はじめに
JTBの新商品、「欧州旅革命 ヨーロッパ発着の新しい旅、MyBusランドクルーズ」をレビューした。
JTBは2018年11月22日に現地発着日本語案内周遊バスで希望の名所を自由に観光できる「ランドクルーズ」という新サービスを発表。
そこで興味本位にいろいろ調べてみた。特に私がよく知っている南仏を例にとりランドクルーズのメリット・デメリット・期待することをご紹介しますのでよろしくお願いします。
(MyBusランドクルーズのサイトより:バスルートの●は発着都市)
ランドクルーズの特徴
ランドクルーズとは
JTBの発表内容によると、
「海にクルーズがあるように、陸にもクルーズを」のコンセプトのもと、航空券なし・宿泊付き・観光付き・現地集合&現地解散のヨーロッパ12か国を舞台に運行する日本語周遊観光バス。総延長14,000キロを超えるバスルートの全区間において「日本語現地係員の同乗」、「1名様より出発保証」の画期的なサービスを提供。さらに個人旅行では行きにくい土地やこれまでのパッケージツアーには組み込まれていなかった名所などをめぐりながら、車窓に広がるヨーロッパ各地の景観とともにバスの旅そのものを楽しめる。
と紹介している。
サイトはこちら!
MyBusランドクルーズの特徴
- カスタマイズできる(現地集合・現地解散だから行きたいところだけを自由に旅行に組み込める)
- バスには日本語現地係員が同乗して案内
- 快適なバスの旅(手ぶらで観光できる)
- 1名様より出発保証
- 予約OKとなればツアーキャンセルはない
- 複数都市を効率よく周遊
- 個人手配では行きづらいような場所にも行ける
予約方法は大きく2パターン
ツアーや日程を選んでカスタマイズ
- 検索パネルから行きたい都市を選ぶ
- 表示されたツアー一覧からツアーを選びカスタマイズ
カスタムツアー作成
- 日程や出発地・終着地を自由に選ぶ
- 別のバスへの乗り継ぎやホテル手配有無の選択可能
ランドクルーズの概要と日程(例)
出発地:ニース
07:50 ご集合
エリントン 又は アストン ラ スカーラ 又は スプレンディド の ホテルロビー
※集合ホテルはツアー催行日の2週間前頃にお知らせします。
08:00 ニース発(約2時間30分)
プロムナード・デ・ザングレを車窓からお楽しみただきます
午前 エクサン・プロバンス市内観光(約2時間)
- セザンヌのアトリエ(入場)
- サン・ソヴール大聖堂(入場)
- 市庁舎と歴史地区散策(いずれも下車)
その後 ポン・デュ・ガールへ(約2時間15分)
昼食は途中の休憩所で各自おとりください
- 世界遺産ポン・デュ・ガール見学(約1時間)
古代ローマ時代に建設された見事な水道橋をご覧いただきます
夕刻 アビニヨンへ(約30分)
16:30 アビニヨン・TGV駅(Gare d'Avignon TGV)に到着
ツアーに含まれるもの
日本語現地係員・ツアーバス・チップ・セザンヌのアトリエ(閉館日はコーモン芸術センター)入場
到着地:アビニヨン(乗り継ぎ可能 or 終了)
(ニース プロムナード・デ・ザングレ)
ランドクルーズのメリット・デメリット
メリット
- バスなので移動の効率が良い(エクサン・プロバンス市内観光に個人で行くには車でない限り交通の便が悪いので非常に困難。一日がかり)
- 旅行日程の手作り不要(時間のない方や面倒と思う方に最適)
- ホテル手配有無の選択が可能
- 日本語現地係員が同乗しているので何かと便利で安心(ガイドまでするかどうか?)
- バス内に荷物を置けるので手ぶらで観光できる
- 到着地に早く着くので到着地の観光を楽しむ時間が充分とれる(ミランからニースへの到着時刻17:00、ニースからアヴィニョンへの到着時刻16:30)
(エクサン・プロバンス ミラボー広場の苔の噴水(Fontaine Moussue)ボケていてゴメン!)
デメリット
- 個人旅行よりもかなり高い
- 周辺にはエクサン・プロバンス市内観光よりもっと魅力的で且つ行きにくい観光地が沢山ある
- 観光時間が短い(ポン・デュ・ガール水道橋見学約1時間は少々短い、バス駐車場から水道橋の麓まで徒歩で7分、切符を買うならさらに待ち時間をプラス)
- アヴィニョンで終了する人はアビニヨン・TGV駅で強制下車されることはないと思うが、もしそうならアヴィニョン市内に宿泊予定の人にはキツイ(アヴィニョン市内へ電車で戻る羽目になる)
- 運行日程が限られている(毎日運行でない)
(ポン・デュ・ガール水道橋)
費用比較(ランドクルーズ vs 個人旅行)、おすすめ?
列車でエクサン・プロバンスへの交通手段が乏しいので移動に半日潰すことになるので費用比較は意味がない。そこでエクサン・プロバンス市内観光に替えて世界遺産のローマ遺跡が見られるアルル観光と比較しましょう。
ランドクルーズの移動費
- ¥16,800(ホテル代含まず)
個人旅行の移動費
- ¥7,800(64€)
内訳
- ニース(08:23)→アルル(12:09)TGV 48€
- アルル(16:02)→アヴィニョンセンター 列車(16:18)8€
- アヴィニョンセンター(16:30)→ポン・デュ・ガール 路線バス(17:14)4€
- ポン・デュ・ガール(18:52)→アヴィニョンセンター 路線バス(19:40)4€
ランドクルーズの宿泊費
- ¥22,600(約185€)(これは2人部屋の場合の1人当たりの宿泊費)
- ¥44,900(約368€)(1人部屋)
因みに、Booking.comで予約すると
- エリントン 166€(2人分)
- アストン ラ スカーラ 200€(2人分)
- スプレンディッド 326€(2人分)
個人旅行の宿泊費
- エリントン 166€(2人分)
- エリントン 83€(同じ部屋に2人宿泊するの場合の1人当たり料金)
観光料・食事代他
- ランドクルーズでも個人旅行でもほぼ同じ費用
結論:ランドクルーズは個人旅行と比べて宿泊と移動に倍の費用が掛かる。
(アヴィニョン教皇庁)
おすすめしますか?
はい、このような方におすすめ!
- どうしてもエクサン・プロバンスへ行きたい方(車以外選択肢無)
- 英語・仏語が不得手な方(選択肢無)
- 費用を気にしない方
- 安全・安心を優先する方
- 日程を作る時間のない方・面倒と思う方
- ホテルの手配をしたくない方
- 2人旅だがドライブ旅行をしたいと思わない方(選択肢無)
上記のリストに該当項目がある年配の方には最適かも知れない。
(アルルの古代ローマ遺跡、円形闘技場)
今後のランドクルーズに期待すること
個人では行きにくい魅力的な観光スポットの拡充
ランドクルーズのターゲット客は、おそらく、有名な観光地はすでに訪れた経験があり多少なりともお金に余裕のあるお客様と推察する。そうであれば、ランドクルーズの紹介に書いてある「個人旅行では行きにくい土地やこれまでのパッケージツアーには組み込まれていなかった名所めぐり」とマッチする。しかし、この点ではさらなる改善・充実を期待する。
例えば、エクサン・プロバンスもポン・デュ・ガールも個人となると非常に行きにくいが、ニースからアヴィニョンへの旅ならヴァランソル高原のラベンダー畑観賞+リュベロン地方横断観光など個人では車でない限り不可能、且つ、より魅力的な観光スポットと思う。
ゆとりある日程
費用面をあまり気にしないお客様をターゲットにしているようなので、もっとゆとりある日程にした方が良い。その方がターゲット客にとってはよりコスパの優れた(心から満足する)旅になるはずだ。
- 観光時間を長くする
- 出発地・到着地(宿泊地)を増やす
まとめ
ランドクルーズの印象は、一言で言えば、これまで個別に提供していた現地発オプショナルツアーを複数束ねた新たな周遊ツアーと感じた。費用的にはこれまでの現地発オプショナルツアーとほとんど変わらない。しかし、今後、JTBはランドクルーズのさらなる拡充に努めることと思う。
特に、個人では行きにくいが玄人に人気のある観光地をたくさん組み入れ、ゆとりある日程のランドクルーズとなれば、これまでのオプショナルツアーよりはるかに魅力的な旅となるはずだ。