海外旅行保険、病気やケガで診察を受けた時の対応実例を紹介

はじめに

海外旅行保険に加入したら「これで安心だ」と思っている皆さん、実際に病気や大ケガをした後のことを考えたことありますか?

海外ツアー中、病気やけがしたらツアー会社(添乗員)がしっかり対応してくれる、と思っていませんか?私はそう思っていましたが、実際のところツアー会社は初期対応のみ。それもツアー会社の海外旅行保険に加入していればの話。初期対応後どうなるか気になりますね。

そこで質問、「現地の言葉が話せない私がケガや急病で病院に行くとなったら誰がどう対応してくれるの?

それでは、私の弟(フランス在住歴40年)が経験した実例を3つ紹介しますが、長くなるので2つの実例(死亡のケース)に関しては別の記事で紹介。

なお、パリ旅行では姉妹版のパリ旅行満喫予算3泊25万円、そのコツと予約サイトなど紹介 及びパリ観光モデルコース

そして、パリ近郊日帰り・前泊・1泊をお考えの方、旅行先選びが簡単で①追加費用がわずか②節約できる裏ワザを紹介したパリ発小旅行プラン集

さらに、フランス旅行に役立つ実用的且つお得な情報が得らえるおすすめサイト集

これらも合わせてご覧いただければ幸いです。 

ツアー会社(添乗員)は初期対応だけ

海外旅行中に病気や大ケガをしたら(私が無知だった)旅行会社は日程通りにツアーを続けることを最優先する。

添乗員は私の具合を見て「私がツアーを継続できるかどうか」を即断しなければならない。おそらくツアー会社と相談して「難しい」と判断したら「私はツアーから離団」させられる(離団同意又は確認書に署名)。

ツアー会社や保険会社との連絡を取ってくれるでしょうが、その後はツアー会社(少なくても添乗員)のサポートはなくなる。

 

旅行条件書にはこう書かれている

参考までにJTBの旅行条件書から引用。

お客様がご旅行中に疾病、傷害その他の事由により、医師の診断又は加療を必要とする状態になったと当社が判断する場合は、旅行の円滑な実施をはかるため必要な措置をとらせていただきます。これにかかる一切の費用はお客様のご負担になります。

 

必要な措置とは条件書にある「お客様が病気、必要な介助者の不在その他の事由により、旅行の継続に耐えられないと認められる」と判断する際のツアー会社の解除権の行使と理解する。

一方、お客様の解除権として「お客様のご都合により途中で離団された場合は、お客様の権利放棄とみなし、一切の払い戻しをいたしません」と書いてあるが、お客さものご都合とは「病気やケガ」が含まれると察する。

添乗員さんによっては対応に多少の差があるでしょうが、どこのツアー会社の条件書も内容はほぼ同じ。なお、JTBの旅行条件書を引用したのでJTBさんにマイナスのイメージを与えてしまったかもしれません。そのお詫びにJTBさんの海外旅行保険を紹介。

 

www.jtb.co.jp

 

事故発生率は信じられないくらい高い

前出の保険会社、ジェイアイ傷害火災保険株式会社が毎年実施している調査によると2018年度海外旅行での事故発生率(保険金支払件数÷保険加入者数)は3.7%(27人に1人)

しかも、病気やケガの治療費用や医療搬送費用等を補償する「治療・救援費用」が全体の46。尚、シニア層(65歳以上)の事故の割合は全体の4割。また、「治療・救援費用」の保険金支払いが300万円以上の事故は世界各地で発生しているとのこと。

海外に無保険で行く旅行者はいないと思いますが、参考までに調査の詳細をご覧ください。

press.jtbcorp.jp

 

病院に行くまでのプロセス

何らかの海外旅行保険に入っていれば、

  • あなた自身、添乗員、あるいはツアー催行会社が保険会社に連絡
  • 保険会社からローカルエージェントに連絡
  • ローカルエージェントは通訳、緊急搬送車両、病院などを手配(但し、緊急を要する場合、フランスでは15番に電話すると、医師と救急車が救助に駆けつけ、適切な病院に患者を緊急搬送)
  • ローカルエージェントは通訳に「〇〇さんを訪ねて△△病院に何時に」と指示
  • 通訳は指定された病院で、あなた、あるいは、同伴者に合流(緊急搬送された場合、保険会社への連絡は後回し)

これ以降は通訳が頼り。海外、特にフランスでは店員でさえあなたを「お客様」とは見ません。あくまで対等の関係。通訳はあなたのケアもする。良いサービスを受けられるかどうかはあなた次第!

 

実例1:具合が悪くなり診察が必要になったケース

Aさんは、初めは気分が、その後食欲がなくなり、ついには吐き気などの症状が現れ、それが日毎にひどくなり、添乗員に病院での診察を希望。話し合いの結果、離団同意書に署名。添乗員を通して旅行会社から保険会社に連絡をとって頂き、翌日保険会社より連絡を受けた現地の担当者(通訳)と約束場所で落ち合い、指定された病院に案内された。

緊急病院の窓口で受付を済ませてから、待つこと2時間、ようやく問診を受けた。問診後、必要な検査が終わると待合室に戻って診察結果を待つ。その間、保険会社から通訳にメールされた提出用の保険金請求同意兼委任状」に必要情報を記載。通訳は業務報告書作成。こうした必要書類を保険会社に随時スキャンしてメール。

3時間後に医師から検査結果や病状・処置について説明を受け、保険会社に提出用の医療レポートの作成を医師にお願い。通訳が会計を済ませ、到着から約6時間後にやっと病院を離れる。

フランスの緊急病院の場合、6-10時間待ちは普通。Aさんの場合、病状が軽かったので入院せず、処方箋も必要なく、ホテルでゆっくりと休むだけで大事には至りませんでした。

通訳と保険会社間で、進展状況のやり取りを随時行い、担当されていた旅行会社の添乗員の方も心配され、状況把握に何度も電話を入れていました。

医療費は、保険会社への請求を受け付けない病院もある。今回は通訳が立て替え、またその夜のホテルは通訳が手配。

その後、Aさんの様態はすぐに改善。ただ、ツアーに戻れないことや疲労も重なっていたので早急に帰国することを希望された。

要望を受けた保険会社は、Aさんの帰国費用がカバーされているか否か保証内容を確認した上で、保険会社専任医師の(診断書や現地情報に基づく)判断結果を得てから、帰国便を手配。

ようやく帰国便が決まり前夜のホテルに戻る。ホテルから空港までの移動は、保険会社が手配するタクシー或いは通訳が行いますが、今回は通訳がフォローすることになった。

Aさんの場合、旅慣れしていないことや疲れもあったので、通訳がチェックインカウンターで車椅子を手配(これは一般的に知名度のある航空会社では無料でサービスが受けられ、言葉が通じなくとも車椅子専用待合室から機内への移動や乗り換えの移動も全て面倒を見てもらえる)。

 

2つの実例(死亡のケース)の紹介

www.ippo-san.com

 

おすすめ 

  • 問診時に医師から必ず持病や通常の血圧値、常用薬等の質問があるので、最近の血液検査報告書や処方箋を日本語でもいいから持参すること
  • 保険会社への請求を受け付けない病院の場合、帰国後保険会社に請求できるよう、自分が出費した全ての領収書を保管しておくこと。各領収書の隅に何時の何の出費かメモをしておきましょう
  • 自身が加入する保険の保証内容を理解しておくこと。安いからという理由だけで加入すると、いざというときに帰国便どころか通訳すら付きません。また、現地の医師が移動(帰国)を許可しても、最終的には保険会社の医師の判断なしでは帰国することはできません
  • 旅慣れてない方は、空港に行く際もチェックインや出発ゲートへの移動も不安で仕方ないはず。空港への移動は可能な限り通訳にお願いし、空港内では車椅子のサービスを利用する 

 

おわりに

確かに、海外旅行保険に加入するところまでは考えるが、その先のことは考えたことはありませんでした。事故発生率は信じられないほど高い。万が一の為、海外旅行保険か、最低でも海外保険付きのクレジットカードの準備は怠りなく。

海外旅行では、加入保険の概要(氏名、住所、電話番号、保険会社名、連絡先、保険初番号など)を日本語と英語のメモにして携帯し、ご家族やツアー同伴者、添乗員等と何時でも情報が共有できるようにておいた方が良さそうですね。また、いかなる時もパスポートは離さないよう、しっかりと身に付けておきましょう。

いかがでしたか?少しでも参考になったならうれしい限りです。安全・安心を備えてからお出かけ下さいね!