【22-23年度】欧州組日本人選手評価ランキング、ベスト11は?

はじめに

(2023年6月6日更新

22-23 欧州の国内リーグ戦終了。そこで22-23 シーズン日本人サッカー選手評価をランキング形式で紹介。選手の価値を表す指標に推定市場価値がありますが、選手の実績を評価する指標としては不適切。

もちろん、リーグもクラブも異なるので単純に比較できませんが、リーグやクラブのレベルを反映させた独自の方式使って欧州組など67名の22-23シーズン実績を評価。そしてベスト11を発表します。

本記事に納得できないと思われる方は沢山いらっしゃると思いますが、是非、皆さんとシェアしたいのでよろしくお願いします。

 

実績は市場価値の一部に過ぎない

選手個人の評価となると推定市場価値に頼るしかないが、市場価値と実績はあまり比例しない。何故なら、市場価値は選手の将来にわたるプレー可能期間の長短で大きな差が生じる。よって、一般的には若い選手ほど市場価値は高く評価される

因みに、推定市場価値の主な決定要因は、

  • 年齢(かなり反映される)
  • リーグ
  • ポジション(評価額はFW>MF>DF>GK)
  • 人気度
  • ケガの頻度
  • ロイヤリティ(現所属チーム満足度)
  • 新環境適応能力
  • 実績(ゴール数など)

市場価値はこうしたデータを総合的に判断して決定される。

 

独自の視点で実績評価

欧州組日本人サッカー選手の22-23シーズン実績を4つの独自視点で評価。

リーグ点

リーグのレベルが高いとなかなか結果(得点など)を出すのは難しくなる。そこで2023年5月末のリーグ世界ランキング(情報源とランク分けはthe Kick Algorithms)に応じてポイントを付与(リーグ点)。

  • 50点 イングランド、スペイン、イタリア、ドイツの1部リーグ
  • 35点 フランス1部
  • 30点 ポルトガル、オランダ、MLS、ベルギーの1部リーグ
  • 25点 EFLチャンピオンシップ(イングランド2部)、トルコ1部
  • 20点 クロアチア、スコットランド、スイス、オーストリアの1部リーグ
  • 15点 ギリシャ1部、カタール1部
  • 10点 ドイツ2部、韓国K1、J1、ポーランド1部、日本
  • 5点 ポーランド、仏2部、スペイン2部、J2

なお、最新リーグ世界ランキングはこちら!

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クラブ点

クラブのレベルが高ければ出場する事さえ難しくなる。選手の成績を評価する尺度の1つが出場時間なのでレベルの高いクラブにおける出場減を補てんする目的で2023年5月末のクラブ世界ランキングに応じてポイントを付与(クラブ点)。

  • Top 10 100
  • Top 25 90
  • Top 45 80
  • Top 70 70
  • Top 100 60
  • Top 150 50
  • Top 250 40
  • Top 400 30
  • Top 600 20
  • Top 1000 15
  • Top 1500 10
  • Top 1500~ 5

なお、最新のクラブ世界ランキングはこちら!

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出場点

出場時間は一流選手のバロメーターの1つ。彼らは試合数が多いので、GKなら年間およそ4500分前後、DFなら4000分、FWやMFなら3500分前後出場。ケガなどが少なくタフでないと一流選手になれない。

ビッグクラブ所属であろうがマイナークラブ所属であろうが、出場時間は選手を評価する最重要基準。そこで選手の出場時間を次のような方法で点数化(出場点)。

それぞれのリーグのシーズン試合数を分母として使用。例えば、ブンデスリーガ1部なら分母は3060(全34試合フル出場)。リーグ戦出場時間が2000分の選手なら、出場点は2000/3060で65点。

但し、シーズン中移籍の場合、移籍後の出場可能時間を分母として使用。そして、ケガ・出場停止などは対象外とし分母から除外。

なお、リーグ戦以外の公式戦(欧州CL・欧州EL・国内カップ戦など)出場時間も90分毎に1点を出場点に加算。従って、出場点は100を超える場合もあり得る。

ボーナス点

得点・アシスト数・CS(GKのクリーンシート)を全公式戦対象に下記の通り評価に反映。

  • 得点   +2点
  • アシスト +1点
  • CS   +2点

合計点

選手の評価ランキングを下記の合計で算出。

合計点=出場点+ボーナス点+リーグ点+クラブ点

具体的な計算例 坂元達裕選手のケース 

出場点:リーグ戦34試合中30試合に出場。4試合ベンチ外だったがケガの2試合は対象外。よって分母は32x90分=2880分。リーグ戦出場時間2623分÷2880=91.08点。これにリーグ戦以外の公式戦出場時間162分÷90=1.8点を加えて出場点は92.9点

ボーナス点:0得点7アシストなので(0 x 2)+ 7アシスト=7点

リーグ点:ベルギー1部リーグは30点

クラブ点:オーステンデの世界ランキング1646位なので5点

よって、合計点は92.9+7+30+5=141.9点

 

ポジション別ランキング 

日本人サッカー選手の評価を合計点でランキングするが、これではどうしてもFWに有利になってしまう。そこで評価ランキングはポジション別。ただし、67名調査した中で、原則、合計点120点(及第点)以上の選手のみ掲載。

GK

  • 中村航輔は1年目0試合、2年目2試合しか出場できなかったが、今季第5戦以後フル出場。苦節3期目でようやく正守護神の座を獲得したのは凄い
  • シュミット・ダニエルは3試合のケガによる欠場を除きフル出場
  • 川島永嗣は全試合ベンチ入りしたが出場は叶わなかった

 

DF

DF陣の層の薄さが気になるが、

  • 冨安健洋はリーグ点もクラブ点も満点なので全体で最高の150点ゲットしているが、度重なるケガでレギュラーの座を失ったのが響いて合計点は186点止まり
  • 板倉 はケガなどで10試合欠場したが、それでも合計点はDF陣2位の207点
  • 菅原由勢は開幕当初はケガで出遅れたものの、今季はRWにも起用されるなどB点(得点×2+アシスト)19はウィンガーレベルの成績。合計点ではDF陣1位の216点
  • 渡辺 は全試合フル出場(GKを除いてベルギーリーグ唯一の選手)で出場点は全体2位の102点

 

MF

  • 鎌田大地はブンデスリーグ公式戦日本人歴代2位の16得点(1位は香川の17得点)。合計点は全体4位の244点。CMのポジッションが主なので相当良い成績
  • 遠藤 は出場点で全体1位の104。合計点232で全体7位
  • 守田英正は得点とアシストで攻撃陣と同等のB点を稼ぎ、合計点223で全体8位
  • 旗手怜央はB点29ptsで前田大然と同じ全体5タイ。合計点222で全体9位
  • 川辺 駿はB点28ptsで三笘薫と同じ全体7位タイ。合計点179は弱小クラブ所属(L点+C点は35)としては相当高い点数

 

FW 

22-23はFW陣が大活躍したシーズンでした。

  • 古橋亨梧は公式戦34得点でスコットランドPFA年間最優秀選手賞などを受賞、合計点は日本人歴代1位の280点
  • 久保建英はようやく潜在能力を開花しB点で初の200点越え。合計点264点(昨季は160点)は全体2位
  • 堂安 はやや得点不足だが万遍なくポイントを稼ぎ合計点257で全体3位
  • 三笘 はプレミアリーグ初挑戦であったが、22年11月からレギュラーの座を掴み得点とアシストを量産。合計点232(昨季141点)は全体6位
  • 上田綺世は初海外挑戦にも拘らずリーグ得点ランキング2位の22得点などで合計点239は全体5位
  • 中村敬斗はB点42で全体3位。合計点212は全体11位。小クラブ(L点+C点は50)でこの成績は立派
  • 岡崎慎司は37歳にも拘らず出場点96でFW陣1位。敬意を表したい

 

22-23欧州組ベスト11

代表チームを組むわけではないが、ある程度ポジションを考慮してベスト11を選出。なお、出場時間は公式戦60%以上に限定。

太字の選手は私のベスト11を2年連続、赤字は3年連続受賞)

  • GK部門:シュミット
  • DF部門:菅原板倉伊藤(冨安は出場時間不足で選外)
  • MF部門:遠藤鎌田守田(旗手もベスト11に値する活躍)
  • FW部門:古橋、久保、三笘、堂安(上田・中村もベスト11に値する活躍)

 

なお、22-23前半戦ベスト11は、

  • GK部門:シュミット
  • DF部門:菅原、冨安、板倉、伊藤
  • MF部門:遠藤、鎌田、守田
  • FW部門:堂安、古橋、三笘

 

また、21-22ベスト11は、

  • GK部門:シュミット
  • DF部門:冨安、菅原、伊藤、板倉
  • MF部門:鎌田、遠藤、原口
  • FW部門:古橋、伊東、堂安

 

おわりに

私はこの独自の基準でJリーガーを含む日本人サッカー選手の評価を毎年ランキングしていますが、本記事でも、ほぼ同じ基準で欧州組などを評価。

古橋選手が日本人歴代最高の280点を稼ぎましたが、ワールドクラスの選手と比較するとかなり低い点数。

例えば、ハーランドを同じ基準で評価すると合計点は424点、メッシ、333点、ハリー・ケイン、343点。リーグやクラブポイントで大きな差がついているが、それだけではない。Jリーガーは特に体力面(出場時間)で大きな課題がある。

上記の3人の出場時間はハーランド、4041分、ハリー・ケイン、4302分。もうすぐ36歳になるメッシは3637分で日本人出場時間1位の菅原とほぼ同じ。日本人FW陣で出場時間1位は上田の3340分(これでも自身のJリーグ最多出場時間よりも1200分多い)。

最近、海外移籍の日本人選手が増えていますが、Jリーガーの欧州移籍について感じた点は「Jリーグで実績を残した選手は欧州へ移籍してもそれなりに活躍できる」こと。欧州での活躍の目安としてはJリーグでの合計点が150以上

合計点150以上の実績を残して海外移籍した選手は2021年度5名(町田・旗手・坂元・前田・上田)、2022年度3名(小林・三竿・岩田)。2021年度組は欧州で全員結果を残している(町田はケガ)。この2年間に何人のJリーガーが欧州移籍したでしょうか?

言うまでもないが、欧州に移籍すると言葉・生活習慣など環境がガラリと変わり、大きなハンディを抱えてプレーする。特に1年目は厳しいが、自分で選んだ道だ、今回評価の低かった選手はいっそう頑張って欲しい。

独断と偏見に基づいたランキングでしたが、日本代表選手招集予想や欧州移籍などの際の参考にして頂ければ幸いです。

なお、こちらに記事もご覧いただければ嬉しい限りです。

 

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