Ippo-san’s diary

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FIFA女子W杯2019:ボール支配率は過去の幻想、勝利との因果関係なし!

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1点リードの後半25分からボランチが下がって5バックにスイッチ。ボランチのポジションはMFの1人が下がって中央突破を防ぐ。空いたMFのポジションには2トップの一人が入る。4-4-2から5-4-1へシステム変更

DF間の距離を狭くすることでクロスなどのサイド攻撃を封じ込める。DFラインを破るとなると「針の穴を通すようなパス精度」が求められる。一方、ボールを奪えば、サイドに広がるMFにつなぎ、ゆっくりしたペースで攻撃を展開。決して無理に得点しようとはしない。

これはアメリカが準決勝(イングランド戦)と準々決勝(フランス戦)後半60~70分過ぎからのリードしている時間帯で披露した戦術。野球に例えれば、同じ投手が7回のイニングから「バッターをねじ伏せる」スタイルから「打たせて取る」スタイルに変更して完投勝利をするようなものだ。結果はご存知の通り猛攻に遭いながらも勝利を手にした。

それではボール支配率と勝利に関する調査結果をご紹介しましょう。

なお、W杯・五輪など大舞台での勝利への道を探ってみました!

FIFA女子W杯2019:試合結果分析で勝利への道を探る(得点・失点編)

FIFA女子W杯2019:試合結果分析で勝利への道を探る(年齢・経験値編)

FIFA女子W杯2019:試合結果分析で勝利への道を探る(ボール支配率・メンタル編)

 

ボール支配率とは

weblio辞書より

敵と味方がボールを一定時間保持することを繰り返すスポーツに関して、一方がボールを保有していた時間が試合時間全体の何%にあたるかの数値のこと。 一般的にボール支配率が高いチームまたは個人が試合を有利に進めているとみなされるが、ボール支配率が低い方が勝つことも当然ある。

フランス戦、アメリカのボール支配率は39%

この試合のアメリカのボール支配率は43%。フランス戦でのアメリカのボール支配率はなんと39%。世界一のアメリカがこんなに相手にボールを持たせるのは初めて。

フランス戦後のインタビューで2得点を決めたラピノーはその戦術を「Ridiculous」(ばかげている)と語った。そこまでして勝利にこだわったのはフランスの強さ(2019年1月フランスに1-3で敗北)に危機感を持っていたからだ。

その対策として今年から磨き上げた戦法であろう。間違いなく今年に入って実戦で試しているはずだ。SheBelievesカップのブラジル(攻撃が好きなチーム)戦のようだ。この試合のアメリカのボール支配率は49%。

ボール支配率が低いチームの勝率は〇〇

調査対象試合の条件

明確にしておくがこれは格下のチームとの試合の話ではない。実力の拮抗した上位チーム同士の対戦の話である。

今回のW杯においてボール支配率の低いチームが度々勝利するのが気になっていた。そこで次の条件で調査してみた。

  • Top10(FIFA女子ランキング)チーム
  • Top20以内で決勝トーナメントに進出したチーム
  • これらのチーム間の試合でボール支配率が10%以上の開きが出た試合

耳を疑いたくなるような調査結果

  • 3位決定戦までに対象となったのは全部で14試合
  • そのうちボール支配率の低いチームの勝利は 9、勝率64%

グループステージ

  • 攻撃好き?のオーストラリアとブラジル戦以外の試合ではボール支配率の低いチームの勝利

対戦チーム(結果)とボール支配率

対戦チーム(結果)とボール支配率

オーストラリ 1-2 イタリア

64%-36%

ドイツ 1-0 スペイン

36%-64%

オーストラリア 3-2 ブラジル

57%-43%

フランス 1-0 ノルウェー

44%-56%

スウェーデン 0-2 アメリカ

37%-63%

 

決勝トーナメント1回戦

  • 守備好き?のイタリアがまた勝利

スペイン 1-2 アメリカ

44%-56%

イタリア 2-0 中国

37%-63%

スウェーデン 1-0 カナダ

41%-59%

   

 

準々決勝戦

  • オランダは相変わらず攻撃好き?、スウェーデンは守備好き?
  • アメリカが後半途中から初めて5バック採用

フランス 1-2 アメリカ

61%-39%

イタリア 0-2 オランダ

37%-63%

ドイツ 1-2 スウェーデン

64%-36%

 

準決勝戦

  • アメリカが5バック2度目の採用 

イングランド 1-2 アメリカ

58%-42%

 オランダ 1-0 スウェーデン

58%-42% 

 

3位決定戦・優勝決定戦

 

イングランド 1-2 スウェーデン

62%-38%

 

 

 

アメリカはなぜこの戦術を用いたのか?

随一の攻撃力と高い決定力を誇るアメリカがこのような5バックを採用するには理由があるはずだ。まず、フランス戦を振り返ってみよう。

初めて披露したフランス戦では63分(この時点で1点リード)から5バックにスイッチ。それまでフランスがペースをつかみアメリカの防戦が続いた。追いつかれるのは時間の問題かと思われた矢先のシステム変更。

ただ、イングランド戦のように攻撃の姿勢は直ぐには緩めなかった。カウンター狙いだろう。そしてそのチャンスがすぐやってきた。65分にラピノーのこの試合2点目のゴールで2-0のリード。

その後もフランスの猛攻が続いた。ただ、2点リードの後は無理して攻めなかった。セットプレーからの1失点に留め見事2-1で勝利。新たな守備戦法で勝ち取った勝利だった。

この5バックの目的

  • クロスを上げさせない
  • DFの間隔を狭くして中方突破防ぐ
  • 攻撃に付きものの被カウンター攻撃の際の失点リスクを減らす 

これら以外に

  • このW杯は何が何でも勝利してリオ五輪の屈辱を晴らす
  • チームの平均年齢に配慮し同点にされた場合の体力温存

も大きく関係しているのかもしれない

 

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おわりに!

なでしこジャパンに適した戦術か?

当然使える戦術であるが、使う時間帯が異なる。なでしこジャパンの場合はむしろ前半にその戦術を使うべきである。今回のW杯でも露呈したが、ここ1年にわたり「強豪国(Top10)に先制されると負け試合か稀に引き分け」が実状。つまり「先制されると勝てない」。

今回のワールドカップで後半イングランドやオランダのプレッシャーが弱くなってから攻撃に転じることができた。相手が疲れてくるので当然攻撃しやすくなる。

体格差は体力差(持久力)や俊敏性で補える。一部の報道ではオランダ戦の入りは「もう少し積極的にいきたい」というようなコメントを聞いたが、本当に自信があってのことか?

いずれにせよ、

  • 前半の守備をチーム全体で徹底的に磨き上げる
  • 後半の攻撃のシナリオを状況に応じたものを用意して実践でテスト

引き出しは沢山ある」というコメントを聞いたが「引き出しの中身」が重要で数ではない。例えあったとしてもメンバー固定が遅れ、主力メンバーでテストする時間はなかったはず。

後半攻撃のシナリオを十分テストしシュートやパスの精度を上げれば、「前半先制失点しなければ勝てる」ようになるだろう。

世界一のチームが新たな試みにチャレンジしてきた。ぐいぐい攻撃を仕掛けて勝利を勝ち取るゲームプランに加えてリードした場合の後半でのゲームプランである。

強敵相手でなければ(体力温存以外に)使う必要のない戦術だが、アメリカに先制されると増々厄介になったのは事実。日本としては東京五輪までに何らかの対策を考え出さないとメダルどころではない。