(2019年9月19日掲載:2022年2月19日更新)
はじめに
最新サッカークラブ世界ランキングを参考にすれば日本人選手がどのくらいレベルの高いチームでプレーしているか、ある程度分かる。
しかし、クラブチームが所属するリーグの世界レベルまでは分からない。例えば、南野拓実・奥川雅也がかつて所属していたザルツブルグはオーストリア・ブンデスリーガでは断トツで強い。
では、オーストリア・ブンデスリーガは世界的にどのレベルにあるリーグなのか、そして何よりも私たちに最も身近なJリーグは世界的に見てどのくらいの位置にあるリーグなのか?そんなことを思い興味本位で調査した結果を皆さんとシェアしたい。
本記事では2022年2月19日に発表された世界リーグランキングと各々のリーグでプレーする主な日本人選手を紹介していますが、年2回(2月初旬、8月初旬)のペースで更新していますのでよろしくお願いします。
なお、こちらの新着記事もご覧いただければ幸いです。
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世界のサッカーリーグ数とTop 5
リーグ数
FIFAに加盟しているサッカー協会はおよそ210、すくなくてもその数だけリーグがあるが、完全にプロ化された協会はおよそ75と言われている。その中の1つがJリーグ。ただ、たいていの協会では2部、3部など下位リーグも運営している。
あくまで推定であるが、プロ化された協会が全て下位リーグをひとつ持っているとした場合、総リーグ数は少なくても210+75=285リーグ存在することになる。
もう一つの視点で世界のサッカーリーグ数を推測してみましょう。
the KA Football Leagues Global Ratingのサイトには、下記の通り、およそ184のリーグがランキングされているが、欧州の一部の国を除いて2部リーグは含まれていない。
● アジア 42
● アフリカ 51
● 北中米カリブ海 27
● 南米 10
● 欧州 54
南米もアジアも協会の数とおなじである。184リーグ(サッカー協会の方が正しい?)のうちの3分の1がJリーグと同じ様に3カテゴリーを持っているとすれば、184+(60x2)=304となる。
いずれの場合でも総数はおよそ300。少なくともこの数だけサッカーリーグがあるようだ。
Top 5
Top3はWorld Ultimate Class(最上位クラス)でイングランド、スペイン、イタリアの3リーグで前回(2021年8月1日)と比べるとドイツが外れた。
ドイツのリーグランキングは変わらず世界4位であるが、次のクラス、World Top Class(トップクラス)へ格下げされた。ここにはフランスが5位で入っている。
日本は、上から7番目のMiddle Inter-Zone Class(意味的には東アジアなどの地域中位レベル)で世界ランキング22位から28位までのリーグがこのクラス。
Jリーグは世界で何位?
30位(2022年2月12現在)
(kickalgor.comより)
● 2022年2月12日 26位
● 2021年8月1日 30位
● 2020-2021年 32位
● 2019-2020年 33位
● 2018-2019年 39位
● 2017-2018年 47位
● 2016-2017年 48位
素晴らしい、どんどん上がっていますね!Jリーグ所属選手のW杯出場時間は順位に反映されるのでイニエスタ選手などW杯で活躍した選手のJリーグ参加が大きい。
ACLでは2018年鹿島アントラーズがチャンピオンになって以来、Jリーグクラブの優勝はありませんがそれでもランクアップ。Jリーグと同様、中国のスーパーリーグクラブのACL成績は散々だったがリーグランキングはアップ。
韓国とサウジアラビアはACL優勝などを反映してリーグランキングを大きくアップ。+-は前回2021年8月1日比。
アジア Top7 リーグ
● 21位 サウジアラビア プレミアリーグ +6
● 25位 中国 スーパーリーグ +4
● 26位 日本 J1リーグ +4
● 29位 韓国 Kリーグ1部 +15
● 36位 イラン ペルシアンガルフプロリーグ +12
● 44位 カタール スターリーグ -7
● 52位 UAE アラビアンがルフリーグ -2
●?位 豪 A-League
なお、Jリーグの26位というのはドイツ2部(30位)やスペイン2部(34位)よりも上位。ただし、イングランド2部(18位)よりも下位。
リーグ上位と下位チームでは大きな実力差
どの国内リーグでも上位と下位のチーム間に大きな実力格差があるので、ランキングの高いリーグでプレーしているからと言ってチームのレベルが高いとは言えない。
例えば、Jリーグならば1位は川崎フロンターレで世界クラブランキング50位台、最下位は京都で2,270位。
リーグ世界ランキングと日本人選手
リーグランキングが高ければ高いほど得点することは難しくなるが、活躍すればさらにビッグクラブに移籍できるチャンスも高くなる。特に若い日本人選手は少しでも高いリーグを目指して頑張って欲しい。
全体としてはアジアの上位5リーグがアップ、ヨーロッパの中位・下位リーグがダウンといった変化があった。また、ヨーロッパ5大リーグの2部リーグも総じて6~8ランクアップした。
項目説明
● 2022年2月12日時点のランキング
● 前回のランキングと比べてTop5の変更ない
R |
リーグ |
国 |
日本 選手 |
1 |
プレミアリーグ |
イングランド |
南野 冨安 |
2 |
リーガ・エスパニョーラ |
スペイン |
久保建 |
3 |
セリエA |
イタリア |
吉田 |
4 |
ブンデスリーガ |
ドイツ |
長谷部 鎌田 遠藤航 伊藤洋 原口 遠藤渓 奥川 浅野 |
5 |
リーグ・アン |
フランス |
川島 |
6 |
プリメイラ・リーガ |
ポルトガル |
守田 田川 中島 藤本 食野 中村航 川崎 |
7 |
エールディヴィジ |
オランダ |
堂安 中山 際 菅原 前田直 |
8 |
プレミアリーグ |
ロシア |
橋本 |
9 |
リーガMX |
メキシコ |
|
10 |
ファースト・ディビジョンA |
ベルギー |
伊東純 三笘 森岡 鈴木武 三好 松原 橋岡 林 原 香川 坂元 町田 渡辺 シュミット |
11 |
スュペル・リグ |
トルコ |
|
12 |
メジャーリーグ(MSL) |
USA |
久保裕 |
13 |
セリエA |
ブラジル |
|
14 |
プリメイラ・ディビシオン |
アルゼンチン |
|
15 |
プレミアリーグ |
ウクライナ |
|
16 |
ブンデスリーガ |
オーストリア |
北川 中村敬 |
17 |
スコティッシュ・プレミアシップ |
スコットランド |
古橋 前田大 旗手 井手口 |
18 |
EFLチャンピオンシップ |
イングランド・ウェールズ |
|
19 |
プルヴァHNL |
クロアチア |
|
20 |
スーパーリーグ |
スイス |
鈴木冬 川辺 瀬古歩 |
21 |
プレミアリーグ |
サウジアラビア |
|
22 |
フォルトゥナ・リーガ |
チェコスロバキア |
|
23 |
スーペルリーガ |
デンマーク |
|
24 |
スーパーリーグ |
ギリシャ |
|
25 |
スーパーリーグ |
中国 |
|
26 |
Jリーグ |
日本 |
|
27 |
スーペルリーガ |
セルビア |
|
28 |
プリメーラA |
コロンビア |
|
29 |
Kリーグ |
韓国 |
邦本 天野 小林祐 |
30 |
ブンデスリーガ2 |
ドイツ2部 |
田中碧 室屋 板倉 アペルカンプ |
31 |
ファースト・ディビジョン |
キプロス |
|
32 |
アルスヴェンスカン |
スウェーデン |
|
33 |
リーグ・ドゥ |
フランス2部 |
植田 オナイウ阿道 |
34 |
セグンダ・ディビシオン |
スペイン2部 |
柴崎 岡崎 |
35 |
セリエB |
イタリア2部 |
|
36 |
ペルシアン・ガルフ |
イラン |
|
37 |
エリテセリエン |
ノルウェー |
|
38 |
プリメイラ・ディビシオン |
コスタリカ |
|
39 |
LNP |
ホンジュラス |
|
40 |
プレミアリーグ |
エジプト |
|
41 |
ETF |
チュニジア |
|
42 |
プレミアリーグ |
イスラエル |
|
43 |
リーガ・パラグアージャ |
パラグアイ |
|
44 |
スターズリーグ |
カタール |
|
45 |
パルヴァ・リーガ |
ブルガリア |
|
46 |
リーガ1 |
ルーマニア |
|
47 |
NBI |
ハンガリー |
|
48 |
プレミアリーグ |
カザフスタン |
|
49 |
フォルトゥナ・リーガ |
スロバキア |
|
50 |
エクストラクラサ |
ポーランド |
|
52 |
アラビアン・ガルフ・リーグ |
UAE |
ランキング計算式
詳しい計算プロセスは省略しますが、代表チームの国際大会(W杯・欧州選手権・アジアカップなど)やクラブレベルの大会(CL・ACLなど)におけるリーグ所属選手数や出場実績。他に過去16年間にわたるリーグの認知度や評判など。
選手の評価は所属リーグよりも所属クラブのランキング
この具体例として、奥川雅也の前所属チーム、ザルツブルクと伊藤純也のゲンクを比較してみよう。
ザルツブルクは資金豊富なRed Bullが経営。従って、優秀な選手が揃っている。ところが、オーストラリア・ブンデスリーガは世界ランキングで 17位、一方、ベルギー・ファースト・ディビジョンAは10位。リーグランキングでは大きな開きがある。
19-20年シーズンの欧州チャンピオンズリーグ(CL)で当時ザルツブルグ所属の南野拓実対伊東純也の日本人対決が実現(ザルツブルク対ゲンク)。欧州クラブランキングでは36位対56位。結果は6-2で南野チームの圧勝。やはりクラブランキングで評価すべき!?
サッカーリーグランキング情報源
IFFHS(国際サッカー歴史統計連盟)が 2019年1月20日に「the strongest national league of the world」(世界で最も強い国内リーグ)を発表しているが、純粋に「サッカーリーグ世界ランキング」と言うよりも「国レベルの世界ランキング」と言った方が適当のようだ。
その理由はイングランドやスペインの2部リーグが一つも入っていない。国レベルならFIFAワールドランキングで国(代表チーム)の順位を知ればそれで十分。
そこで別のサイトを探した。下記のサイトは主にクラブチームとリーグの世界ランキングを扱っている。無理やりランキングしている側面があるのは否めないが、リーグランキングに関しては他に適当なソースがないので下記のサイトを情報源とした。
Global World Rating of Leagues and Clubs - the KA the Kick Algorithms ™️
おわりに
海外日本人選手の活躍を評価する上でのポイントは、プレーしているリーグと所属クラブのレベル。リーグのレベルが高ければ強豪チームがひしめくので結果を出すのが難しくなる。またクラブのレベルが高くなればレギュラー獲得が難しくなる。
世界クラブランキングTop50のチームでプレーしているのは、南野拓実、冨安健洋、堂安律、原口元気、遠藤渓太の5名。直近ではセルティックが50位以内に躍進したので古橋、前田、旗手、井手口も加わった一方で、フランクフルトが51位でTop50圏外。
他にもたくさんの日本人サッカー選手が欧州などの中小クラブでプレーしているが、レギュラー格はおよそ15名。チーム内の競争は想像を絶するものと思いますが、誰の為でもない、自分自身の為だ。頑張るしかない。
世界サッカーリーグランキングは年2回程発表されています。2019年9月19日に初めてリーグランキングを紹介しましたが、これからも、発表の都度、皆さんに紹介しますのでよろしくお願いします。
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