はじめに
(2023年1月20日掲載)
22-23 欧州の国内リーグ戦はほぼ前半戦終了。そこで22-23 シーズンにおける日本人サッカー選手の評価をランキング形式で紹介。選手の価値を表す指標には推定市場価値がありますが、単年度の実績を評価する指標としては不適切。
リーグもクラブも異なるので選手の実績を単純比較できませんね。しかし、リーグやクラブのレベル差を反映させた独自の方式で欧州組22-23実績を評価。
本記事に納得できないと思われる方は沢山いらっしゃると思いますが、是非、皆さんとシェアしたいのでよろしくお願いします。
なお、こちらもご覧いただければ幸いです。
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実績は市場価値の一部にすぎない
選手個人の評価となると推定市場価値に頼るしかないが、これは将来価値を含めた指標なので選手の市場価値と実績は必ずしも比例しません。
また、市場価値は選手の将来にわたるプレー可能期間の長短で大きな差が生じる。つまり、一般的には若い選手ほど市場価値は高く評価される。
実例として、ドイツで活躍する日本代表キャプテン34歳の吉田麻也選手は1.5M€。一方、同じリーグでプレーする25歳の板倉 滉選手は12.0M€。今季出場時間は吉田選手が3倍。しかし、両選手の推定市場価値にはなんと8倍の開きがあります。
因みに、推定市場価値の主な決定要因は、
- 年齢(かなり反映される)
- リーグ
- ポジション(評価額はFW>MF>DF>GK)
- 人気度
- ケガの頻度
- ロイヤリティ(現所属チーム満足度)
- 新環境適応能力
- 実績(ゴール数など)
市場価値はこうしたデータを総合的に判断して算定されるが、選手の実績は市場価値算定の一部にすぎない。
実績を独自の視点で評価
欧州組日本人サッカー選手の22-23シーズン前半戦実績を4つの独自視点で評価。
リーグ点
リーグのレベルが高いとなかなか結果(得点など)を出すのは難しくなる。そこで2023年1月18日時点のリーグ世界ランキング(情報源とランク分けはthe Kick Algorithms)応じてポイントを付与(リーグ点)。
- 1~4位 50点 イングランド、スペイン、イタリア、ドイツ
- 5位 45点 フランス
- 5~9位 40点 ポルトガル、オランダ、ロシア
- 10~14位 35点 ベルギー、トルコ
- 16~22位 30点 オーストリア、スコットランド、イングランド2部、クロアチア、スイス
- 23位 25点
- 24~44位 20点 日本、セルビア、ドイツ2部、スペイン2部
- 45位~ 15点
クラブ点
クラブのレベルが高ければ出場する事さえ難しくなる。選手の成績を評価する尺度の1つが出場時間なのでレベルの高いクラブにおける出場減を補てんする目的で2023年1月18日時点の所属クラブ世界ランキングでポイントを付与(クラブ点)。
- 1~10位 100点 アーセナル
- 11~20位 90点
- 21~30位 80点 R・ソシエダ、フライブルク、ブライトン、フランクフルト
- 31~45位 70点 ウニオン・ベルリン、スポルティング、モナコ
- 46~60位 60点 セルティック
- 61~80位 50点 ボルシアMG、アルクマール、川崎
- 81~100位 45点 全北現代
- 101~150位 40点 ウニオンSG、レガネス
- 151~200位 35点 横浜、スタッド・ランス、ウエスカ
- 201~300位 30点 デュッセルドルフ、シュトゥットガルト、ボーフム、ユトレヒト、HJKヘルシンキ、アントワープ、ストラスブール、ビーレフェルト
- 301~450位 25点 LASK、カーザ・ピア、ビトーリア、アラベス、スパルタ
451~600位 20点 サンタ・クララ、ハノーファー、ブラウンシュワイク、サンタ・クララ、シント=トロイデン、ポルティモネンセ、アンタルヤスポル、ボアヴィスタ、ハノーファー、ジル・ヴィセンテ、シャルルロワ - 601~900位 15点 シャルケ、セルクル・ブルージュ、トゥールーズ、クラコヴィア
- 901~1500位 10点 グラスホッパー、ハダースフィールド、ウェステルロー、オーステンデ、カンブール、コルトレイク
- 1501位~ 5点 マクデブルク
出場点
ビッグクラブ所属であろうがマイナークラブ所属であろうが、出場時間は選手を評価する上で欠かせない基準の1つ。そこで選手の出場時間を点数化(出場点)。
リーグ戦の23年1月18日までの試合数を分母として使用。例えば、ブンデスリーガ1部なら分母は1440(全15試合フル出場)。リーグ戦出場時間が1000分の選手なら、出場点は1000/1440で69点。
ただ、この分母はリーグによって異なる。そして今季のリーグ戦試合数は、
- プレミアリーグ 38試合
- リーガ・エスパニョーラ 38
- ドイツ・ブンデスリーグ1部・2部 34
- フランス・リーグ1部・2部 38
- プリメイラ・リーガ 34
- エールディヴィジ 34
- ファースト・ディビジョンA 34
- スコティッシュ・プレミアシップ 38
なお、シーズン中移籍の場合、移籍後の期間における出場可能な時間を分母として使用。そして、ケガ・出場停止・代表招集などの公式試合を対象外とし分母から除外。
また、リーグ戦以外の公式戦(欧州CL・欧州EL・国内カップ戦など)出場時間も90分毎に1点を出場点に加算。
ボーナス点
得点・アシスト数・CS(GKのクリーンシート)を全公式試合を対象に下記の通り評価に反映。 但し、結果を年換算。
- 得点 +2点
- アシスト +1点
- CS +2点
合計点
選手の評価ランキングを下記の合計で算出。
- 出場点
- ボーナス点
- リーグ点
- クラブ点
具体的な計算例
久保建英のケース 合計点 78+25+50+80=233点
- 出場点 リーグ戦17試合 対象外1試合 リーグ戦出場時間1078分÷(17-1)×90=74.8点+リーグ戦を除く公式試合出場時間290分÷90=3.2点 計78点
- ボーナス点 3得点5アシスト 3x2+5=11点 年換算 11点×38÷17=24.6点
- リーグ点 スペインリーグ 50点
- クラブ点 R・ソシエダ 世界ランキング22位 80点
ポジション別ランキング
合計点で算出した日本人サッカー選手の評価ランキングはどうしてもFWに有利になってしまうので、評価ランキングはポジション別。ただし、66名調査した中で合計点110点以上の選手のみ掲載。
なお、出場時間は一流選手のバロメーターの1つ。彼らは試合数が多いので、GKなら年間およそ4500分前後、DFなら4000分、FWやMFなら3500分前後出場。ケガなどが少なくタフネスが一流選手に必要。
因みに、マンCのハーランド選手は今季これまでの18試合で1847分(年換算3800分ペース)プレー。
GK
- シュミット・ダニエルは3試合のケガによる欠場を除きフル出場
- 中村航輔は開幕から4節までは前々季、前季と同じく控えであったが5節目から12試合連続フル出場。2021年1月に加入してからようやく正守護神の座を掴みとったのは立派
左から順位 選手(所属) 出場時間 CS / 合計点
- 1位 シュミット (シント=トロイデン) 1621分 7CS / 184pts
- 2位 中村航輔 (ポルティモネンセ) 1260分 4CS / 154pts
- 3位 川島永嗣 (RCストラスブール) 0分 0CS / 75pts
因みに222年度Jリーガー1位はチョン・ソンリョンの207点(但し、リーグ点はこの記事より5点低く計算)。
DF
- リーグ点とクラブ点は満点で欧州組全体で最高点150の冨安健洋はケガで出場点大幅減の33点。1位の座を菅原由勢に奪われてしまったのは残念。だだ、あくまで中間点での評価
- 菅原は開幕当初はケガで出遅れたものの、今季はRWにも起用されるなどB点(得点×2+アシスト)はFW並み
- 出場点では全試合フル出場の渡辺 剛が全体最高の102点。吉田麻也はDF陣第2位の101点
- 室屋 成は2部のハンディがありリーグ点とクラブ点を合わせてわずか40点であるにもかかわらず、合計点150で9位。特にB点18は菅原に次ぐDF陣2位
- 板倉 滉は冨安と同様ケガの影響で出場点が78に留まり合計点180でDF陣3位
左から順位 選手(所属主 Pos) 出場時間 得点 アシスト / 合計点
- 1位 菅原由勢 (AZ アルクマール RB) 1512分 3G 6A / 190 p
- 2位 冨安健洋 (アーセナル RB) 944分 0G 1A / 186 p
- 3位 板倉 滉 (ボルシアMG CB) 505分 0G 1A / 180 p
- 4位 伊藤洋輝 (シュトゥットガルト CB) 1256分 0G 1A / 170 p
- 5位 吉田麻也 (シャルケ CB) 1519分 0G 0A / 166 p
- 6位 橋岡大樹 (シント=トロイデン RB) 1858分 0G 2A / 152 p
- 8位 渡辺 剛 (コルトレイク CB) 2070分 1G 0A / 151 p
- 7位 室屋 成 (ハノーファー96 RB) 1550分 3G 3A / 150 p
- 9位 内野貴史 (デュッセルドルフ RB) 443分 0G 1A / 150 p
- 10位 瀬古歩夢 (グラスホッパー CB) 1146分 0G 1A / 141 p
- 11位 中山雄太 (ハダースフィールド CB) 1171分 2G 0A / 119 p
- 12位 際 Van (カンブール RB) 838分 1G 1A / 114 p
- 13位 町田浩樹 (サンジロワーズ CB) 224分 0G 0A / 113 p
因みに222年度Jリーガー1位は谷口彰悟の192点。
MF
- 鎌田大地は合計点278で全体でも1位
- 出場点では遠藤 航が98ptsでMF陣1位、合計点ではMF陣4位
- B点では鎌田63点で全体2位、MF陣2位は川辺 駿の34点、合計点でもMF陣5位
- 旗手怜央は出場時間全体1位、B点MF陣4位、合計点MF陣3位
- 守田英正は出場点は低いが合計点MF陣2位
- 藤本寛也は出場時間MF陣2位(全体3位)で合計点MF陣6位
左から順位 選手(所属主 Pos) 出場時間 得点 アシスト / 合計点
- 1位 鎌田大地 (フランクフルト AM) 1675分 12G 4A / 278 p
- 2位 守田英正 (スポルティング DM) 1220分 3G 2A / 196 p
- 3位 旗手怜央 (セルティック CM) 2072分 4G 7A / 193 p
- 4位 遠藤 航 (シュトゥットガルト DM) 1375分 3G 0A / 192 p
- 5位 川辺 駿 (グラスホッパー CM) 1344分 6G 4A / 171 p
- 6位 藤本寛也 (ジル・ヴィセンテ AM) 2024分 1G 3A / 168 p
- 7位 奥川雅也 (ビーレフェルト AM) 1454分 4G 6A / 167 p
- 8位 長谷部誠 (フランクフルト CB) 485分 0G 0A / 162 p
- 9位 三好康児 (アントワープ AM) 867分 1G 4A / 150 p
- 10位 原口元気 (ウニオン・ベルリン AM) 669分 0G 0A / 150 p
- 11位 田中 碧 (デュッセルドルフ CM) 1252分 1G 3A / 147 p
- 12位 邦本宜裕 (カーザ・ピア AM) 1025分 1G 2A / 144 p
- 13位 坂元達弘 (オーステンデ LM) 1615分 0G 5A / 141 p
- 14位 森岡亮太 (シャルルロワ AM) 1016分 3G 4A / 135 p
- 15位 橋本拳人 (ウエスカ DM) 1364分 0G 0A / 121 p
- 16位 香川真司 (シント=トロイデン AM) 725分 2G 0A / 121 p
- 17位 柴崎 岳 (レガネス CM) 991分 0G 1A / 120 p
- 18位 田中 聡 (コルトレイク DM) 926分 0G 0A / 112 p
- 19位 三竿健斗 (サンタ・クララ DM) 90分 0G 0A / 110 p
因みに222年度Jリーガー1位は森島 司の177点。
FW
- FW陣は1位堂安 律、2位久保建英、3位古橋亨梧、4位中村敬斗、5位三笘 薫
- B点では古橋亨梧が64点で全体1位、全体3位は56点の中村敬斗
- 出場時間では古橋亨梧FW陣1位、上田綺世FW陣2位
- 中村と上田はリーグ点+クラブ点がそれぞれ55点と50点、堂安や久保の4割であるが得点で稼いでいる
- 36歳にも拘らず出場点FW陣1位タイの岡崎慎司はFW陣合計点11位(CFなら4位)
- 久保は過去2年上位でなかったが、今季初めてFW陣2位にランキング。ビッグクラブでのプレーの方が良さそう
左から順位 選手(所属主 Pos) 出場時間 得点 アシスト / 合計点
- 1位 堂安 律 (フライブルグ RW) 1696分 4G 4A / 244 p
- 2位 久保建英 (レアル・ソシエダ RW) 1368分 3G 5A / 233 p
- 3位 古橋亨梧 (セルティック CF) 1835分 18G 1A / 226 p
- 4位 中村敬斗 (LASK LW) 1471分 11G 6A / 207 p
- 5位 三笘 薫 (ブライトン LW) 875分 4G 2A / 194 p
- 6位 伊東純也 (スタッド・ランス RW) 1360分 4G 2A / 184 p
- 7位 前田大然 (セルティック LW) 1491分 7G 5A / 171 p
- 8位 上田綺世 (セルクル・ブルージュ CF) 1712分 8G 0A / 166 p
- 9位 林 大地 (シント=トロイデン CF) 1469分 7G 3A / 163 p
- 10位 浅野拓磨 (ボーフム RW) 448分 1G 0A / 160 p
- 11位 岡崎慎司 (シント=トロイデン CF) 1511分 1G 1A / 157 p
- 12位 南野拓実 (モナコ LW) 688分 1G 4A / 154 p
- 13位 田川亮介 (サンタ・クララ CF) 819分 1G 1A / 116 p
- 14位 斉藤光毅 (スパルタ SS) 606分 0G 3A / 112 p
因みに222年度Jリーガー1位は鈴木優磨の190点。
堂安律の244ptsは立派であるが、今季のハーランドはどれくらいかと言うと合計367点、世界トップレベルの選手の点数ならいつも300点台。
なお、21-22欧州組評価ランキングについてはこちらをどうぞ!
なお、同様の基準でJリーガー評価ランキングもしています。ご参考までにこちらをどうぞ!
欧州組ベスト11
代表チームを組むわけではないが、ある程度ポジションを考慮して(太字)選出。
- GK部門:シュミット
- DF部門:RB菅原、CB冨安・板倉、LB伊藤
- MF部門:DM 遠藤、CM鎌田・守田 守田と旗手で迷ったが上位リーグでプレーする守田を選出
- FW部門:RW堂安、CF古橋、LW三笘 RWは堂安・久保・伊東で迷ったが、実績重視で堂安を選出。LWは中村か三笘で迷ったが、強豪相手でも活躍する三笘を選出
なお、18日に発表された新設のJPFAアワードのベスト11は、
- GK シュミット
- DF 板倉滉・遠藤航・冨安健洋
- MF 鎌田大地・久保建英・堂安 律・三笘薫
- FW 浅野拓磨・伊東純也・古橋亨梧
おわりに
私はこの独自の基準でJリーガーを含む日本人サッカー選手の評価ランキングを何度も行っていますが、本記事でも、ほぼ同じ基準で欧州組を評価。
Jリーガーの欧州移籍について感じた点は「Jリーグで実績を残した選手は欧州へ移籍してもそれなりに活躍できる」こと。欧州での活躍の目安としてはJリーガーでの合計が最低でも150点以上の実績。
例えば、セルティックへ移籍したばかりの小林 友希の実績はJ1DF陣23位の合計151点。同じくMFの岩田智輝は167点でMF陣5位。間違いなく活躍するでしょう。
言うまでもないが、欧州に移籍すると言葉・生活習慣など環境がガラリと変わり、大きなハンディを抱えてプレーすることになるが、自分で選んだ道だ。
欧州組で今回評価の低かった選手はいっそう頑張って欲しい。
独断と偏見に基づいたランキングでしたが、日本代表選手招集予想や欧州移籍などの際の参考にして頂ければ幸いです。
世界サッカー リーグ・クラブ ランキング
リーグランキングは、年2回更新(2月、8月頃)しています。最新情報はこちらをどうぞ!
クラブランキングは、毎月初旬に更新しています。最新情報はこちらをどうぞ!
市場価値でみる欧州リーグランキングは年4回更新、最新情報はこちらをどうぞ!