日本サッカー協会は昨日、6月7日からの2019FIFA女子W杯フランス大会に臨む日本女子代表なでしこジャパンメンバー23名を発表。
みなさん、今回のなでしこジャパンメンバー選考についてどう思われますか?
大げさなタイトルにしましたが、JFAとは何のコネもないただのなでしこファンですから徹底解剖は無理かも!
ただ、JFA中期計画に沿った(少なくてもJFAにとって)ベストのメンバー選考(ベストメンバーを選出したという意味ではない)だったと強く感じたので皆さんとその点を共有したい。
- 選出されたメンバーは若手中心の23名
- 発表直後の何故・サプライズ・落胆の声
- 女子サッカー強豪国と比較するとチーム構成はどうなの?
- 2019W杯なでしこジャパンメンバー選考基準
- どうしてこのような選考になったの?
- JFA中期計画(2015~2022)
- これには成功体験がある
- 【新着記事】東京五輪女子サッカー:出場国と組み合わせ予想
- おわりに
選出されたメンバーは若手中心の23名
(年齢は現時点)
◆GK
- 池田咲紀子(26=浦和)、山下杏也加(23=日テレ)、平尾知佳(22=新潟)
◆DF
- 鮫島彩(31=INAC神戸)、宇津木瑠美(30=レイン)、熊谷紗希(28=リヨン)、三宅史織(23=INAC神戸)、清水梨紗(22=日テレ)市瀬菜々(21=仙台)、宮川麻都(21=日テレ)
南萌華(20=浦和)
◆MF
- 阪口夢穂(31=日テレ)、中島依美(28=INAC神戸)、籾木結花(23=日テレ)、長谷川唯(22=日テレ)、杉田妃和(22=INAC神戸)、三浦成美(21=日テレ)
◆FW
- 菅沢優衣香(28=浦和)、岩渕真奈(26=INAC神戸)、横山久美(25=長野)、小林里歌子(21=日テレ)、遠藤純(18=日テレ)、植木理子がケガ→宝田沙織(19=セレッソ大阪堺)
発表直後の何故・サプライズ・落胆の声
- なぜ3年連続得点王FW田中美南が落選?
- なぜ今季未出場のMF阪口夢穂はメンバー入りしたの?
- 実力派の永里、川澄、山根、猶本が落選
ツイッターでは「ワールドカップでの惨敗が決定」などの声もありました。
気持ちはよくわかりますが、先に進みましょう。
女子サッカー強豪国と比較するとチーム構成はどうなの?
ビジネスではよく世界基準という言葉が使われますが、強豪国の代表チームと比較してどうなんでしょう?
5月10日の時点で正式に発表している強豪国のみリストアップ
W杯・五輪 経験者
経験値が極端に低い(男子のロシアW杯と真逆?)
代表チーム |
W杯・五輪 経験者 |
経験値% |
日本 |
6 |
26 |
アメリカ |
14 |
61 |
フランス |
10 |
43 |
イングランド |
9 |
39 |
オランダ |
12 |
52 |
平均年齢・22歳以下・30歳以上の選手
代表チーム |
平均年齢 |
22歳以下 |
30歳以上 |
日本 |
24.0 |
10 |
3 |
アメリカ |
28.6 |
2 |
11 |
フランス |
26.3 |
3 |
5 |
イングランド |
27.1 |
3 |
6 |
オランダ |
25.5 |
5 |
2 |
うわー、世界基準からかけ離れている、どうして?
世界の強豪国と比較して極端に若くしかも大舞台での経験値が乏しいチーム構成が分かりましたね。あまり参考にはならないが高倉監督の選考基準を聞きましょう。
2019W杯なでしこジャパンメンバー選考基準
「様々な選手を試す中で、しっかり返ってきた(応えてきた)選手を選んだ結果、若い選手が残ってきたのかなと思います。やはり大会中に何かをきっかけに爆発的な力を発揮してくれそうな選手もいます。その辺には大きく期待しています」
さらに、
「オンで武器を発揮できる選手と、オフで戦える選手、両方で戦える選手があると思うが、選んだ選手たちはどの組み合わせでも何かを作りだせるのではないかと期待させる選手たちが多い」
アメリカ遠征の際は、コンディション不良で選考外と言っていたが、今回は全く不明確な基準なのでさっぱり分かりません。マラソンの選考なら大問題に発展しかねないが、チームスポーツなので仕方ないでしょう。
ということで実力のあるベテラン選手は
- (監督の言ったことに)しっかりと応えていない
- コンビネーションに不安
という理由で落選したのでしょう。
実際選手に何を言ったか分かりませんが、
- 川澄選手はチームを変えてまで出場機会を増やすためにわざわざチームを変えて戦っている
- 永里選手はコンディション維持のため昨年11月から今年2月初旬までオフにもかかわらずオーストラリアのWリーグに参戦。それが功を奏してか、今シーズン絶好調。NWSLで4月度月間ベスト11受賞
ちょっとかわいそう、と感じたのは私だけでしょうか?
どうしてこのような選考になったの?
私の憶測ですが、2019女子サッカーW杯での最大の目標は「ワードカップという大舞台での経験を踏ませて若い選手の成長を促す」。実力派のベテランを入れると若手のプレー機会が少なくなる。坂口選手ならケガしているので若手の妨げにはならない。教育係にピッタリ。というふうに考えればかなり納得できると思いますが?
本来なら実力で選考すべきだが、今回は女子サッカー発展のために避けて通れない道を選んだ。ある意味、JFAの英断と理解を示したい。
ところでタイトルにあるJFA中期計画を見たことがありますか?
https://www.jfa.jp/about_jfa/plan/JFA_plan2015_2022.pdf
JFA中期計画(2015~2022)
2015-2022中期計画ではなでしこジャパン「優勝」が目標だったが、トーンダウン。そこで2019-2022中期計画では「復権」というあいまいな言葉に変えた。その中期計画の9ページの「2020年東京五輪で男女メダル獲得」というのが最新の目標。ハードルは高いが、全く不可能なことではない。
(中長期計画書より拝借)
これらに加えて
- 2023年女子W杯招致をFIFAに正式に申請(4月12日)当然目標は優勝
- 女子サッカー選手のプロ化構想
若い選手を成長させて2023年と2024年の大舞台で優勝という青写真を描いている訳ですね。壮大な夢があって素晴らしいじゃないですか!!!
これには成功体験がある
大舞台で若手に経験値を積ませる手法は2011年の優勝に結びついた。
2011年のFIFA女子ワールドカップ初優勝。改めて選手の皆さんに感謝の気持ちを伝えたい。というのもそこにたどり着くまでの道のりは決して平たんではなかったと察する。それまではW杯で負け何度もくじけそうになったことでしょう。
その時のデータを拾ってみた。
- 平均年齢 25.2歳
- 30歳以上 山郷(36)と澤(32)
- 22歳以下 熊谷(20)、宇津木(22)、高瀬(20)、岩淵(18)
- W杯・五輪経験者 21名中14名 67%、内2008年の五輪のみは2名
即ち、12名のW杯経験者で臨んだW杯であった。
という事は多くの選手を若い時から召集し大舞台での経験値を積ませた結果の優勝と言えよう。まさにこれと同じことを2023年のFIFA女子ワールドカップ優勝に向けて取り組んでいる。もし、日本で開催されるとなれば大フィーバーになること間違いなし。
【新着記事】東京五輪女子サッカー:出場国と組み合わせ予想
おわりに
今回選ばれた多くの選手は22歳以下。2023年のW杯時点では26歳以下である。たぶん、2023年のなでしこジャパンメンバーの平均年齢は2011年のW杯メンバーのものと近い数字になろう。そして大舞台での経験値もグッと上がっている。まさしく、優勝を狙えるチームに成長していること間違いなし。
これまでの3年間は2023年に向けてふさわしい選手の発掘に費やされた。これからの代表メンバーはかなり固定されるであろう。連係プレーも極められる。連係プレーこそ体力・スピードに勝る欧米のチームに勝てる唯一の方法と思っている。
今回選ばれた若い選手に言いたい、
「女子サッカーの未来を拓くのは君たち若い選手だ。厳しい戦いにはなるが、そのこと肝に銘じて2019FIFA女子W杯を精一杯戦って欲しい。少なくても2023年W杯招致に手を上げているオーストラリア、ブラジル、韓国(南北共同開催)などに負けない成績を目指そう!」
未来を拓け、若きなでしこたちよ!