はじめに
ホームステイ希望の留学生を受け入れ始めて十数年になる。その間、およそ50人のホストファミリーとなった。
初めの頃はよくわからないまま試行錯誤を重ねながら留学生と接した。その結果、何とか「我が家のスタイル」を築くことができた。
しかし、留学生を受け入れることはまさしく異文化交流。多種多様な異文化が存在するわけで「これが正しい」といったようなスタイルなどあるはずがない。
大事なのは状況や相手によって「柔軟に対応する」ことだ。ここに書いた内容を押し付けるつもりは毛頭ない。もっと上手な接し方もあるだろう。
これから留学生を受け入れようとしている方に「自分のスタイルを築く上で少しでも参考になればいい」という思いで、皆さんと「我が家のスタイル」を紹介します。
- 留学生と長く・楽しく・ストレスフリーな付き合いがベスト
- 特別待遇はしない
- 個人情報は無理に聞こうとしない
- 質問は軽く声をかける程度
- 対等の関係を築く
- 日本の文化・習慣・マナーなど知らない前提で接する
- 受け入れ直後はお世話する気持ちで接する
- 学校生活に慣れ留学生との信頼関係が築けたら友達感覚で接する
留学生と長く・楽しく・ストレスフリーな付き合いがベスト
確かに言葉・文化・習慣などが大きく異なる。それらを意識しすぎるとストレスを感じて不安や心配が膨らむ。そして、普段以上の配慮や気づかいをするようになる。まさに悪循環。
それでは、留学生と長く・楽しく・ストレスフリーで付き合う上での「我が家」の心得や接し方を紹介しましょう。
すでに「我が家の留学生 Lesson x」で書いている点もありますが、おさらいのつもりで読んでいただければ幸いです。
特別待遇はしない
普段家族が食べている食事でよい(我が家の留学生 Lesson 5)。
ただ、食物制限を必要とする留学生やベジタリアン留学生にはそれ相応の対応が必要。
面倒なら受け入れなければ済むこと。
食事に限らず、特別な配慮や過剰なおもてなしはホストファミリーにも留学生にも精神的負担になるので長く続けることは難しい。
個人情報は無理に聞こうとしない
個人的なことはやむを得ない時だけに限定して質問するようにしている。
ただ、自己紹介の時に話してくれた内容に関して、ちょっと質問する程度なら問題ないと思う。
例えば、「妹がいる」と話してくれたら、「いくつ?」と聞くのは自然な流れである。
しかし、「妹さんの写真ある?」とまでは聞かない。
たいていはスマホに保存されているので留学生自身が「紹介したい」と思うまで待つことにしている。
質問は軽く声をかける程度
我が家では、相手を追い詰めるような質問は避けるようにしている。
例えば、元気なさそう見える時に「調子はどう?」、「疲れていない?」と軽く声をかける程度。
納得のいかない返事でも「元気なさそうだね。どうしたの?」、「疲れているようだね。早く休んだら?」。そこまでの深追いはしない。
「まずい事でもした?」、「食事が合わないの?」と言ったら留学生の方が気にしていまい、余計な気遣いをさせる羽目になってしまう。
「はっきり言う」タイプの留学生が多いので、本当に困っている時やヘルプが必要な時は自分から言い出すでしょう。
対等の関係を築く
「ホストファミリーと留学生」の関係は「店のオーナーとお客」の関係ではない。個人対個人の対等な関係だ。
対等な関係や信頼関係を築くには、
- 相手に何かを強制しない
- 規則や習慣を押し付けない
- 相手の大切なものを尊重する
- 相手に対して関心を持つ
- 自己アピールする
- 本音で語る
我が家では「ハウス・ルール」を手渡しているが、全員が100%守ってくれるわけではない。
例えば、その一つが「近所の人にあったら挨拶する」。
近所の人に挨拶できる留学生もいればそうでない留学生もいる。問題を起こさない限りどちらでもよい。
日本の文化・習慣・マナーなど知らない前提で接する
留学生はいつも不安でいっぱい
留学生は、
- 間違ったことをしてはいないか
- 嫌われたらどうしよう
など、内心不安に思いながら異国の地で生活している。マナー違反があっても軽く注意する程度に留めている。
典型的な例
- 初めての日に靴を履いたまま家に上がり込む
分かっていてもつい習慣でそうなってしまう。2度失敗した留学生はいないので心配ない。
- 塗れた雨傘を部屋に持ち込む
ヨーロパ人はあまり傘をささない為、どうしたらいいか分からなかったのでしょう。これは最初にきちんと伝えなかったことに起因しているのでハウス・ルールに書き加えてからは誰もしなくなった。
Never Mind!
こういうミスを犯したときは、「今度から気を付けて!」というよりも「やっちゃったね!」と言う感じを込めて「Never Mind!」(これからもずっと気にしないでいいのよ!)と敢えて英語で言うようにしている。その方が留学生にこちらの気持ちが伝わるような気がする。
受け入れ直後はお世話する気持ちで接する
来日初日にはいろいろ伝えなればならない。
- ハウス・ルール
- 生活全般(エアコン・トイレ・シャワーなどの使い方など)
- 通勤(通学)定期のおすすめ
当然といえば当然のことばかり。
「我が家の留学生 Lesson 5」で触れたが、登校初日に迷子になる留学生が結構した(最近はほとんどいない)。
そうなっては困るので必ず登校初日の前日に経路や乗換方法を知ってもらうため学校まで連れて行く。
家から最寄り駅までは敢えて徒歩で行く。
もちろん、定期を最寄り駅で購入してから学校に連れて行く。そうすることで1000円の出費が避けられる。
無事着いたかどうか心配しているだろうから親にも電話するように言う。
留学生・プロフィールの内容を本人に直接確認する。
- 好き嫌い
- アレルギー
- 趣味・興味
- 留学先に日本を選んだ理由、など
学校生活に慣れ留学生との信頼関係が築けたら友達感覚で接する
会話はラフになり、尊敬語、謙譲語、丁寧語とは無縁になる。
- 今日予定ある?
- 新宿で何するの?
- 何時に変えるの?
- 今日楽しかった?
たいていはこんな調子である。
丁寧な言葉遣いや敬意を表す表現は学校任せだ。
もっといい方法があるかと思うが、親しみやすさと軽い気持ちで接する事で留学生は余計なストレスを感じないで済んでいるのかも知れない。
まとめ
留学生と楽しく・長く・ストレスフリーで共同生活をする上での心得や接し方に関して「我が家」のスタイルを紹介。
「我が家のスタイル」は、
- 特別待遇はしない
- 個人情報は無理に聞こうとしない
- 質問は軽く声をかける程度
- 対等の関係を築く
- 日本の文化・習慣・マナーなど知らない前提で接する
- 受け入れ直後はお世話する気持ちで接する
- 学校生活に慣れ留学生との信頼関係が築けたら友達感覚で接する
以上ですが、
- 留学生を受け入れている方
- 留学生の受け入れを検討している方
- 東京五輪の時に観光客に宿泊してもらおうと考えている方
少しでもお役に立てたなら幸いです。次のLessonもよろしくね!