はじめに
(2021年5月21日掲載:2022年12月22日更新)
男子サッカーのリーグランキングは「サッカーリーグランキング:Jリーグは世界で何位?」で紹介しているが、ランキング情報を定期的に更新しているサイトがある。
しかし、女子サッカーの場合、一部の例外的な大会を除いてそもそもクラブレベルの大陸間国際試合がほとんどない。
従って、クラブランキングの計算ができないのでリーグランキングも存在しない。ただ、情報は限られているがFIFA女子ランキングや欧州女子チャンピオンズリーグのデータをベースに主観的な推定はできるはず(次回は5月頃更新予定)。
本記事では女子サッカーリーグ世界ランキング10位までを推定。世界最高峰はどのリーグ? そして、2021年9月に開幕したWEリーグは世界何位くらいと思いますか?
なお、こちらの最新記事もご覧いただければ幸いです。
- 2023FIFA女子W杯:優勝争いは混沌、なでしこジャパン優勝候補に躍り出る!
- 2023FIFA女子杯:グループ・リーグ展望、なでしこJの突破は確実!
欧州の女子リーグ順位は欧州CLの実績で推定
欧州女子CL本戦にはおよそ22リーグから32チームが出場する。過去4回の欧州女子CLで準々決勝に進出した国別のクラブ数は以下の通り。
過去5年間のCL実績
(カッコ内の数字は準決勝に進出したチーム数)
イタリアは22-23女子CLグループステージに2チーム参加したが、ローマは見事突破、ユヴェントスは強豪リヨンとアーセナルに引き分けるなど近年かなり力を付けているので4大リーグのすぐ下の位置付と見るのが正しい。
左からリーグ名:18-19年/19-20年/20-21年/21-22年/22-23年/合計
- フランス;2(1)/2(2)/2(1)/2(2)/2/10(6)
- ドイツ;2(1)/2(1)/2(1)/2(1)/2/10(4)
- スペイン;1(1)/2(1)/1(1)/2(1)/1/7(4)
- イングランド;1(1)/1(0)/2(1)/1(0)/2/7(2)
- イタリア;0/0/0/1(0)/1/2(0)
- スウェーデン;0/0/1(0)/0/0/1(0)
- スコットランド;0/1(0)/0/0/0/1(0)
- チェコ;1(0)/0/0/0/0/1(0)
- ノルウェー;1(0)/0/0/0/0/1(0)
なお、正式なリーグ名は、
- フランス:ディヴィジオン・アン
- ドイツ:フラウエン・ブンデスリーガ
- スペイン:プリメーラ・ディビシオン・フェメニーナ
- イングランド:スーパーリーグ(FA WSL)
- イタリア:セリエA・フェミニーレ
Top5以外欧州リーグ
過去5回の女子CLベスト16進出(グループステージ)回数などで総合的に判断すると、
- 6位 デンマーク
- 7位 スウェーデン
- 8位 スイス
- 9位 チェコ
- 10位 ポルトガル (新)
なお、公式のリーグ?ランキングはこちら!Women's association club coefficients | UEFA Coefficients | UEFA.com。
CL優勝チーム(2009/10以降)
- 2009/10 ポツダム 永里優季(2010-13)永里亜紗乃(2013-16)
- 2010/11 オリンピック・リヨン
- 2011/12 オリンピック・リヨン
- 2012/13 ヴォルフスブルク
- 2013/14 ヴォルフスブルク
- 2014/15 フランクフルト 永里優季(2015-17)
- 2015/16 オリンピック・リヨン 以後2019/20まで5連覇
- 2020/21 バルセロナ
- 2021/22 オリンピック・リヨン
米国のNWSLと欧州リーグの比較
NWSL(米国女子サッカープロリーグ)
2022年度から12チーム(2増)が加盟するリーグでアメリカやカナダの代表選手のほとんどがプレー。さらにカナダの選手15名を含む海外代表クラス選手46名(2021年)。2022年度の日本人選手は永里、川澄、横山、杉田、遠藤、長野の4名。
Top3はポートランド・ソーンズ、サンディエゴ・ウェーブ・OLレイン。ただし、過去の実績で判定すればノース・カロライナ・カレッジが筆頭だが、セクハラ問題の後失速。
NWSL加盟チームのほとんどは欧州女子チャンピオンズリーグベストの力を備えていると言ってよい。
例えば、Women's International Champions Cup(米国主催の欧州CL優勝チームやNWSL優勝チームなどが戦うトーナメント形式でクラブ女子チャンピオンを決める大会)の結果を見ればほぼ互角。
- 2018年 決勝 N.カロライナ 1-0 リヨン(CL優勝)
- 2019年 決勝 リヨン(CL優勝) 1-0 N.カロライナ
- 2021年 3位決定戦 バルセロナ(CL優勝)3-2 ヒューストン(NWSL7位)
- 2021年 決勝 ポートランド(NWSL優勝) 1-0 リヨン(CLベスト8)
さらに、The Women's Cup(レーシング 主催の新設の大会でレーシングNWSL新規参入を記念。2021年から開催)
- 2021年 3位決定戦 シカゴ(NWSL4位)0-1 PSG(CLベスト4)
- 2021年 決勝 レーシング(NWSL9位)2-2 バイエルン(CLベスト4)レーシングPK勝
- 2022年 準決勝 レーシング(NWSL現在9位)2-0 ACミラン(セリエA3位)
イングランド女子スーパーリーグ
最近になってトッププレーヤーに人気No1となったイングランド女子スーパーリーグ(FA WSL)には90名以上の外国選手がプレー、代表クラスの選手もNWSLよりも多いかもしれません。トップ3はチェルシー、アーセナル、マンチェスター・シティ。
2020年にオーストラリアの代表クラスの選手のほとんどがイングランドのクラブに移籍。特に、NWSLで3年連続得点王となった元シカゴ・レッドスターズのサマンサ・カー選手(当時永里優季とコンビ)はチェルシー(外国籍選手が70%)移籍2年目の20-21シーズン21得点(21試合)で得点女王、欧州CLでもイングランド勢として初の決勝進出。2021-22シーズンも得点王。
2013年からのCL優勝回数0、準優勝回数1。ただ、数年先にはイングランド女子スーパーリーグ(FA WSL)が欧州最高峰のリーグになる可能性が高い。
フランス ディヴィジオン・アン
絶対的女王のリヨンとPSGが2強。他のクラブは女子CLベスト8に入る実力はない。2013年からのCL優勝回数6、準優勝回数3。
ドイツ フラウエン・ブンデスリーガ
ヴォルフスブルクとバイエルン・ミュンヘンが2強。他のクラブは女子CLベスト8に入る実力はない。2013年からのCL優勝回数2、準優勝回数3。
スペイン プリメーラ・ディビシオン・フェメニーナ
バルセロナが最強、次にA.マドリードとR.マドリード。これら以外でCLベスト8に入るチームはない。2013年からのCL優勝回数1、準優勝回数2。
その他のリーグ
2022年12月9日付けFIFA女子ランキング(カッコ内)で見てみましょう。
- イタリア(17位)代表選手は全て国内リーグ所属で上昇傾向
- カナダ(6位) 女子リーグを持たない。東京五輪メンバーのうち、NWSL8名、欧州クラブ10名
- スウェーデン(3位) 東京五輪メンバーの12名はイングランド・ドイツ・スペインなど外国でプレー。
- デンマーク(18位) 欧州4大リーグを除けばCL実績ではスウェーデンより上
- オランダ(8位) 東京五輪メンバーの14名がトップリーグのイングランドやドイツなどでプレー。オランダリーグからCL準々決勝に進んだチームはない
- ブラジル(9位) 東京五輪メンバーの13名がスペインやNWSLなどトップリーグでプレー
- 日本(11位) 東京五輪メンバーのうち海外組は9名。海外組が増えたのでWEリーグのレベルはその分低く評価。WEリーグには外国からのトッププレーヤーがいない。下降傾向が続いている
女子サッカーリーグランキング
結論としては(カッコ内は現在所属の日本人選手)、
- 1位 米国 NWSL(永里、川澄、杉田、遠藤、三浦)
- 2位 フランス ディヴィジオン・アン
- 3位 ドイツ フラウエン・ブンデスリーガ (熊谷、京川)
- 4位 スペイン プリメーラ・ディビシオン・フェメニーナ
- 5位 イングランド スーパーリーグ(岩渕、長谷川、清水、林、長野)
- 6位 イタリア セリエA(南、三橋)
- 7位 デンマーク
- 8位 スウェーデン ダームアルスヴェンスカン(宝田、籾木、浜野)
- 9位 日本 WEリーグ
- 10位 ブラジル ブラジレイロ
但し、1位~6位リーグと7位以下のリーグ間ではかなりのレベル差がある。
女子版FIFAクラブワールドカップが楽しみ
2019年7月、FIFAジャンニ・インファンティーノ会長が、女子版FIFAクラブワールドカップ設立案をまとめその開催を速やかに検討すべきと語った。
しかし、大陸レベルでクラブチャンピオンズリーグが実行されているのは欧州と南米だけなので男子と同様のフォーマットならば、女子版FIFAクラブワールドカップの開催はだいぶ先になるだろうが、部分的な開催となれば、早ければ数年後に期待できる。
個人的には「その日が早く来てほしい」と思っています。
おわりに
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女子版FIFAクラブワールドカップが開催されれば、客観的なデータに基づくリーグランキングの計算ができるようになるが、だいぶ先の話でしょう。私なりに極めて主観的なリーグランキングを推定した。
推定したからといってほとんど何の役に立ちませんが、現在17名の日本人女子サッカー選手が欧米のクラブで奮闘中。なお、彼女たちの最新情報に関しては、こちらの記事をご覧ください。
これからも海外へ移籍する選手が出てくると思います。移籍先のクラブだけでなくリーグのレベルを知ることで評価も変わってくるでしょう。
一方、海外からWEリーグに参加する有力選手は当面限られると思いますが、外国籍選手情報の1つとして参考になるでしょう。
WEリーグには世界の4大女子リーグに成長してほしい。WEリーグの成長にはなでしこジャパンのがTop 5入りが不可欠。ガンバレなでしこジャパン!
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