はじめに
留学生のホームステイを始めて十数年。その間、およそ50人の留学生を受け入れてきた。心配ごとは増えるが、楽しいことや刺激も増える。
ホストファミリーになるということは、簡単に言えば、留学生という家族が1人増えるとこ。家族が増えれば、その分、心配ごとも増える。
ましてや言葉・文化・生活習慣などの違いは心配の種となる。
しかし、実態はどうなの?
ここでは留学生と共同生活(*)する上で
- 心配のないこと
- 心配すべきこと、
を体験を通して感じた個人的見解をお話します。
(*)ホストファミリーの定義からすれば共同生活でなく、家族生活と表現すべきだが実態と異なる。ほとんどの留学生は「家族の一員」という特別扱いを期待していないし、また、望んでもいない。
心配事は増えるがそれほど心配ないよ!
典型的な心配ごととして真っ先に思い浮かぶのが食事とコミュニケーション(英語)でしょう。
これら2点については別の記事で紹介しますので、ここではそれ以外について思い浮かぶ点を列記しましょう。
ただ、私の結論としては「心配ごとは増えるがそれほど心配する必要はない」という事。
ホームシックにかかったらどうしよう?
海外留学でよく「ホームシック」を耳にする。
遠く離れた地で故郷や家族を恋しく想い元気のない病的な状態をいう。
日本に来る留学生も「ホームシック」にかかる可能性はあるが、語学留学生の場合、滞在期間は長くて3カ月程度。日本での生活が楽しければあっという間に過ぎてしまう。
むしろ、まもなく帰国するという段階になると大半の学生は「帰りたくない」、「もっと長くいたい」と言ってくる。
ただ、50人中1人だけ「ホームシック」ではなかったと思うが、傍から見ていて「楽しそうでないな!、大丈夫かな?」と感じる日々をおくっていた学生がいた。本人の意思ではなく母親からの指示で毎夏どこかの国に留学する16歳の高校生だった。
もし心配なら、日本に来る目的を直接本人に聞けばホームシックにかかりそうかある程度推測できるので受け入れ直後にその点を聞いてみましょう。
留学生が病気になったらどうしよう?
留学生にとって異国の地で病気になる時が一番辛く、寂しさや不安を感じる。一方、そうなったらホストファミリーとしては何となく責任を感じてしまう。そして、
- 病気の原因は食事にあるのかな?
- ならば、どうしよう?、
と無用な心配をしてしまう。
ただ、食事に限っては「好き嫌い」とは別にアレルギー体質の留学生がいるので要注意。
留学生・プロフィールに食物アレルギーについて具体的に書いている留学生はほとんどいない。しかし、「牛乳と大豆は嫌い」などとは書いている。おかしいなと思ったら本人に確かめ、必要ならアレルギー物質のリストを作ってもらいましょう。
Lesson 2「受け入れてこんなトラブルを体験」で「病気になった学生が2人ほどいた」と書いたが、1人は持病が原因であった。持病については、留学生・プロフィールに書いてないことが多い。あえて、本人と確認する必要はないが、
- 調子が悪そう
- 食欲がなさそう
そのように感じたら本人に聞いてみよう。
大事なポイントは、留学生はめったに病気にならないのでそれに関しては心配無用。
学業の心配は必要?
語学留学には2つのタイプがある。
- 観光ビザで来る(10人中 9人はこのタイプ)
- 学生ビザで来る
観光ビザの場合、最長滞在期間は3カ月(とは言っても韓国日帰り旅行して再入国すればもう3カ月延長できる)。
このタイプの留学生の場合、学業の心配は必要ない。何故なら、Lesson 1(留学生の特徴)で書いたが「将来のために日本語を習得する」という目的意識を持って来日したわけではない。
むしろ「日本での生活を楽しむ」という点に比重が置かれている。
従って、学業よりもいろいろな体験ができるような配慮が肝心である。
我が家では、「門限」は設けていない。16歳の留学生には多少の制限を課すことは必要と思うが、ほとんどの留学生には好きなようにさせている。
我が家で生活する上で守って頂きたい点は「ハウス・ルール」に書いて手渡している。それを守って頂ければ十分と考えている。
最初の一週間は要注意期間
留学生を受け入れて間もない頃が一番気を付けなければならない時期である。
主な理由は、
- 環境・生活習慣の変化などで心身ともに疲れが出てくる
- 行動的な学生は直ぐに友達ができ帰宅が遅くなる
- 無理を重ねるので体調を崩しやすくなる
従って、最初の1週間は体調に変化がないかどうかを観察することが大事。
疲れているようであれば「無理しないように!」とアドバイスするとよい。
早く気付けば病気につながることはない。
言動の変化を観察する
帰宅が遅くなった
- 友達とつきあう
- 買物や観光に興ずる
- 新宿・渋谷・秋葉原をぶらぶらする、
など、さまざまである。
異性が絡むとややこしくなるが、10人中 9人はその心配はない。
たいていの留学生は、朝出かける前に「今日はxxxxなので帰宅が遅くなる、夕食はいらない」など言ってくれる。
問題は、そうでない場合である。
理由も告げずに帰宅の遅い日が続けば心配だ。
そんな時は、「今日の予定は・・・?」「今日は何時頃帰りますか?」と聞いてみたら良い。
それでも心配な日が続くようであれば学校に相談するとよい。
会話が少なくなった・部屋に閉じこもるようになった
- ホストファミリーとの会話が少なくなる
- 部屋に閉じこもるようになる
- 帰宅が遅くなる
そうなるとまるで顔を合わせるのを避けているようにみえて余計に心配になってしまう。例えば、
- 我が家での居心地が悪いのかな?
さあ、こんな時はどうすればよいのか?
体験不足というのか、あまり良いアドバイスは思いつかない。
強いて言えば、
- 国の家族ともっと会話をするよう、留学生に働きかける
- 本人の趣味や興味に関する情報を提供し必要なら見学等に誘う
- ホストファミリーに言えない悩みごとを抱え込んだのかも知れないので学校に相談する
我が家では、最初の頃は「同時期に1人」だけ留学生を受け入れていた。
しかし、ここ 3~4年は同時 2~3人を受け入れている。
その方が、同年代の「若い」留学生どうしで会話ができるので、我が家も賑やかになり、みんな楽しそうにみえてくる。
ホストファミリーにとっても 1対1で接するよりも精神的に楽になった。心配ごとも減ったように感じる。
留学生の体調・言動を日頃から観察すれば変化に早く気付いた分、大事に至らずに済む。
まとめ
留学生を受け入れれば自ずと心配ごとは増えるが、心配すべきことや心配する必要のないことがある。それに関していくつか例を取り上げて私的な見解をシェアした。
- 留学期間が短ければホームシックの心配は必要はない
- 病気の心配はあるがその可能性は極めて低い。ただし、食物アレルギーに関しては対応する必要がある
- たいていの留学生にとっては学業よりもいろいろな体験を通して日本での生活を楽しむことを第一と考えている
- 受け入れてからの最初の一週間は心身ともに疲れがピークに達するので要注意
- 言動の変化を観察して早めの対応を心がける。必要なら学校と相談する。
以上ですが、
- 留学生の受け入れを検討している方
- 東京五輪の時に観光客に宿泊してもらおうと考えている方
- 留学しようと考えている方、
少しでもお役に立てたなら幸いです。次のLessonもよろしくね!