2023女子W杯:優勝争いは混沌、なでしこジャパン優勝候補に躍り出る!

はじめに

(2022年10月4日:2023年4月12日更新)2023年7月20日から8月20日まで開催されるオーストラリア・ニュージーランド共催の第9回FIFA女子ワールドカップまで4カ月を切った。全32カ国の出場が決定。予想通り欧米の強豪国は全て出場。

そこで優勝国を予想するが、W杯優勝国となると非常に限られる。FIFA女子ワールドカップ1991年第1回以降の8大会における優勝はわずか4カ国(アメリカ4回、ドイツ2回、日本1回、ノルウェー1回)。

ところが、2023年大会の優勝争いは混沌としてきた。アメリカ以外の国になる予感。その1つがなでしこジャパンここ7年の実績を思い浮かべると信じられない話であるが、SheBelieves Cup 2023の内容をみれば理解できる。

本記事では、2022年以降の強豪国の試合結果をベースに2023女子W杯優勝国を予想をしますが、強豪国同士の試合結果などをベースにW杯直前まで更新します。時々アクセスして頂ければ幸いです。

 

女子サッカー強豪国に変動?

2020東京オリンピック女子サッカーでカナダが優勝。これを大きなサプライズとして受け止めたのは私だけではないでしょう。2023年女子W杯でもそのようなことが起こる可能性は十分にある。

現時点で優勝を狙える強豪国と言えば、2022年12月9日発表のFIFAランキング順にアメリカ、ドイツ、スウェーデン、イングランド、フランス、カナダ、スペイン、オランダの上位8カ国だが、日本は、もちろん、オーストラリアも優勝争いに加わるだろう。

それでは強豪国の現在地をチェックして優勝争いの行方を探りましょう。

 

強豪国の現在地

東京五輪後、スウェーデンを除いてどの強豪国もある程度の世代交代を実施したが、あまりうまくいってないようで、多くの強豪国ではベテランが代表に復帰している。

強豪国の現在地はどうなのか? 2022年以降の強豪国(FIFA女子ランキングトップ10)の対戦成績でチェック。強豪国名の後の( )内の数字は2023年3月24日発表のFIFA女子ランキング。

 

アメリカ(1

2021年11月末に世代交代を実施。

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しかし、37歳ミーガン・ラピノーや33歳アレックス・モーガンなどレジェンドが復帰。2022年以降の成績は20勝1分3敗(4月12日現在)。強豪国との対戦成績は3勝3敗。強豪国との対戦が少ないのが気がかり。

  • 22.10 イングランド(2-1敗)
  • 22.10 スペイン(2-0敗)
  • 22.11 ドイツ(1-2敗)
  • 22.11 ドイツ(2-1勝)
  • 22.2.17 カナダ(2-0勝)
  • 22.2 ブラジル(2-1勝) 

なお、2月20日SheBelieves Cup 2023、なでしこジャパン戦1-0辛勝は含まれていない。前半終了間際のカウンター攻撃で先制したが、互角の展開。後半はなでしこジャパンが中盤を支配し圧倒。

なでしこジャパンは無得点に終わったもののシュート数ではアメリカを圧倒(5-15)、これはアメリカにとって20216年8月6日フランス戦以来の少なさ。現状では2023W杯優勝候補の1~2番手には違いないが、米国内でもかなり不安視されている。

 

イングランド(4

Arnold Clark Cup(2022/2/17-2.23)で優勝。招待したチームは、カナダ、スペイン、ドイツですべて強豪国。しかし、準優勝のスペイン戦(0-0)ではボール支配率そしてシュート数ともに圧倒された。

ただ、Euro2022ではスペイン(2-1延長)、スウェーデン(4-0)、ドイツ(2-1延長)に勝利して優勝。

Arnold Clark Cup 2023参加は中堅国ばかりなのであまり参考にはならない。

2022年以降のチーム成績は19勝5分1敗(4月12日現在)。その内、強豪国との対戦成績は7勝3分1敗。強豪国対戦で10試合連続無敗であったが、4月12日オーストラリアにボール保持率71%にも拘らず0-2敗戦。それでも優勝候補の1~2番手

  • 22.2 ドイツ(3-1勝)
  • 22.6 オランダ(5-1勝)
  • 22.7 スペイン(2-1延勝)
  • 22.7 スウェーデン(4-0勝)
  • 22.10 アメリカ(2-1勝)
  • 23.4 ブラジル(1-1PK勝)
  • 23.4 オーストラリア(0-2敗)

 

スペイン(7

前述のArnold Clark Cupで準優勝。ドイツ(1-1)、イングランド(0-0)、カナダ(1-0勝)との対戦でいずれもボール支配率・シュート数で圧倒。Euro2022(7月開催)ではドイツ(2-0敗)、イングラン(2-1延長敗)に負けてベスト8止まり。

2022年9月に主力15名が代表体制を問題視しメンバー招集辞退という前代未聞の異常事態が発生。その後、2軍で戦う中、10月スウェーデンに1-1、アメリカに2-0勝利。

2022年以降の成績は14勝5分3敗、強豪国には2勝4分2敗。1軍なら優勝候補に筆頭だが2軍では厳しい。

  • 22.2 ドイツ(1-1)
  • 22.2 イングランド(0-0)
  • 22.2 カナダ(1-0勝)
  • 22.4 ブラジル(1-1)
  • 22.7 ドイツ(2-0敗)
  • 22.7 イングランド(2-1敗)
  • 22.10 スウェーデン(1-1)
  • 22.10 アメリカ(2-0勝)

なお、主力欠場でスペイン女子2023W杯優勝は遠のいたが、それでも優勝候補5~6番手と言えよう。2023女子W杯影の優勝候補についてはこちらの記事をどうぞ!

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フランス(5

tour noi de france 2022(2022/2/17-2/23)で優勝。招待チームはフィンランド(当時のFIFAランキング28位)、ブラジル(9位)、オランダ(5位)。そしてブラジル(2-1)、オランダ(3-1)に勝利。

tour noi de france 2023は中堅国を招待した大会なのであまり参考にならない。

2022年以降の成績は14勝1分3敗。対強豪国4勝3敗。優勝候補に違いはないが3~4番手。ルナール監督は3月末就任したばかりでちょっぴり不安。

  • 22.2 ブラジル(2-1勝)
  • 22.2 オランダ(3-1勝)
  • 22.7 オランダ(1-0勝)
  • 22.7 ドイツ(2-1敗)
  • 22.10 ドイツ(2-1敗)
  • 22.10 スウェーデン(3-0敗)
  • 23.4 カナダ(2-1勝)

 

ドイツ(2

前述のArnold Clark Cupではイングランド(3-1敗)とカナダ(1-0敗)に敗けて4位。6月25日にイングランドと対戦し5-1で惨敗。

2023女子W杯欧州予選でもFIFAランキング38位のセルビア(6月24日なでしこジャパンと親善試合予定)に3-2で敗れている。

一方、Euro2022でスペイン(2-0)、フランス(2-1)に勝利して準優勝。決勝戦ではイングランドに2-1敗。また、22年11月アメリカ遠征では1勝1敗。

2022年以降の成績は12勝2分6敗。強豪国には5勝2分5敗。世代交代で若返ったが、パーフォーマンスが不安定。優勝候補の3~4番手。

  • 22.2 スペイン(1-1)
  • 22.2 カナダ(1-0敗)
  • 22.4 イングランド(3-1敗)
  • 22.7 スペイン(2-0勝)
  • 22.7 フランス(2-1勝)
  • 22.8 イングランド(2-1敗)
  • 22.10 フランス(2-1勝)
  • 22.11 アメリカ(1-2勝)
  • 22.11 アメリカ(2-1敗)
  • 23.2 スウェ―デン(0-0)
  • 23.4 オランダ(0-1勝)
  • 23.4 ブラジル(1-2敗)

 

スウェーデン(3

Algarve Cup 2022(2022/2/16-2/23)で優勝したが、対戦チームはポルトガル(29位)、デンマーク(15位)、イタリア(14位)の中堅国ばかり。

欧州の強豪国と比べて攻撃力が高いわけではない。EURO2022ではオランダに1-1、イングランドに4-0敗。

10月にはスペイン戦1-1分、フランス戦3-0勝利。ところが11月強豪国ではないオーストラリアに4-0敗は信じられない。さらに2023年4月にはデンマークに0-1敗。

2022年以降の成績は11勝4分3敗。強豪国には2勝3分1敗。

  • 22.6 ブラジル(3-1勝)
  • 22.7 オランダ(1-1)
  • 22.7 イングランド(4-0敗)
  • 22.10 スペイン(1-1)
  • 22.10 フランス(3-0勝)
  • 23.2 ドイツ(0-0)

最も気になるのはチーム平均年齢。2023W杯時には平均年齢30歳くらいになるのでパーフォーマンス維持が難しい。優勝候補から脱落か? 

 

オランダ(8

tour noi de france 2022で1勝1分1敗の2位。ブラジルに1-1、フランスに3-1敗。ただ、ボール支配率・シュート数ともに大差はなかった。6月25日イングランドとの親善試合を5-1で落とした。EURO2022ではスウェーデン(1-1)、フランス(1-0敗)。

2022年以降の成績は13勝2分6敗。強豪国には0勝2分4敗。

  • 22.2 ブラジル(1-1)
  • 22.2 フランス(3-1敗)
  • 22.6 イングランド(5-1敗)
  • 22.7 スウェーデン(1-1)
  • 22.7 フランス(1-0敗)
  • 23.4 ドイツ(0-1敗)

オランダも世代交代の真っ最中で強豪国に勝てていない。優勝候補から完全に脱落。

 

カナダ(6

前述のArnold Clark Cupで3位。ドイツ(1-0勝)、イングランド(1-1)、スペイン(1-0敗)と対戦して1勝1分1敗。相変わらず、守備はしっかりしているが、攻撃力はやや物足りない。ボール支配率でもシュート数でも全て対戦相手が上回った。

2022年以降の成績は12勝3分6敗。強豪国には3勝1分5敗。

  • 22.2 イングランド(1-1)
  • 22.2 ドイツ(1-0勝)
  • 22.2 スペイン(1-0敗)
  • 22.7 アメリカ(1-0敗)
  • 22.11 ブラジル(1-2勝)
  • 22.11 ブラジル(2-1敗)
  • 23.2 ブラジル(0-2勝)
  • 23.2 アメリカ(2-0敗)
  • 23.2 ブラジル(0-2勝)
  • 23.4 フランス(2-1敗)

SheBelieves Cup 2023 第3戦では日本に圧勝された(0-3敗)。シュート本数は日本の13本に対してわずか3本、ボール支配率も45%。何よりもカナダにとって2020年2月にアメリカ戦(0-3負)以来の3失点負け。屈辱的な敗戦と言ってよい。

アメリカでさえ五輪優勝後のワールドカップでは優勝したことがない。この点も考えるとカナダは優勝候補から脱落と考えた方が良い。

 

なでしこジャパン(11)

強豪国に4連敗していたが、前述の通りカナダに圧勝。その布石はあった。負けはしたが、ブラジル戦・アメリカ戦も互角以上の戦いができていた。得点するには運が少し足りなかっただけだ。

攻撃面ではボールロストを恐れずにDFからサイドハーフへのロングパス、前線への縦パスなどで積極的に仕掛け、ゴールを奪う姿勢を貫いた。また、ボールホルダーやパスの受け手に対して寄りを早くするなどボールを奪う意識が高かった。

3戦連続で強豪国に対して互角以上の戦いができるようになった。判断スピードやパス・クロス・シュート精度があがれば、勝利の確率は格段に上がる。2023女子W杯優勝候補の一角に躍り出たと言って間違いない。

2022年以降の成績は12勝2分6敗。強豪国との対戦は1勝4敗で下記の通り。

  • 22.11 イングランド(4-0敗)
  • 22.11 スペイン(1-0敗)
  • 23.2 ブラジル(0-1敗)
  • 23.2 アメリカ(1-0敗)
  • 23.2 カナダ(0-3勝)

4月の欧州遠征でSheBelieves Cupほどのパーフォーマンスができなかったので優勝候補の5~6番手に後退。

なでしこジャパンの海外組に関する活躍はこちら!

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オーストラリア(10)

開催国で実力も強豪国並み。優勝候補リストに加えたいチーム。

2022年以降の成績は18勝2分5敗。強豪国との対戦は3勝3敗で下記の通り。

  • 22.6 スペイン(7-0敗)
  • 22.9 カナダ(0-1敗)
  • 22.9 カナダ(1-2敗)
  • 22.11 スウェーデン(4-0勝)
  • 23.2 スペイン(3-2勝)
  • 23.4 イングランド(0-2勝)

2023年4月スコットランドに0-1で負けるなどパーフォーマンスが不安定。それでも最近になって強豪国戦で3連勝、優勝候補5~6番手に浮上。

 

W杯優勝の確率は?

確率の高い順に、

  • イングランド 15%
  • アメリカ 15%
  • フランス 10%
  • ドイツ 10%
  • スペイン 10%
  • スウェーデン 10%
  • 日本 10%
  • オーストラリア 10%
  • カナダ 5%
  • オランダ 5%

上記10カ国の優勝可能性を足すと100%。これらのチーム以外で決勝トーナメントに進出するのはブラジルデンマークノルウェーイタリアなどが考えられるが、イングランド、アメリカ、フランス、日本の中から優勝チームが出る可能性が高い

なお、2023W杯出場国のグループ・リーグ展望はこちら!

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優勝争いは混沌!

FIFAランキング導入後の過去5大会のW杯優勝は全て直前のFIFAランキングが4位以内のチーム。内訳は次の通り。

年度

優勝チーム

Rank

2003

ドイツ

3

2007

ドイツ

2

2011

日本

4

2015

USA

2

2019

USA

1

現状は絶対女王不在。東京五輪でFIFAランキング8位のカナダがおおかたの予想に反して優勝したように、2023W杯でもどの10カ国にも優勝の可能性がある。FIFAランキング5位以下から優勝チームが出てきても驚くことはない。

 

おわりに 

2023FIFAワールドカップ(オーストラリア・ニュージーランド共同開催)に関する個人的な見解として10カ国を優勝候補としてリストアップ。混沌とした優勝争いになるが、やや可能性の高いのはイングランドアメリカフランス日本

なでしこジャパンですが、長い間、過去の記事でネガティブに語ってきた(なでしこジャパンの2023FIFA女子W杯GL突破に黄色信号点滅?など)が、長谷川唯長野風花のイングランド女子リーグやSheBelieves Cup 2023での活躍と若手の台頭をみて、「いけそう」と7年ぶりに期待感を覚えた。

現時点では誰も信じない(2011年女子W杯でもそうだった)でしょうが、なでしこジャパンが再び世界の頂点に輝くのは2023女子W杯かも知れません。

みなさん、応援しましょう!

 

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