はじめに
(2023年10月掲載→2025年6月12日リライト)
2025年6月10日、北中米W杯アジア最終予選を6-0の大勝で締め括った。森保一監督と選手たちは、かねてから北中米ワールドカップ優勝を公言しているが、北中米W杯優勝という壮大な目標を掲げるのは非常に良いことだ。
その目標に向かってこの先1年間必死に努力をするでしょうが、ご指摘しておきたいのは、今の日本代表にとって「W杯優勝」は厳しい条件付きという点である。私なりの視点でその条件を洗い出してみたい。
ご存じの通り、「W杯優勝」の前に大きく立ちはだかるのが「ベスト8の壁」。ベスト8になるチームはどれも最低限の基準( or 条件)をクリアーしている。その基準とは何でしょうか?
ただ、2022W杯モロッコはその基準に達していなくても4位となった。どうしてなのでしょうか?
日本代表がベスト8になる可能性はどのくらいあるのか、この点を特に2022W杯4位となったモロッコ例にとって分析しますのでよろしくお願いします。
なお、こちらの最新記事もご覧いただければ幸いです。
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ベスト8の壁はどのくらい高い?
現日本代表チームは富士山に例えれば何合目でしょうか? それは2022W杯ベスト8に輝いたチームを分析すればある程度推測できると思います。 それでは分析しましょう。
日本代表は、2022W杯でドイツ・スペインを破り4度目の決勝T進出を果たしたが、クロアチアにPKの末に負けて、またしても「ベスト8の壁」を超えられなかった。
その原因として国民性・教育・メンタリティなどの違いを語る識者や戦術・システムを語る識者がいます。部分的には正しいかも知れないが、科学的な分析とは言えません。
より科学的に分析する為、2023W杯ベスト8チーム(アルゼンチン、イングランド、オランダ、クロアチア、ブラジル、フランス、ポルトガル、モロッコ)の選手と所属クラブレベルに着目。
分析結果を表(表1)にまとめると、
(5大Lは5大リーグ、T xx はクラブ世界ランキングがTop xx 以内)
この表を見れば一目瞭然ですか、
①年齢・キャップ数・FIFAランクなどを比較したが、FIFAランク以外、チーム間で大した違いはない
②5大リーグ(5大L)や強豪クラブ所属(世界Rトップ100以内)選手が非常に多い
モロッコを除くと、どのチームも
- Top100のクラブでプレーする選手は22人以上
- Top50のクラブでプレーする選手はクロアチア以外19名以上
- Top15のクラブでプレーする選手はアルゼンチン・クロアチア以外13名以上
③PK戦に強い(強運)
- クロアチアはR16で日本に、そして準々決勝でブラジルにPK勝ち(2018W杯準優勝の時もR16と準々決勝でPK勝ち)
- モロッコはR16でスペインにPK勝ち
- アルゼンチンはR8でオランダに、そして決勝戦でフランスにPK勝ち
この表から5大リーグや強豪クラブでプレーする日本代表選手がかなり少ないことが分かる。富士山に例えれば、5~6合目あたりでしょうか?
ベスト8の壁を越えるにはまだまだ力不足。しかし、全く可能性がない訳ではない。その点は日本代表とほぼ同等のモロッコが証明している。では、日本とモロッコにはどんな違いがあったのでしょうか、その点を分析してみましょう。
日本とモロッコの違い
過去20年W杯予選敗退のほうが多かったモロッコがいきなり4位。どうして?それを調べる上でベスト16迄の成績(4戦)を比較。
モロッコと日本の比較
違い①
W杯ベスト8常連チームと比べたら両チームともTop50の選手層がかなり少ない。日本はが7人、モロッコが3人。
違い②
モロッコの失点は1、日本の失点は4。モロッコは守備力で日本を上回った。尚、モロッコは準々決勝進出した8チームで最少失点。
違い③
市場価値(MV)で見ると、クロアチアGK陣平均は日本GK陣の8倍、DF陣では日本より3倍高かった。特にDF陣3名(ハキミ65、アゲルド25、マズラウィ25)のMVは計115M€で日本のDF陣上位3名38M€を圧倒。
違い④
違い③と同じだが、Top15クラブ所属DFはモロッコ3人、日本はわずか1人(冨安)
まとめ
攻撃面で大きな差はなかったが、守備面で差があった。なお、PK負けしたW杯3位のクロアチアと比較しても守備面で差があった。明白なのは、モロッコは地力で4位になったのではなく、粘り強い守備と運に恵まれたからだ。
ベスト8の壁を破る条件
これまでの分析でおわかり頂いたと思いますが、ベスト8の壁を破るには、次の2つのうち、少なくとも1つを持ち合わせていなければならない。
① Top15クラブで10人以上の代表選手がプレーしている
② モロッコのようにGKを含む強固な守備力と運に恵まれる
強豪クラブ所属選手数は増えているの?
現日本代表(2026年W杯予想代表候補)で強豪クラブ所属は何人いるの? 2022年W杯当時のモロッコ及び日本代表と比べた表(表2)がこちら。
参考までに2026W杯データの対象となった代表候補はこちら!
- 5大リーグ所属選手数はほぼ同じ
- Top 15クラブ所属選手数は2名増の3名(伊藤洋輝、遠藤 航、冨安健洋)
- Top 50クラブ所属選手数は4名増の11名(上記3名以外では町田、三笘、南野、守田、鎌田、旗手、前田、上田)
特にTop 15クラブ所属選手層は最低10人必要なのに3人では少なすぎる。これこそが日本代表選手にとってのベスト8の壁。この壁を破るべく日本代表選手に求められているのが「個の成長」。
しかし、いくら選手が頑張っても当面はベスト8に必要な条件①(Top15クラブで10人以上)は当面クリアーできないでしょう。従って、ベスト8クリアーの道は条件②(モロッコタイプ)しかない。
モロッコタイプとは?
それは条件②を満たすべく強固な守備力と運。前の表2のGK~FW欄に示した平均市場価値をご覧ください。
- GK 2022W杯比、大きくアップ 現日本代表GK鈴木がいるので合格
- 守備陣 2022W杯比、倍増、しかし、冨安や伊藤のケガが心配なので半分合格
守備力は概ね合格でしょう。運はどうでしょうか? こちらは祈るしかありませんね。
モロッコタイプ+アルファでベスト8の壁を乗り越えられる
モロッコタイプに加えて日本代表には優れたチームワーク・連係プレーがある。この点を考慮すると2026W杯ベスト8の可能性はかなり高い、ベスト4もあり得ると思う。
なお、クラブ世界ランキングに関してはこちらの記事をどうぞ!
おわりに
分析しながら悟ったのは「ベスト8の壁は非常に高い」こと。さらに「ベスト8になる条件は決して十分条件ではない」こと。
- Top15クラブ所属選手数は10名以上
ドイツやスペインは上記の基準を十分に満たしていたが、グループリーグで敗退。十分条件でない証しですね。
一方、モロッコのような例もある。戦力的に劣っていてもGKとDF陣が強固で運に恵まれればベスト8の壁を破ることができる。
日本代表がベスト8になる条件①を満たすのは不可能に近いが、DF陣の踏ん張りと運が味方すれば、2026W杯で新たな歴史を刻むことができるでしょう。最大限頑張って私たちサッカーファンい新しい景色を見せてほしい。
ガンバレ日本代表!
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