はじめに
私たちは厚生労働省の政府統計:簡易生命表で、毎年、平均寿命や平均余命を知ることができる。平成30年7月30日の:簡易生命表によると、
- 男子の平均寿命:81.25歳(平成29年度:81.09歳、+0.16)
- 女子の平均寿命:87.32歳(平成29年度:87.26歳、+0.06)
これはあくまで0歳児の平均寿命(=0歳児の平均余命)であり私には当てはまらない。
私が最も知りたいのは平均寿命そのものよりも、
- あと何年生きられるのか(私個人の平均余命)
- 平均寿命が延びたらどのくらい平均余命が伸びるのか
- 人生100年時代:何歳まで健康?(私個人の健康寿命)
そして皆さんのために「年金は何歳から受給したらお得?」、これらの点について20歳以上を対象にざっくり紹介します。
平均寿命と健康寿命
平均寿命とは「0歳の平均余命」のこと。つまり、平均寿命が80歳だとしても、今79歳の人が平均であと1年しか生きられないということではない。平成30年度の簡易生命表では80歳まで生きた男性の場合の平均余命は約9年。つまり89歳まで生きられる。
一方、健康寿命とは「日常的・継続的な医療・介護に依存しないで、自分の心身で生命維持し、自立した生活ができる生存期間」のこと。
平均寿命が長くなるのは結構なことだが、それよりも旅行や趣味などを思う存分楽しめる元気な時間が長くなって欲しいですね。
あと何年生きられるのか(個人の平均余命)
平成30年度の簡易生命表は下記の通り。
現在70歳の男性ならば平均余命は15.84年。ほぼ86歳まで長生きできるので私たちが知っている平均寿命よりも4.6年も増える。
この表は、単純に「年齢」+「簡易生命表の年齢別平均余命」であり、今〇〇歳の私が何歳まで生きられるか、その目安として見て下さい。
年齢 |
男子 平均 余命 |
何歳まで 生きられるか |
女子 平均 余命 |
何歳まで 生きられるか |
0 |
81.25 |
81.25 |
87.32 |
87.32 |
20 |
61.61 |
81.61 |
67.63 |
87.63 |
25 |
56.74 |
81.74 |
62.70 |
87.70 |
30 |
51.88 |
81.84 |
57.77 |
87.77 |
35 |
47.03 |
82.03 |
52.86 |
87.86 |
40 |
42.20 |
82.20 |
47.97 |
87.97 |
45 |
37.42 |
82.42 |
43.13 |
88.13 |
50 |
32.74 |
82.74 |
38.36 |
88.36 |
55 |
28.21 |
83.21 |
33.66 |
88.66 |
60 |
23.84 |
83.84 |
29.04 |
89.04 |
65 |
19.70 |
84.70 |
24.50 |
89.50 |
70 |
15.84 |
85.84 |
20.10 |
90.10 |
75 |
12.29 |
87.29 |
15.86 |
90.86 |
80 |
9.06 |
89.06 |
11.91 |
91.91 |
85 |
6.35 |
91.35 |
8.44 |
93.44 |
90 |
4.33 |
94.33 |
5.66 |
95.66 |
平均寿命が延びると私の余命はどのくらい延びますか?
女子の場合、平均寿命の延びがかなり少なくなりました。平成29年度比+0.06年ですね。表にはしていませんが一カ月も増えていませんので、余命の伸び≒平均寿命の延び、と考えてください。
男子の場合、平均寿命は平成29年度比+0.16年。約2カ月延びました。例えば、現在50歳の方なら+0.13年延びたことになり約+1.5ヵ月(平均寿命の延びの8割)。どの年齢でも少なくても毎年1カ月くらい伸びています。
年齢 |
H30男子 平均余命 |
H29男子 平均余命 |
差 |
0 |
81.25 |
81.09 |
0.16 |
20 |
61.61 |
61.45 |
0.16 |
25 |
56.74 |
56.59 |
0.15 |
30 |
51.88 |
51.73 |
0.15 |
35 |
47.03 |
46.88 |
0.15 |
40 |
42.20 |
42.05 |
0.15 |
45 |
37.42 |
37.28 |
0.14 |
50 |
32.74 |
32.61 |
0.13 |
55 |
28.21 |
28.08 |
0.13 |
60 |
23.84 |
23.72 |
0.12 |
65 |
19.70 |
19.57 |
0.13 |
70 |
15.84 |
15.73 |
0.11 |
75 |
12.29 |
12.18 |
0.11 |
80 |
9.06 |
8.95 |
0.11 |
85 |
6.35 |
6.26 |
0.09 |
90 |
4.33 |
4.25 |
0.08 |
人生100年時代:何歳まで健康?(個人の健康寿命)
2016年における平均寿命と健康寿命の差は
- 男性は8.84歳(健康寿命:72.14歳)
- 女性は12.34歳(健康寿命: 74.79歳)
乱暴ではあるがこの差を「何歳まで生きられるか」から差し引くと次の表になる(なお、年齢別の健康寿命は見当たらない)。
見方としては、今50歳の男子なら74歳までは元気で暮らせる。そして70歳になっても元気ならもう7年元気で暮らせることになるので健康寿命が3年延びることになる。嬉しい!人生100年時代を謳歌するためにも健康寿命が延びるよう、頑張る価値はありますね。
年齢 |
男子:何歳まで生きられるか |
健康期間 |
女子:何歳まで生きられるか |
健康期間 |
0 |
81.25 |
72.41 |
87.32 |
74.79 |
20 |
81.61 |
72.77 |
87.63 |
75.29 |
25 |
81.74 |
72.90 |
87.70 |
75.36 |
30 |
81.84 |
73.00 |
87.77 |
75.52 |
35 |
82.03 |
73.19 |
87.86 |
75.63 |
40 |
82.20 |
73.36 |
87.97 |
75.79 |
45 |
82.42 |
73.58 |
88.13 |
76.02 |
50 |
82.74 |
73.90 |
88.36 |
76.32 |
55 |
83.21 |
74.37 |
88.66 |
76.70 |
60 |
83.84 |
75.00 |
89.04 |
77.16 |
65 |
84.70 |
75.86 |
89.50 |
77.76 |
70 |
85.84 |
77.00 |
90.10 |
78.52 |
75 |
87.29 |
78.45 |
90.86 |
78.57 |
80 |
89.06 |
80.22 |
91.91 |
79.56 |
85 |
91.35 |
82.51 |
93.44 |
81.10 |
90 |
94.33 |
85.49 |
95.66 |
83.32 |
公的年金は何歳からもらえばお得?
ご存じのように、老齢基礎年金は65歳からの受給が原則。しかし、66歳~70歳で受給を開始する「繰り下げ受給」を選べば、年金額は最大42%加算(70歳)される。
現時点での平均寿命を考えると、
- 65歳で退職する男子はほぼ85歳まで長生きできる
- 65歳で退職する女子はほぼ90歳まで長生きできる
年金受給開始年齢を65歳と70歳で比較すると
- 65歳からの受給と70歳からの繰り下げ受給では82歳が分岐点
- 82歳よりも長生きすれば70歳から受給したほうが受給総額が増える
この表から分かるように退職金などで余裕のある方は受給年齢を繰り下げた方が受給総額は大きくなる可能性が高くなる。ただし、あくまで平均的に言えること。
何歳から年金をもらうかは自分の健康や貯蓄などと相談して決めるしかないですね。そしてなによりも人生100年時代を謳歌するために現役中に退職後の人生設計を考えましょう。
まとめ
私が最も望むものは「元気で長生きできる」期間が少しでも長くなること。しかし、最近では平均寿命との差が広がるばかりで「不健康期間」が少しずつ長くなっている。
厚生労働省は「健康寿命」について目標を掲げた。2040年までに2016年比で男女とも3年以上延ばすと決めた。男性は75・14歳以上、女性は77・79歳以上。これは年平均で健康期間が1.5ヵ月延びる計算になる。
加齢に伴って心身の活力が低下する「フレイル」や認知症の予防対策を進める計画だが、それだけでは達成不可能な数値目標。達成するには個人の努力が必須。そのためか、厚生労働省は「健康需要を伸ばそう」ということで7つの実践事項を健康手帳で紹介している(なお、厚生労働省のホームページから健康手帳のダウンロード可)。
- 生活習慣病(飲酒、喫煙、運動、食事などが起因となる)を防ごう
- バランスのとれた適切な量と質の食事
- 適切な運動(65歳以上なら強度を問わず毎日40分の身体活動推奨)
- 十分な睡眠
- 禁煙
- お酒と上手に付き合う(ビールなら中ビン1本)
- 歯・口腔の健康を守る(虫歯・歯周病の予防など)
いずれも始めるのは難しくはないが、続けるのが容易でない。ただ、人生100年時代を元気で満喫するためにはやり続けるしかありませんね。頑張りましょう!