子ワールドランキングで推定
米国は2015年から現在までランキング1位をキープ。米国女子五輪代表メンバー22名中18名はNWSLでプレー。さらに、各国代表クラスの選手がおよそ40名以上プレーしているのでNWSLが世界最高峰と言える。
世界最高峰のリーグはNWSLだが・・・
クラブレベルならオリンピック・リヨンがランキング1位と言ってもよいが、リーグとなるとNWSLがランキング1位ということでご納得いただけると思います。
代表的なチームはNCC(North Carolina Courage)で2018.年と2019年シーズンに連続優勝(2020はリーグ戦中止)。なお、プレテニスプレーヤーの大坂なおみ選手が2021年1月末、NCCの共同オーナーになった。
因みに、最近になってトッププレーヤーに人気No1のイングランド女子スーパーリーグ(FA WSL)では90名以上の外国選手がプレー、代表クラスの選手もNWSLよりも多いかもしれません。
2020年にオーストラリアの代表クラスの選手のほとんどがイングランドのクラブに移籍。特に、NWSLで3年連続得点王となった元シカゴ・レッドスターズのサマンサ・カー選手(当時永里優季とコンビ)はチェルシー(外国籍選手が70%)移籍2年目の20-21シーズン21得点(21試合)で得点女王、欧州CLでもイングランド勢として初の決勝進出。
数年先にはイングランド女子スーパーリーグ(FA WSL)が世界最高峰のリーグになる可能性が高い。
WEリーグは世界で何位?
このところクラブレベルでの国際試合はE-1選手権くらいでリーグランキングを推定するのは難しい。現時点ではWEリーグには外国からのトッププレーヤーがいない。現在地は世界で9番手のリーグでしょう。
と言うのも2021年11月欧州遠征でアイスランドに2-0の完敗。新生なでしこジャパンの初陣とは言え実力が落ちているようだ。
2022年3月25日付けFIFA女子ランキング(カッコ内)で見てみましょう。
- イタリア(14位)代表選手は全て国内リーグ所属で上昇傾向
- オーストラリア(12位) 東京五輪代表16名が海外でプレーしているので国内リーグのレベルはあまり高くない
- カナダ(6位) 女子リーグを持たない。東京五輪メンバーのうち、NWSL8名、欧州クラブ10名
- フランス(3位)・ドイツ(4位)・イングランド(8位)
- スペイン(7位) フランスとイングランドでプレーする3名を除けば代表チームのメンバーは全て国内リーグでプレー。スペイン女子リーグはWEリーグよりかなり上と考える
- スウェーデン(2位) 東京五輪メンバーの12名がイングランド・ドイツ・スペインなどでプレー。WEリーグより少し上
- オランダ(3位) 東京五輪メンバーの14名がトップリーグのイングランドやドイツなどでプレー。オランダリーグからCL準々決勝に進んだチームはない。WEリーグより少し下のレベル
- ブラジル(9位) 東京五輪メンバーの13名がスペインやNWSLなどトップリーグでプレー。WEリーグより下位と考える
- 日本(13位) 東京五輪メンバーのうち海外組は8名。海外組が増えたのでWEリーグのレベルはその分低く評価。下降傾向が続いている。
結論としては、
- 1位 米国 NWSL
- 2位 フランス ディヴィジオン・アン
- 3位 ドイツ フラウエン・ブンデスリーガ
- 4位 スペイン プリメーラ・ディビシオン・フェメニーナ
- 5位 イングランド スーパーリーグ(FA WSL)
- 6位 スウェーデン ダームアルスヴェンスカン
- 7位 イタリア セリエA
- 8位 デンマーク
- 9位 日本 WEリーグ
- 10位 ブラジル ブラジレイロ
但し、1位~5位リーグと6位以下のリーグ間ではかなりのレベル差がある。
女子版FIFAクラブワールドカップが楽しみ
2019年7月、FIFAジャンニ・インファンティーノ会長が、女子版FIFAクラブワールドカップ設立案をまとめその開催を速やかに検討すべきと語った。
しかし、大陸レベルでクラブチャンピオンズリーグが実行されているのは欧州と南米だけなので男子と同様のフォーマットならば、女子版FIFAクラブワールドカップの開催はだいぶ先になるだろうが、部分的な開催となれば、早ければ数年後に期待できる。
個人的には「その日が早く来てほしい」と思っています。
おわりに
女子版FIFAクラブワールドカップが開催されれば、客観的なデータに基づくリーグランキングの計算ができるようになるが、だいぶ先の話でしょう。私なりに極めて主観的なリーグランキングを推定してた。
推定したからといってほとんど何の役に立ちませんが、現在10名以上の日本人女子サッカー選手が欧米のクラブで奮闘中。なお、彼女たちの最新情報に関しては文末の見出し「主な女子サッカー記事」の【海外でプレーする 現・元なでしこサッカー代表メンバーに注目しよう!】をご覧ください。
これからも海外へ移籍する選手が出てくると思います。移籍先のクラブだけでなくリーグのレベルを知ることで評価も変わってくるでしょう。
また、WEリーグが9月から開幕。海外からWEリーグに参加する有力選手は当面限られると思いますが、選手情報の1つとして参考になるでしょう。
WEリーグには世界の4大女子リーグに成長してほしい。WEリーグの成長にはなでしこジャパンのがTop 5入りが不可欠。ガンバレなでしこジャパン!
主な女子サッカー記事
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